社有社宅廃止の手順とは?注意点・代替案についても解説


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社有社宅は建物の老朽化に伴う修繕や建て替え、固定資産税といった費用負担が大きく、廃止する企業は多く存在します。また従業員のニーズを満たせないために廃止を検討している担当者もいるでしょう。

株式会社労務研究所の調査によると、2000年時点で全社宅のうち約半数だった社有社宅の割合は2022年で15%ほどとなりました。今後も日本全体として社有社宅は減少の流れが続くでしょう。

参考:株式会社労務研究所「旬刊福利厚生2023年1月上旬号」

しかし、社有社宅の廃止を検討中であっても、入居者への説明や退去タイミング、企業と従業員双方が納得できる代替案など、廃止にあたってすべきことは多いです。そこで本記事では、社有社宅を廃止する際の基本的な手順や注意点、おすすめの代替案について詳しく解説します。

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社有社宅廃止の基本的な手順

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社有社宅を廃止すれば、従業員に大きな影響が及びます。社有社宅を廃止する際は、手順を押さえ計画的にじっくりと進める必要があるでしょう。ここからは社有社宅を廃止する際の基本的な手順を紹介します。

手順1.廃止タイミングや廃止理由を明確にする

社宅廃止の影響は非常に大きいため、まずはいつ廃止となるのか、そもそもなぜ廃止する必要があるのかをもう一度確認しましょう。廃止理由が明確でない場合、社宅に住んでいる従業員の納得や理解は得られません。円滑に廃止手続きを進めるためにも多くの従業員に納得してもらえる理由を用意しましょう。

手順2.廃止にあたるルールや特別措置などを細かく検討する

社有社宅の廃止は、入居している従業員にとっても、今後社宅を利用したいと考えていた従業員にとっても非常に重大な出来事です。生活に支障が出ないよう、廃止にあたってのルールや措置を最初にできるだけ細かく検討しておくことが重要です。

これまで格安で利用できていた社宅を単に廃止するだけでは、後述する不利益変更となる恐れがあります。廃止の際は代替案まで事前にしっかりと考えておきましょう。

手順3.従業員に周知する

社有社宅廃止の詳細が決まったら、すぐに従業員に伝えましょう。すでに社有社宅に入居している従業員であれば、書面上の手続きだけでなく実際の引越し作業も必要です。余裕を持って準備できるよう、ある程度の期間を確保しましょう。

企業によって理想的な周知のタイミングは異なりますが、遅くとも半年までには廃止について全体に周知すべきです。可能であれば、完全退去まで1年以上の期間がある状態で伝えましょう。

手順4.規則の変更や移行手続きを進める

従業員からの理解や納得が得られたら、規則の変更、移行手続きなどの実務を進めます。従業員からの質問にはすぐに回答し、信頼を得られるようにしてください。社有社宅を廃止する際の手続きは、企業担当者にとっても大きな負担です。廃止に向けて連携するチームを作り、スピーディな対応を目指しましょう。

社有社宅を廃止する際の注意点

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社有社宅の廃止には、注意すべき点が多くあります。丁寧な説明なしに社宅の廃止を決定した場合、従業員からの信頼を失う可能性は高いです。今後も従業員に長く勤務してもらうため、ここから解説する注意点をチェックしておきましょう。

注意点1.従業員への通知は早めに行う

社有社宅の廃止に限らず、制度を廃止する際は正確な通知が重要です。廃止についての情報を伏せていると、従業員から不満が出てしまいます。常に情報はオープンにするよう心がけましょう

また、できる限り早めに周知し、従業員が情報を逐一確認できるようにすることも重要です。通知がギリギリになるとクレームになりかねないだけでなく、離職にもつながります。説明にはしっかりと時間をかけましょう。

注意点2.不利益変更となる従業員への措置を綿密に設計する

従業員の利益となる制度を廃止すると、不利益変更となる恐れがあります。不利益変更とは、従業員にとって不利となるよう労働条件を変更することです

社有社宅によって利益を得ていた従業員から見て、社有社宅の廃止は不利益変更に当たる可能性が高いです。不平等感の高まりや満足度低下につながらないよう、不利益変更となる従業員への措置は特に重要でしょう。従業員にとって不利な変更を行う場合、次の2つの条件を満たす必要があります。

・変更に妥当な理由があること
・就業規則の変更について従業員に周知すること

社有社宅を廃止する際は、納得できる理由を説明したうえで制度の変更内容を周知しましょう。条件を満たしていない場合、トラブルに発展する可能性が高いので注意してください。

注意点3.動きの中で常に柔軟な対応をする

確実に社有社宅を廃止すると決まったら、イレギュラーな事態が起こっても常に柔軟な対応を心がけましょう。社有社宅の廃止に向けて動いていると、予想できない事態も起こり得ます。従業員から強く反対される、期日までに引越しできない従業員が出てくる、などのトラブルはどの企業でも起こる可能性があるでしょう。

従業員のことをよく考えるのは重要ですが、個別の事情をすべて考慮していると手続きが進みません。また特定の従業員にのみ特別な対応をすると、従業員間の不平等感が高まってしまいます。従業員の大半から同意が得られているなら、そのままのスケジュールで廃止を進めることも重要です。

注意点4.従業員同士のコミュニケーションにも気を配る

社有社宅を廃止することで、従業員同士のコミュニケーション機会が失われる恐れがあります。時代にあわないとする声もありますが、社有社宅の存在は従業員同士の一体感を作るうえで非常に効果的です。

社有社宅だからこそ従業員同士気軽に会話できる、一緒に暮らす仲間がいるからこそ仕事に精を出せると考えている従業員も少なくありません。社有社宅廃止により仕事へのモチベーションが大きく下がる場合は、企業にとって問題です。

テレワークが浸透している現在、住む場所がバラバラになれば仕事以外での会話が一切発生しない可能性もあります。定期的にイベントを開催する、オンラインでも雑談の時間を作るなどして、対応を考えましょう。

社有社宅を廃止した後の代替案

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社有社宅を廃止した後、どのように従業員の暮らしをサポートするか悩んでいる企業は少なくないでしょう。そこでここからは、社有社宅の代わりとなり得る適切な代替案を3つ紹介します。それぞれの代替案のメリットとデメリットを比較し、会社の状況に適したものを選びましょう。

代替案1.住宅以外の福利厚生に注力する

住宅に関する福利厚生を求める従業員が少ない場合、ほかの福利厚生で補うことを検討しましょう。通勤手当や食事補助、イベント補助など、さまざまなアイデアがあります。昨今はユニークな福利厚生で人材を集める企業も多いため、個性を出したいなら福利厚生に力を入れるのがおすすめです

ただし、どれだけ他の福利厚生を充実させたとしても、住居を用意できなければ住宅の準備を企業に頼っていた従業員から不満が出てしまいます。社有社宅を廃止するなら、まずは住宅に関連する適切な福利厚生が他にないか検討しましょう。

代替案2.給与額を上げる

社有社宅を廃止すると、住居にかかる費用の負担が大きくなります。従業員の金銭的な負担を減らすなら、基本となる給与額を上げることも検討しましょう。給与が上がれば、住居以外にお金をかけることも可能です。従業員のライフスタイルを尊重しつつ、満足度を上げたい場合はおすすめの代替案です。

ただし一度給与を上げると、今後下げるのは難しくなります。また社宅と土地を売却しても、全従業員の給与を上げるのが難しい場合もあるでしょう。会社の将来にも関わるため、経営陣も含めて慎重に検討してください。

代替案3.借り上げ社宅を利用する

社有社宅がなくなれば従業員自身で住居を探す必要があるため、従業員の負担は増えてしまいます。なるべく変わらない環境で従業員に働いてもらうため、賃貸物件を社宅として借り上げ、従業員に提供しましょう。

借り上げの社宅であれば、社有社宅にくらべて特に費用や管理などのコストを大幅に軽減できます。建物、土地が自社の資産とはならない点はデメリットですが、幅広い選択肢から選べるため利便性が高いといえます。

より多くの従業員に納得してもらえる代替案として、借り上げ社宅はおすすめです。社有社宅を廃止した後の対応に悩んでいる担当者は、まず借り上げ社宅を前向きに検討する方向で進めましょう。

また、従業員満足度の高い借り上げ社宅を導入するために、専門のサービスを利用することを検討しましょう。従業員エンゲージメントを高めること念頭に置いたサービス展開をしているあたらしい社宅サービス「マイナビBiz」は、無料相談も受け付けていますので、気軽に相談することが可能です。こちらからお問い合わせください。

社有社宅廃止後は借り上げ社宅の利用がおすすめな理由

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社有社宅廃止後の代替案は複数ありますが、特におすすめなのが借り上げ社宅です。借り上げ社宅を導入すれば従業員の住まいを直接サポートできるうえ、維持費も社有社宅と比べ大幅に抑えられます

社宅として利用できる賃貸物件は全国各地にあるため、ぜひ前向きに検討してみてください。ここからは借り上げ社宅が代替案として特におすすめな理由を3つ紹介します。

理由1.企業と従業員ともに節税効果がある

借り上げ社宅にかかる家賃は非課税となるため、節税効果が大きいです。また給与という形で従業員にお金を渡すわけではないため、所得税が課されるわけではありません。所得税の支払いを抑えられるため、従業員にとっても借り上げ社宅のメリットは大きいでしょう。

理由2.住宅管理面での負担を軽減できる

借り上げ社宅の場合、物件の管理は基本的に不動産業者が行います。部屋を借りているだけであれば管理の負担を大幅に減らせるため、担当者の負担を軽減できるでしょう。また借り上げ社宅であれば修繕に費用をかける必要もなく、初期費用も大幅に抑えられます。社宅の維持費が毎月の大きな負担となっていた場合は、借り上げ社宅を検討しましょう。

理由3.社有社宅よりも入居先の選択肢が増える

社有社宅は保有している物件数によって、従業員の入居先が明確に決まってしまいます。しかし借り上げ社宅なら賃貸である分、選択肢が多いといえます。社宅として借り入れできる物件は全国各地にあるため、転勤にも対応しやすいでしょう。

また賃貸物件は多様であるため、従業員のニーズにあわせて柔軟に対応できます。実際に働く従業員の意見を聞き、適切な物件を探せば大幅な満足度向上も見込めます。

社有社宅の廃止は計画的に。借り上げ社宅への切り替えがおすすめ

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社有社宅廃止による影響は大きく、従業員からの不満も出やすいです。廃止の手続きは早めに進め、丁寧に理由と今後の対応について周知しましょう。社有社宅廃止後の代替制度としては、福利厚生を充実させる、給与を引き上げるなどの案があります。しかしそれぞれデメリットが大きいため、迷っている場合は借り上げ社宅を検討してみましょう。

借り上げ社宅なら管理費用を抑えられるうえ、従業員の住む場所も確保できます。また選択肢が豊富にあるため、従業員のニーズも満たせるでしょう。

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(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2023年6月時点のものです。


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