【社宅制度を徹底解説】制度の仕組み、メリット・デメリット、契約・手続き方法まで


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企業の福利厚生のひとつである「社宅制度」。
社宅制度は住宅手当や家賃補助制度に並び、従業員の住居にまつわる制度です。この記事では、そもそも社宅とはなにか、そのメリットやデメリット、社宅を準備する流れや契約に必要な事項、注意点などについて解説します。

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この記事でわかること

  • 社宅」とは? 社宅の定義・社宅制度の概要
  • 社宅のメリットとデメリット
  • 社宅の家賃相場、コストカット・節税の方法
  • 社宅導入の実務(物件選び、注意点)

社宅とは?

「社宅」の定義とは?

社宅とは、「従業員やその家族を住まわせるために、企業が所有し管理する住宅」のことを指します。マンションなどの集合住宅や一戸建てなど、住居の形状に特に決まりはありません。
社宅には「社有社宅」と「借り上げ社宅」の2種類があります。「社有社宅」は、企業が所有する物件を社宅とするもの。「借り上げ社宅」は、民間の賃貸マンションなどを企業が借り上げて、それを社宅として社員に貸すものです。借り上げ社宅は、マンション1棟全てを借り上げる場合もあれば、フロア単位、部屋単位で借り上げる場合もあります。

社員寮と社宅の違い

社宅制度は従業員の住居にまつわる負担を軽減するものとして、主に福利厚生の目的で設けられます。同様の福利厚生としては「社員寮」もあり、単身者向けを「寮」、ファミリー向けを「社宅」と区別することがありますが、“企業が用意した従業員用の住宅”という意味では同じです。

2020年以降、新型コロナウィルスの感染拡大により、テレワークやオンライン会議など働き方が大きく変化しました。在宅勤務のニーズが増したことにより、社宅にも「在宅での仕事を考慮した住宅」を希望する企業が増えるなど、社宅の需要に変化の兆しが見えます。

多くの企業が取り入れている社宅制度、次の章では社宅のメリット・デメリットについてさらに詳しく見ていきましょう。

社宅を導入するメリットとデメリット

社宅制度の導入には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。「企業側」「従業員側」それぞれの視点から見てみましょう。

企業側の社宅制度のメリット

社宅制度の導入には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。「企業側」「従業員側」それぞれの視点から見てみましょう。

従業員の負担軽減
社宅を提供することによって、従業員は一般的な家賃相場よりも安い賃料で住むことができるようになります。職場に通いやすい立地に社宅を設けたり、内装や設備が充実していたりすれば、従業員の満足度やモチベージョンの向上も期待できます。
また、社宅制度の整備は人材確保にもつながります。遠隔地からの就職もしやすく、「社員のことを考えている」というアピールにもなるため、社宅制度を導入することによって採用にもメリットが生まれます。

コストカット・節税の効果
社宅制度以外の住居関連の福利厚生としては「住宅手当」が挙げられます。住宅手当は従業員の給与に上乗せされて支給されるため、所得額が上がれば社会保険料の負担も増加します。
一方、社宅制度は給与から家賃を天引きするため、所得額は上がらず、社会保険料が増額することはありません。また、企業が社宅で負担した金額は福利厚生費として経費に計上できます。社宅制度が節税につながりるといわれるのはこの理由によるものです。

「社有社宅」「借り上げ社宅」それぞれのメリット
社有社宅は保有している不動産資産を利用することから、不動産会社への敷金・礼金・家賃などが発生しません。社外への賃貸も可能であり、新たな収益源としての活用も期待できます。 一方、借り上げ社宅は不動産購入などの初期投資が不要であり、建物や設備の維持管理を考える必要もありません。入居者や目的、居住期間など個別の事情に合わせたり、「築浅で構造のしっかりした物件」だけを選ぶなど、柔軟に社宅用の物件を用意できるメリットもあります。

最近では、敷金・礼金、仲介手数料が一切不要で月単位で借りられる社宅サービスもいくつかあります。また、月額固定料金で一定期間部屋を契約し、入居者の入れ替えが自由にできる、社宅のサブスクリプションサービスも新たに登場しています。

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企業側のデメリット

「社有社宅」「借り上げ社宅」それぞれのデメリット
社有社宅は物件購入費用や不動産所得税などのイニシャルコストが大きく、維持管理や固定資産税などのランニングコストも少なくありません。建物の老朽化や、周辺環境の変化によって、資産価値が下がることも考える必要があります。
借り上げ社宅の場合、部屋1件ごとに契約が発生するため、数によっては手続きが負担となる場合があります。また、契約には期間が定められているため、途中解約すれば違約金が生じるケースも。かといって、解約せず空室のままにしていても、月額の賃料は払わねばなりません。空室期間は従業員からの家賃収入がないため、費用は企業が全額負担することになります。

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従業員側のメリット

企業側のメリットでも触れた通り、住居にまつわる経済的負担や心理的負担が軽減されることが社宅制度の従業員にとって一番のメリットです。不動産会社との契約や、敷金や礼金などは不要であり、毎月の家賃の振り込みも気にせずに済みます。個人で契約するよりも家賃が安いことも魅力です。転勤が多い企業の場合、転勤先で社宅が提供されていれば、住居の確保もしやすいでしょう。
また、社宅の家賃が給与から天引きされるため、毎月の所得額が減り、節税にもつながります。

従業員側のデメリット

社宅は数が限られているため、好みの物件や立地を自由に選べないケースがほとんどです。また、社有社宅の場合は同じ建物に同僚や先輩、上司が住んでいることも多く、仕事とプライベートを分けたい人にとってはマイナス材料になることもあります。

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社宅の家賃相場

社宅の家賃は、企業側が社内規定により決定します。金額については任意であり、周辺の家賃相場を鑑みて決めてもよいですし、従業員の負担を無償にしても構いません。

ただし、国税庁が定める「賃貸料相当額」を下回る家賃で社宅を貸し出した場合、賃貸料相当額との差額(賃貸料相当額-実際の家賃)が社員への給与と見なされ、課税対象となるので注意が必要です。

「賃貸料相当額」は下記(1)~(3)の合計額として定められています。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

社宅の貸与が給与として課税される場合、されない場合

社宅を無償で貸した場合、賃貸料相当額との差額は「賃貸料相当額-0円」となり、賃貸料相当額がそのまま給与と見なされ課税の対象になります。同様に、賃貸料相当額より低い家賃を設定した場合も、「賃貸料相当額-家賃」の額が給与として課税されます。
しかし、社員から受け取っている家賃が賃貸料相当額の50%以上であれば、賃貸料相当額との差額は給与して課税されません。

例:賃貸料相当額が1万円の社宅を社員に貸与した場合
・社員に無償で貸与する場合
→ 賃貸料相当額(1万円)が給与として課税される
・社員から3千円の家賃を受け取る場合
→ 賃貸料相当額(1万円)との差額、7千円が給与として課税される。
・社員から6千円の家賃を受け取る場合
→ 賃貸料相当額(1万円)との差額は4千円だが、社員から受け取った家賃(6千円)が賃貸料相当額の50%以上なので、給与として課税されない

賃貸料相当額以下なのに、課税されないケースも

なお、国税庁によると「社宅を無償で貸与しても課税されないケース」もあります。看護師や守衛など、仕事をする上で勤務場所を離れて住むことが困難な場合、社宅を無償で貸与しても給与としては課税されないことがあります。

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社宅を用意するまでの流れ・注意点

では、実際に社宅を用意するまでには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。ここでは借り上げ社宅の場合を例に、社宅を用意する手順を説明していきます。

①条件を決め、物件を探す
社宅用の物件を探す前に、社宅に求める条件を社内で話し合うことをお勧めします。間取りや周辺環境、築年数、建物の構造など、個人で賃貸物件を借りるときにも検討する条件のほか、必要な部屋数や会社との距離、予算など会社都合を鑑みた条件もあるでしょう。
条件について社内でコンセンサスが取れたあとは、不動産会社や仲介業者に相談するとスムーズです。条件はなるべく具体的にしておくと、理想的な物件が見つけやすくなります。

②物件の下見(内見)をする
候補となる物件を絞り込んだら、内見の段取りを組みます。居住スペースが条件を満たすものになっているか、実際に足を運んで確かめます。最寄り駅まで道のりや、周辺環境(スーパーやコンビニ、病院、学校など)についてもチェックしておきましょう。
場合によっては、部屋の写真や資料を取り寄せたり、不動産会社の担当とオンライン相談をしたりなど、内見を省略できることもあります。
複数の物件の契約をしなければならないケースや、遠方の物件など内見を省略したい場合は、部屋・物件の写真が充実しているサイトやサービスを選ぶとよいでしょう。

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③申し込む
条件に叶った物件が見つかったら、契約を申し込みます。不動産会社や仲介業者が指定する申込書に記入し、必要書類を提出します。法人契約となるため、実際の処理は総務などが行う場合が多いでしょう。会社謄本や法人税納税証明書など、会社の規模によって必要となる書類が異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
なお、不動産は早い者勝ちになるため、申し込みが遅れると他の企業に取られてしまうことがあります。仮申し込みを受け付けている業者もいるので、なるべく早く物件を押さえられるようにしておきましょう。

④契約内容の調整
不動産会社や仲介業者による審査を通過したあとは、契約に向けて内容を調整します。社宅に関する社内規約を満たせるよう、契約内容を確認して差異がある場合は調整を行います。無事合意が取れたあとは、契約の締結に移ります。

⑤契約の締結
合意が取れた内容をもとに、契約を締結します。初期費用を振り込み、契約書の取り交わしを行います。

⑥入居準備
無事契約を済ませたあとは、不動産会社や仲介業者から鍵が引き渡されます。引き渡しの際は印鑑や身分証明書が必要となる場合があるので、事前に担当者に確認しておきましょう。

⑦入居
従業員からの申し込みを受け付け、社内での手続を経たあと、実際の入居へと移ります。電気、ガス、上下水道、固定電話などのインフラ開通手続きも並行して進めます。

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借り上げ社宅の物件選びはどうする?

社宅用の物件選びや契約をスムーズに進めるには、さまざまなポイントがあります。失敗しない社宅選びのためにチェックしておきましょう。

社宅実務担当者として注意すべき点は?

会社負担か?個人負担か?
社宅制度の運用にはさまざまな費用がかかります。それらの何が会社負担で、何が従業員負担になるのか、あらかじめ決めておくことが大切です。
例)
企業負担になるもの:(不動産会社への)家賃、敷金・礼金、鍵の交換にかかる費用など
従業員負担になるもの:火災保険料、自治会費、退去費用など

契約内容の調整
「社宅を用意するまでの流れ」の中でも触れましたが、賃貸契約を結ぶ際は社内規定に沿っているか確認し、必要であれば調整をすることになります。
例)
・家賃の上限が定められていないか?
・間取りや面積に制限がないか?
・築年数や階数の制限がないか?(防災やセキュリティを重視して規定がある場合あり)
・「定期借家契約」か否か?(定期借家契約はあらかじめ契約期間が決められているため、社宅ではNGのことが多い)
・貸主は個人か?法人か?(個人オーナーの物件はNGの場合あり)

調整が必要になりそうな項目については、事前に社内規程をチェックしておきましょう。社宅制度の導入の際には、社宅規程を定めておく必要もあります。
契約に関する業務は意外と煩雑です。社宅サービスや、契約管理が簡潔なサービスを利用することも検討するとよいでしょう。

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働き方の変化は借り上げ社宅ニーズにも影響

最近では、コロナ禍により、社員寮を廃止して借り上げ社宅に住み替えを希望する企業もあり、借り上げ社宅の需要も変化がみられています。また、新たに社宅制度を導入する企業もあります。 社有社宅から借り上げ社宅に切り替える動きも目立ちます。

新しい社宅サービスが登場! コロナで変わる社宅事情も反映

近年登場した社宅の新しいサービスに「サブスクリプション型の社宅サービス」があります。敷金・礼金、仲介手数料が不要で、家具・家電付きなど、従来型の社宅物件はもとより、ホテルやマンスリーマンションの利用と比べても、大きなコストメリットがあります。

社有社宅は企業が保有している物件であるため、維持費や管理費は企業の負担。老朽化が進めば大規模修繕や建て替えも必要になるといった理由も関係しているでしょう。
社宅物件の切り替えにともなう、担当者の手間がかかる多様な条件に合わせた物件探しについても、「マイナビBiz」なら、立地や間取り、設備など、 それぞれの社宅ニーズに合わせた物件を提案することができます。

例)
・女性社員が住むので、オートロックで2階以上の物件に限定したい
・テレワークに適した設備のある部屋を借りたい
・社員間の不公平感を無くすために、同じ条件で複数の部屋を借りたい
・築浅、築年数〇年まで、などの条件で物件を探したい
・海外からの帰国者の一次滞在先や、外国籍のスタッフ向けの住まいを用意したい
・複数人を同じ建物に入居させたい
・長期の出張や、地方の拠点で働くスタッフ向けの社宅を手配したい
・敷金・礼金/仲介手数料や、家具家電などの費用を抑えたい
・社宅の手配や、維持管理の手間がかからない物件を探したい
・はじめて社宅を利用するので、いろいろ相談に乗ってほしい
など、企業様ごとのご要望をヒアリングの上、最適な物件を紹介できるのが「マイナビBiz」です。さらに、敷金や前家賃なども不要で煩雑な支払い業務を軽減できる後払い対応など、 社宅手配の担当者の手間を大幅に減らせるサービスです。

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また「マイナビBiz サブスク社宅」は、契約期間中であれば、入居者の入れ替えが自由にできる新サービスとして注目されています。初期費用不要で月額料金も固定されているので、ホテルが混み合う時期の研修や、長期出張など活用の幅が広がっています。
「マイナビBiz サブスク社宅」についてもっと詳しく

(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2022年6月時点のものです。


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