単身赴任手当とは? 条件・相場金額、課税対象になるのかを徹底解説


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自社の単身赴任が他社と比較してどうなのか気になっている企業も多いのではないでしょうか。単身赴任手当の新規導入や既存の単身赴任手当の見直しを考えている企業には以下のような情報が重要になってきます。

・単身赴任手当を支給する条件は法律で決まっているのか
・どのような種類があるのか
・いくらくらいが相場になっているのか

そこでこの記事では、単身赴任手当に関する説明や相場金額について解説していきます。

ぜひこの記事を参考に、他社の相場を理解したうえで、自社の単身赴任手当の導入や改善のヒントにしてください。

単身赴任手当とは?

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単身赴任をする際に手当が発生する条件は企業によって様々です。そもそも単身赴任とは何か、手当が出る条件の詳細を解説します。

単身赴任手当とは何か

単身赴任手当とは、妻帯者が会社からの通達により、家族と離れて「単身」で「赴任」する事になった際、職員等に支給される手当のことで別名「別居手当」とも呼ばれています。家族一緒に住めば生活コストを下げることができますが、職務の都合上どうしても単身で引っ越しを伴う異動が発生してしまったときは家族の経済的負担が大きくなります。

また、勤務先から自宅へ帰省するたびに交通費も掛かってしまいます。このように異動によって伴う経済的負担を軽減するために設けられている手当が単身赴任手当です。

単身赴任手当が付く条件

単身赴任手当は法律で定められている手当ではないため、企業によってその条件は異なります。民間企業では支給条件や導入するかどうかもそれぞれの企業が決めていますが、公務員は人事院の規程により支給条件や支給金額も定められています。

実際に定められている条件は以下の4つです。

・配偶者と子供がいること
・配偶者の住居から勤務先までの距離が60km以上であること
・単身で生活していること
・配偶者が単身赴任についていけない「やむを得ない事情」があること

最後の項目の「やむを得ない事情」とは、簡単にいえば以下のようなものです。

・仕事
・通学
・介護
・通院
・住んでいる家の管理

このような理由で単身赴任に同伴できない場合は手当支給の対象になります。逆を言えば、やむを得ない事情がない時の単身赴任には手当が支給されないという事です。

このように公務員では支給条件が細かく定められています。民間企業における単身赴任手当の給付条件を定める際の参考にもなるので、ぜひ参考にしてみてください。

出典:e-Gov検索「人事院規則九―八九(単身赴任手当)」

単身赴任手当の種類

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単身赴任手当は中身を見ると様々な種類があります。ここでは単身赴任の際に支給される手当の具体的な中身について見ていきます。

地域手当

地域手当とは特殊な地域での就業をする際に支給される手当です。異動先にもよりますが、極端に寒冷な地で就業をしなければいけない、交通の便に支障をきたすほどの極端に過疎の地などで支給されることがあります。

外地手当

外地手当とは海外赴任の場合に支給される手当です。家族を残して海外に行くのはコスト以外にも負担が大きいため他の手当てに比べて手厚い保証になることが多くなります。

家賃補助

家賃補助は家賃の一部を会社が補助するというものです。赴任先の住まいへの引っ越しにかかる金額の一部を補助したり、敷金・礼金の負担、赴任先への移動費、光熱費や駐車場代を負担したりする場合もあります。なお、社宅がある場合や、会社契約のアパートがある場合は該当しません。

帰省手当

帰省手当とは単身赴任先から自宅に帰省する費用を補助するために支給されるものです。介護や子どもの就学など、家庭の事情により転勤時に家族を連れていけない方は、自宅と転勤先の二重生活になります。帰省するための費用は、経済的に大きな負担です。特に住宅ローンを抱えている方は、手当がなければ生活を維持できないでしょう。

また、家族との絆を重視する価値観も広がっていることから、頻繁に帰省することを望む方もいます。仕事と家庭を両立させるため、会社側にも帰省を補助する配慮が求められています。

単身赴任手当の相場金額は?

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単身赴任手当の金額を設定するとなると気になるのは相場ですよね。公務員と民間企業で支給される単身赴任手当の金額を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

公務員の単身赴任手当の相場金額

公務員の単身赴任手当の金額は人事院の規則で決められています。そこで定められている単身赴任手当は、月額30,000円に、転勤先の家と家族の住む家までの距離に応じて加算された額が支給されることが定められています。

距離に応じた加算額は、以下のとおりです。

・100㎞以上300㎞未満 8,000円
・200㎞以上500㎞未満 18,000円
・500㎞以上700㎞未満 24,000円
・700㎞以上900㎞未満 32,000円
・900㎞以上1,100㎞未満 40,000円
・1,100以上1,300㎞未満 46,000円
・1,300㎞以上1,500㎞未満 52,000円
・1,500㎞以上2,000㎞未満 58,000円
・2,000㎞以上2,500㎞未満 64,000円
・2,500㎞以上 70,000円

加算額の最低金額である8,000円(合計3.8万円)を受け取れるのは、東京から熱海くらいの距離からです。赴任先が北海道だとしても、東京から800㎞程度であることを考えると、合計6.2万円の支給です。したがって、公務員の単身赴任の相場は3.8万円から6.2万円の間ではないかと考えられます。

出典:e-Gov法令検索「人事院規則九―八九(単身赴任手当)」

一般企業の単身赴任手当の相場金額

一般企業の単身赴任手当の金額は法律では定められておりませんが、5年ごとに厚生労働省の発表するデータでおおよその金額を把握できます。2020年度に厚労省が発表した最新のデータを確認すると、民間企業の単身赴任手当・別居手当等の平均支給額は47,600円です。前回(2015年度)のデータでは平均支給額が46,065円、前々回(2010年度)は41,001円となっており、企業の規模により多少の違いはありますが、45,000円前後が相場であると考えられます。

出典:厚生労働省「令和2年就労条件総合調査の概況」

前述した公務員の単身赴任手当の相場と比較しても金額に大きな差はありませんので、単身赴任手当を決める基準としては公務員の使用する人事院の規則を目安にするのがおすすめです。

単身赴任手当は課税される?

単身赴任手当が課税対象になるかどうか、企業側・従業員側共に把握しておく必要があります。支給方法によっては税額控除になるのかも解説します。

単身赴任手当は課税対象

結論をいうと単身赴任手当は課税対象です。税額控除されない理由について、支給方法のパターンから解説していきます。

単身赴任手当の支給方法には次のようなパターンがあります。

・毎月一定の額が支給されている
・単身赴任者が帰省する際、旅費として月単位もしくは年単位で支給している

どちらのパターンも単身赴任手当となり、課税対象となります。課税対象となるのは、単身赴任手当が給与所得とみなされているからです。そのため所得税が掛かり、源泉徴収の対象となります。

出典:単身赴任手当等|国税庁 (nta.go.jp)

単身赴任手当により給与の支給額は上がりますが、その分所得が増えるため次年度以降の所得税や社会保険にも影響が出てくる点に注意が必要です。

職務遂行に必要な帰省旅費であれば非課税

例外として会議などを理由に帰省した場合の旅費であれば所得税が非課税になります。

会社が支払う単身赴任者の帰省旅費は、定額支給の場合であっても実費精算の場合であっても、原則給与等に該当し、所得税が課税されることになります。しかし、例外として、会議など職務遂行上の理由から旅行する場合に支給される旅費については、これに付随して帰省した場合であっても、主として職務遂行上必要な旅行と認められるなどの条件を満たせば、所得税が非課税になります。

その際、以下3点に注意しておきましょう。

1.この取扱いの対象になるのは、単身赴任者が会議等のため職務遂行上の必要に基づく旅行を行い、これに付随して帰宅する場合に支払われる旅費に限られること。
2.この取扱いは、その性質上、月1回などの定量的な基準で非課税の取扱いをするということにはなじまないものであること。
3.帰宅のための旅行は、職務出張に付随するものであることから、その期間や帰宅する地域等には、おのずから制約があること。

出典:国税庁「単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費」​

例えば、本社から地方への単身赴任という場合は会議や出張で本社に行くことも考えられます。そういった場合の費用は職務上必要な経費になりますから「旅費交通費」の扱いで非課税になります。つまり、あくまで職務を中心とした行程である必要があります。

日程例を出すと下記のようなイメージです。

月:移動日
火:帰宅日
水:出社(出張)
木:出社(出張)
金:帰宅日
土:移動日

このように出張先、出社先が帰省先と同じ方向だったというような条件でのみ非課税となります。

出典:国税庁「単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費」

このように、単身赴任手当は特殊な事情がない限り課税の対象になる点に注意しましょう。

なお、赴任先の住宅費を補助する目的であれば、手当よりも社宅を提供するほうが税制的にお得になります。というのも、かかった費用を非課税で処理できるからです。詳細はこちらの記事「【社宅制度を徹底解説】制度の仕組み、メリット・デメリット、契約・手続き方法まで」で詳しく解説しています。節税に興味のある人事・総務部の担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

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(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2023年1月時点のものです。

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