単身赴任とは? 転勤との違いや概要、人事担当者のすべきことを徹底解説


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会社から転勤を命じられた際、同居家族と一緒に転居することが難しい場合には、単身赴任を視野に入れる必要が出てきます。
この記事では単身赴任の意味や似ている言葉の意味を解説するとともに、単身赴任の目的、メリットやデメリット、赴任先で住む場所を見つける際のポイントを解説します

単身赴任とは?

日本全国もしくは世界各地に支店を持つ会社に勤めている場合、時に現在の居住地から通えない場所での勤務を命じられることがあります。

そうなったとき、配偶者や子どもなどの同居家族を持つ人であれば、家族の都合を踏まえながら、転居のスタイルを決めていく必要があります。時と場合によっては、現在の住まいに家族を残したまま、自分だけ新しい勤務先の付近に暮らす必要が出てくることもあるでしょう。

例えば、配偶者が今働いている会社での長期就業を望んでいる場合や、子どもが受験のすえに難関校に合格したばかりというときなどには「転居はできない」「したくない」いう意見が出てくる可能性が大いにあります。家を購入したばかりなので、空き家にしたくないと考えることもあるでしょう。さまざまな事情から単身赴任を選ぶ人は、決して少なくありません。

「単身赴任」の言葉の意味

単身赴任とは、勤務の都合で家族と離れてひとりで暮らしながら働くことを指す言葉です。
期間の平均は3年程度といわれていますが、さらに長期に及ぶことも。逆に数ヶ月程度の短期間で終わる場合もあります。

「異動」「転勤」「出向」との違いとは?

単身赴任と似て異なる言葉に「異動」「転勤」「出向」があります。それぞれの言葉の意味を解説していきましょう。

・異動
会社からの辞令によって職場での地位や任務などが変わることを指します。その範囲は広く、昇進、降格、役職への任命、退任などはすべて異動に当たります。「転勤」や「出向」も異動の種類のひとつです。

・転勤
住居地の変更を伴う異動を指します。例えば東京の本社に勤める人が北海道の支社に異動を命じられた場合、それは「転勤」です。その際にもし東京に家族を残して自分だけ北海道に引っ越すとなると「単身赴任」の扱いになります。

・出向
所属する企業での雇用契約はそのままで、グループ会社や業務に関連する別企業で働くことをいいます。出向をきっかけに単身赴任を始めるケースもあるでしょう。

転勤や単身赴任の目的とは?

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「転勤族」という言葉が存在することからもわかるように日本は転勤の多い国です。2017年に独立行政法人労働政策研究・研究機構が実施した「企業の転勤の実態に関する調査」では「正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある」と答えた企業が33.7%にのぼりました。

住む場所を変えることは、多くの人にとってそれ相応の心理的・物理的負担となります。それであってもなお、転勤や単身赴任が在り続けるのはなぜでしょうか。その理由を詳しく解説します。

企業が転勤を命じる理由

企業が転勤を命じる理由は多岐に渡りますが、主に人材育成や欠員の補充のため、適材適所に社員を配置するため、連携を強めるためなど、組織の新陳代謝を高めるためであることが多いです。「栄転」と呼ばれるような昇格を伴う転勤もしばしばあります。多くの拠点を持つ大企業であればあるほど、転勤が多い傾向にあるでしょう。

近年、フレキシブルな働き方を推奨する動きが活発化しており、テレワークを取り入れる企業が増えました。新幹線や飛行機での通勤をOKとする企業もあり、業種によっては住む場所に寄らずに仕事を選択できるようになりつつあります。また、ウェルビーイングの観点から、望まない転勤をなくす動きを推進する企業もあります。

そのなかであっても引き続き転勤が伴う仕事は多く存在します。国家公務員やゼネコンなどの建設業、金融業などは比較的転勤が多い業種です。

なぜ日本には単身赴任が多いのか?

日本に単身赴任が多いことには、転勤の辞令が業務命令であることが関係しています。先に挙げた「企業の転勤の実態に関する調査」によれば、転勤命令の8割弱は会社主導で決定されているといいます。

日本の雇用制度と特徴ともいわれる終身雇用は影を潜めつつありますが、それでもなお新卒入社した会社で長期に渡り働き続けたいと考える人は多くいます。現在いる会社での長期就業を望む場合、転勤が難しいという理由での退職は難しい選択です。

業務命令であるがゆえに拒否ができない、しかし家族全員での転居はできない。そこで消去法的に単身赴任が選択肢にあがる人は少なくありません。

転勤および単身赴任のメリットとデメリット

ここからは転勤および単身赴任のメリットやデメリットを紹介します。企業側にどのようなことが起こり得るかをお伝えしつつ、社員側からの見解も合わせてお伝えします。

転勤および単身赴任のメリットとは

企業側のメリット①:将来活躍できる人材の育成
転勤や単身赴任によって得るさまざまな体験や知見は、多角的で広い視野を持つことを促します。企業の将来を担うようなゼネラリストや管理職、経営陣の育成につながります。

企業側のメリット②:組織の活性化
人が入れ替わることによりほどよい緊張感が生まれ、組織の新陳代謝が促されます。転勤や単身赴任をする人自身も、その人を受け入れる側の人たちも、双方ともに円滑に関わっていくための工夫をこらすこととなるため、コミュニケーションも活性化するでしょう。

社員側のメリット:成長・人脈の広がり
組織が活性化することは、社員個人の成長にもつながります。また、一箇所に留まらないことにより、多数の人間と触れる機会が生まれ、社内での人脈を獲得しやすくもなるでしょう。

転勤および単身赴任のデメリットとは

企業側のデメリット①:単身赴任手当などのコストの発生
転勤や単身赴任が決まった社員に対し手当を支払う規則がある会社であれば、都度コストが発生することとなります。

企業側のデメリット②:社員の退職リスク
どうしても転勤や単身赴任をしたくない場合には、退職を選ぶ社員も一定数存在します。2022年に行われた転勤に関する意識調査では「転勤が退職のきっかけとなる」と6割以上の人が回答。ですが、なかには「引っ越し費用、転勤手当、借り上げ社宅があればむしろ喜んで転勤する」とのコメントも。

また、転勤を「条件付きで承諾する」と答えた人のなかには、条件として「家賃補助が出る」を挙げた人が6割強、「単身赴任手当がある」を挙げた人が4割近くいました。

人材の流出を防ぐためには、社員一人ひとりの適正や意向を踏まえながら、配置を慎重に実施し行、引越しに関する適切な補助を適宜行うう必要があるといえるでしょう。

社員側のデメリット:精神的負担が増える
慣れない土地での生活には、多少なりとも不安が伴います。家族と離れて暮らす単身赴任であればなおさらでしょう。

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単身赴任が決まったらどんな手続きをすればいい?

単身赴任をすることが決まったら下記の手続きを進めましょう。

・引越しの準備・手続き
・転出届・転入届の提出/郵便物の転送手続き
・ライフライン(電気・ガス・水道)の利用開始手続き
・インターネット回線の開通手続き
・各種住所変更(運転免許証など)
・印鑑登録

住民票を移す必要はある?

転居する場合、原則として住民票を移す必要があります。これは法律のうえでの決まりなので、移さずにいると法律違反となってしまいます。ただし住居を借りずホテルに住む場合には、基本的に住民票は移せません。

なお、長期間のホテル住まいかつ生活の拠点がホテルとなる場合には、ホテルと相談のうえで住民票の登録が可能な場合もあります。とはいえホテルは、キッチンなどの設備がない場合も多く、ビジネスパーソンが暮らしていくのに十分な環境とはいえないため、長期の滞在となる場合には、賃貸やマンスリーマンションを第一選択肢とするのがよいでしょう。

単身赴任になったとき、住む場所はどうやって決める? 留意すべきこと

単身赴任が決まってから新しい赴任先で仕事を開始するまでにはあまり時間がないことも多いです。ごく短期間で住居を探すことになるため、要点を押さえて部屋探しをすることが大切です。

自宅・本社に定期的に帰ることを踏まえ、アクセスの良さを重視する

単身赴任の場合、家族の住む家に定期的に帰る可能性を踏まえて、移動しやすい場所に住むことが重要になります。どの程度重視するべきかは、家に帰る頻度によっても変わってくるので、家族と相談しておくとよいでしょう。

また、飛行機、車、新幹線など、使う交通手段によっても変わってくる部分なので、どんなルートを使って行き来するのか、具体的にシミュレーションしたうえで場所選びをするのが安心です。

その上でもちろん、日々の暮らしやすさも重要なポイント。家事をすべて自分で行うことを踏まえると、通勤時間が少なくてすむ会社の近くに住んでおくことも快適に暮らすための選択肢になります。

近隣に飲食店やスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの施設があるのも心強いでしょう。

いくつもの条件があるなかで、短期間で部屋を探すことになるため、特になにが譲れないか、優先順位をあらかじめ考えておくとスムーズです。住み心地は仕事のモチベーションにも関わってくるので、自分が何を心地よいと感じるかを大切にしながら決めることをおすすめします。

サステナブルの観点からも家具や家電を増やさずに住むのがいい

単身赴任をする際、家具や家電をどこまで増やすのかは、非常に悩ましい問題です。これらは高額なうえ、廃棄の手続きも簡単ではありません。いずれ家族のもとに戻ることがわかっている場合にはなおさら、極力新しい製品を購入しなくてもすむように工夫するとよいでしょう。

ベッドやテーブルなどの家具、冷蔵庫、テレビ、電子レンジ、炊飯器などの家電があらかじめ設置されている物件に住むのも方法のひとつ。出費を大幅に抑えられるだけでなく、モノを捨てずにすむため、サステナブルにも繋がります。

人事担当者が単身赴任者に対して配慮すると良いポイントとは?

人事担当者はまず、転勤の辞令を出す際に社員の家庭事情や体調面などをある程度は考慮する必要があります。たとえば親の介護を行っている最中であったり、身近な家族に療養中の方がいる場合、社員自身が療養が明けたばかりというケースなどは、転勤や単身赴任には適さない状態といえます。

また、引越費用や家族の住む場所に移動するための交通費などの金銭面で、社員に負担がかからないように配慮し、制度を整えていくことも重要です。短い時間で、新居を決めなくてはいけない忙しい社員にかわって、人事担当側で住まいを探す、提供することも、単身赴任者の負担を軽減するための選択肢です。

単身赴任時の住居の条件にフィットする「マイナビbiz」とは

「マイナビBiz」のマンスリーマンションは、単身赴任の際の住居としておすすめです。これまでにも多くのビジネスパーソンに選ばれてきました。設備、立地、住み心地などを考慮のうえでプロが厳選した良質な物件がが揃っています。

・家具・家電だけでなく、Wi-Fiなどテレワークにも適した環境を提供
・敷金・礼金不要で初期費用が抑えられる
・入居時は担当者が直接対応、人事の手間削減
・支払いは一括後払いが可能(法人契約の場合)
・除菌・抗菌対応
・鍵の紛失や設備故障はマイナビが直接対応するので安心
・24時間365日受付のサービスコールセンターあり
・多言語(18カ国語)サービスあり

部屋選びをプロに相談することは、人事戦略としても、ビジネスパーソンとしても賢い選択です。

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(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2024年3月時点のものです。


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