公開日:2026/08/18最終更新日:2026/08/25

役員社宅とは?【税理士がコメント】 導入するメリットや経費にして節税する方法・注意点を解説

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役員社宅とは?【税理士がコメント】 導入するメリットや経費にして節税する方法・注意点を解説

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役員住宅の導入を検討する企業も多いのではないでしょうか。
節税などのメリットが大きいようであれば、導入したいですよね。

この記事では、役員社宅を導入することで得られるメリットや注意点を解説します。
自社で抱えている役員の住宅に関する悩みと、役員住宅のメリット・デメリットを比較して判断しましょう。

役員社宅とは

役員社宅とは


役員社宅とは、従業員の中でも特に役員が利用する社宅のことです。
ここで紹介する役員社宅制度とは、会社名義で社宅を保有もしくは借りて役員に貸し、家賃の一部を徴収する制度を指します。

通常の社宅との違いは、役員が支払うべき家賃の金額を決めて企業側に支払うことです。
役員社宅は、企業側の家賃負担分を全額損金算入できるため、節税効果が大きいのが特徴です。

税法上で役員社宅として認められるには、次の3つの条件があります。
 

  • 賃貸契約は法人名義で結ぶ
  • 家賃の一部を役員本人が自己負担する
  • 大家への家賃の支払いは、名義人である法人が直接行う


また役員社宅は、床面積によって住宅の種類が分けられています。
それぞれ役員の家賃負担額が異なるため、正しくルールを守って活用することが必要です。
 

上記は厳密には法律に明記されていませんが、実務の指針として「タックスアンサー」に記載されています。
渋田貴正氏(税理士・司法書士)

参考:国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」

役員社宅のメリット

役員社宅のメリット


役員社宅制度で得られるメリットを3点紹介します。
役員社宅の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

会社負担分を経費にすることで節税できる

役員社宅制度の一番のメリットは、節税効果が大きいことでしょう。
役員が会社名義で借りている物件に住む場合、企業側が負担する家賃は経費として計上できます。

例えば、役員が住むマンションの賃料20万円を会社が契約し、半額の10万円を会社負担とした場合、
10万円×12か月=120万円/年を全額損金として計上できます。

つまり、会社の利益が120万円減ることになり、その分法人税が減ることで節税できるということです。
役員社宅は経費にできる金額が大きいため、会社名義の賃貸に住んで節税を図る経営者もいます。

社会保険料負担を軽減できる

続いてのメリットは、社会保険料の負担を軽くできる点です。
役員であっても、社会保険料の一部は会社が負担しています。

そのため、役員報酬を減らすことで、社会保険料の負担を軽くすることができます。
役員社宅を提供する形にすることで、会社が負担する家賃の分だけ役員の報酬を減額し、残りの分を徴収することで見かけの役員報酬を減額できます。

今まで役員自身の口座から支払っていた家賃を、あらかじめ会社が支払い・徴収するだけです。
そのため、実質の給与額に変更はありません。
 

【経営者必見】社宅を経費にして節税する方法? ~条件は?税金以外にもメリットがある?(税理士コメント付き)

役員報酬の手取りを増やせる

役員社宅を導入することで、役員の手取りも増やすことができます。
役員社宅では家賃の一部を会社が負担するため、家賃負担が軽減されるからです。

また、役員報酬から会社へ支払う社宅の家賃分が引かれるため、所得税や社会保険料、住民税などの負担が軽減されます。
役員社宅制度を取り入れず、役員が個人で住居を契約した場合には、単なる給与からの自己負担となります。

しかし、役員社宅制度を活用すれば、会社としても個人としても税効果が得られます。
 

【税理士によるコメント】
役員社宅の導入のメリットは、会社の視点からみれば、プライベートとしての住居利用分も一定割合で経費に計上でき、法人税を低減できる点です。

役員個人の視点でも、住居費の一部を会社負担にして、その分役員報酬を減らせば所得税や社会保険料を抑えることができます。
また、社宅の一部をオフィス代わりの専有スペースにしている場合には、その分は社宅家賃とは別に事務所家賃として計上できるなどのメリットもあります。

渋田貴正氏(税理士・司法書士)

役員社宅の費用を経費にして節税する方法

役員社宅の費用を経費にして節税する方法


 

役員社宅の費用を経費にする方法を、以下の3ステップで解説します。
 

  • 賃貸料相当額の計算
  • 役員社宅の賃料の決め方
  • 社内規程の制定


家賃負担額の配分を間違えると、課税対象になるリスクがあります。
これから説明する方法をしっかり確認していきましょう。

賃貸料相当額を計算する

役員住宅制度で節税するためには、賃貸料相当額を計算する必要があります。
賃貸料相当額とは、国税庁の定めた一定額の家賃のことです。

賃貸料相当額には、住宅の床面積によって3タイプがあります。

  • 小規模な住宅
  • 小規模でない住宅
  • 豪華住宅


3タイプの住宅のうち、豪華住宅に関しては法人名義であっても経費として計上できません。
以下では、小規模な住宅・小規模でない住宅の規定と賃貸料相当額の計算式について説明します。

小規模住宅の場合

小規模住宅とは、下記の条件を満たした住宅を指します。
 

  • 法定耐用年数30年以下:床面積132平方メートル以下の住宅
  • 法定耐用年数30年超:床面積99平方メートル以下の住宅


区分所有の建物は、共用部分の床面積を按分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。
下記3項目の合計額が賃貸料相当額になります。
 

  • その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
  • 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル)
  • その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%

出典:国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」
 

【税理士によるコメント】
例として、以下の条件で小規模社宅の賃貸料相当額を計算してみます。ただし、豪華社宅には該当しないものとします。


建物の固定資産税の課税標準:400万円
建物の総床面積:70㎡
敷地の固定資産税の課税標準:600万円

400万円×0.2%=8,000円
12円×70㎡/3.3㎡=255円
600万円×0.22%=13,200円
賃料相当額=1+2+3=21,455円
 

上記のケースでは、賃料相当額21,455円以上を毎月役員から徴収すれば、所得税の課税は行われません。

渋田貴正氏(税理士・司法書士)※計算式も含む

小規模以外の住宅の場合

役員に貸し出す社宅が小規模住宅でない場合、自社所有の社宅と借り上げ社宅で賃貸料相当額の算出方法が異なります。

1. 自社所有の社宅の場合
次のAとBの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。

A:その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 12%
ただし、法定耐用年数が30年を超える住宅の場合には、12%ではなく10%を乗じます。
B:その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 6%
 

【税理士によるコメント】
例として、以下の条件で小規模社宅以外の社宅(自社所有物件)の賃貸料相当額を計算します。建物の法定耐用年数は30年超(鉄筋コンクリートなど)を想定します。

ただし、豪華社宅には該当しないものとします。

建物の固定資産税の課税標準:2,000万円
敷地の固定資産税の課税標準:3,000万円

A:2,000万円×10%=200万円
B:3,000万円×6%=180万円
賃料相当額=(A+B)/12=316,667円

上記のケースでは、賃料相当額316,667円以上を毎月役員から徴収すれば、所得税の課税は行われません。

渋田貴正氏(税理士・司法書士)※計算式も含む


2. 借り上げ社宅の場合
会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記「自社所有の社宅」で算出した賃貸料相当額との、いずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

出典:国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」

【税理士によるコメント】
例として、以下の条件で小規模社宅以外の社宅(借り上げ社宅)の賃貸料相当額を計算します。建物の法定耐用年数は30年超(鉄筋コンクリートなど)を想定します。

ただし、豪華社宅には該当しないものとします。

建物の固定資産税の課税標準:1,500万円
敷地の固定資産税の課税標準:2,000万円
1か月当たりの家賃:50万円

A:1,500万円×10%=150万円
B:2,000万円×6%=120万円
賃料相当額=(A+B)/12=22.5万円
1か月当たり家賃の50%=50万円/2=25万円
 

この場合、25万円>22.5万円となるため、賃料相当額は25万円となります。

渋田貴正氏(税理士・司法書士)※計算式も含む

役員社宅の家賃を決める

役員住宅の家賃は、会社側の負担額が賃貸料相当額の50%を下回る範囲内で決めましょう。

ここで注意したいのが、賃貸料相当額イコール実際に支払う家賃ではないということです。
不動産会社が設定している家賃の50%を徴収すると、節税効果が薄れてしまいます。

必ず前のステップで解説している条件で賃貸料相当額を算出しましょう。
実際に賃貸料相当額の方法で計算すれば、役員の負担分は50%よりも少なくできる場合が多く、10~20%が目安になります。

つまり、家賃100万円の物件を借りる場合、損金処理は以下のような計算になります。

  • 役員負担が50% → 会社の損金は50万円/月
  • 役員負担が20% → 会社の損金は80万円/月

このように簡単な例を見ても大きな差になるため、家賃相当額を基準に負担額の配分を決めてください。

社内規程を制定する

役員社宅制度を導入する際には、事前に社内規程を制定する必要があります。
すでに従業員用の社宅制度がある場合でも、役員社宅に関しては別途規程を設けなくてはいけません。

理由は、役員と一般の従業員では税務上の扱いが違うからです。
規程では、以下のような項目をあらかじめ制定しておきましょう。

  • 役員と会社の家賃負担割合
  • 諸費用の支払い方法
  • 利用に関する決定事項

役員社宅の規程が定められていないと、税務調査などで問題になるリスクがあります。
役員社宅の導入が決まった時点で、作成に取りかかるようにしましょう。

【税理士によるコメント】
社宅規程については、入居資格者や役員から徴収する賃料の計算方法や徴収方法など、さまざまな事項を決めます。

賃料負担額や徴収方法の規定については、一例として以下のように定めます。
渋田貴正氏(税理士・司法書士)※下記規定サンプル文例も含む

(役員が負担する賃料)
第〇条
各社宅で入居者が負担する賃料(利用料金)は、次の通りである。
借り上げた家賃の20%

(利用料金の徴収)
社宅の利用料金は、当月分を当月給与より天引きすることとする。
入居時・退去時が月半ばのときは、日割りにて計算し徴収する。
転勤のタイミング上、居住していない期間の家賃は、会社で負担する。
 

社宅規程の必要性を徹底解説!社労士監修「社宅管理規程」無料ダウンロード

役員社宅で節税対策をする時の注意点

役員社宅で節税対策をする時の注意点


役員住宅のメリットを活かすためにも、導入時の注意点を知っておきましょう。
ここからは、節税対策に入る前に注意しておきたい項目について解説します。

役員住宅は住宅ローン控除が適用されない

個人で住宅を購入する際には、住宅ローン控除により最大で約400万円という大きな減税を受けられます。
しかし、法人が住宅を購入する場合には、住宅ローン控除がありません。

したがって、会社で物件を購入しようと検討している場合は、
住宅ローン控除がないことを念頭に置いて資金計画を組みましょう。

すでに所有している住宅を役員社宅にすることは難しい

役員が現在住んでいる住宅を役員社宅に変えようと考える担当者も多いでしょう。
しかし、もともと個人名義の住宅を法人名義に変更することは簡単ではありません。

手続き上は、賃貸契約の名義を個人から法人に切り替え、家賃の支払いは会社から、
役員の家賃負担分は役員報酬から天引きという形をとることができます。

ただし社宅は、そもそも従業員の住環境を会社が補助する福利厚生の一環です。
すでに問題なく住んでいる場合には、社宅として会社から補助金を出す理由がありません。

税務署からは「社宅」ではなく「住宅手当」と判断され、
課税されてしまう可能性もある点に注意しましょう。

家賃以外の負担金は経費にできない

役員社宅を利用するとき、家賃以外の費用は経費にすることができない点に注意が必要です。
たとえば、水道代・ガス代・電気代などの光熱費を会社が負担すると、役員報酬となり課税対象になってしまいます。

会社が負担することを役員社宅の規定に盛り込んでも、非課税にはなりません。

役員社宅は社有より借り上げをおすすめする理由

役員社宅には「社有社宅」と「借り上げ社宅」の2種類がありますが、
おすすめは借り上げ社宅です。

社有社宅は、固定資産税や維持費などの費用が発生します。
しかし、借り上げ社宅にすることで、維持管理にかかる費用を抑えられます。

さらに、役員の要望に合う物件を柔軟に手配できるメリットもあります。
 

【税理士によるコメント】
社有社宅では、所有者が会社であるため、固定資産税の負担が発生したり、その維持管理のためのコストを会社が負担したりしなければいけません。

もちろん借り上げ社宅では家賃がコストとして発生しますが、借り上げ社宅であれば業績に応じて物件を選択できるため、社宅利用のコストを変動費化できます。
経営面からみれば、コストを柔軟に設定できる借り上げ社宅が、総合的にメリットがあるといえます。

渋田貴正氏(税理士・司法書士)

ぜひこの記事を参考に、役員社宅の導入におけるポイントを理解し、
会社と役員の両方がお得になるような形で制度を導入しましょう。

なお、マイナビBizでは社宅サービスを提供しており、役員クラスに見合う物件も紹介できます。
社内規程の条件を満たすように選定するため、チェックの手間も減らせます。

物件の契約から入居時の立会いだけでなく、入居後のサポートにも対応しています。
役員を対象にした社宅制度の導入を検討されている担当者は、ぜひお気軽にご相談ください。

(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2023年10月時点のものです。

税理士・司法書士渋田貴正
税理士・司法書士渋田貴正
大手食品会社や外資系専門商社で経理部、人事部などで勤務後独立。その後V-Spiritsに合流し税理士・社会保険労務士登録。会社設立から設立後の税務までの実務を手掛ける。複数の資格を生かして、税務から登記など会社経営に関するさまざまな業務をワンストップで手掛けている。
大手食品会社や外資系専門商社で経理部、人事部などで勤務後独立。その後V-Spiritsに合流し税理士・社会保険労務士登録。会社設立から設立後の税務までの実務を手掛ける。複数の資格を生かして、税務から登記など会社経営に関するさまざまな業務をワンストップで手掛けている。

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