社宅規程の必要性を徹底解説!社労士監修「社宅管理規程」無料ダウンロード


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社宅規程とは、企業が運用管理する従業員向け住居「社宅」を管理する上で基準となるルールです。社宅規程を作成することで、社宅を提供する従業員の選定基準を設定できるほか、家賃や共益費、そのほか発生する費用などの条件定義が可能となります。

また、入居する従業員とのトラブルを未然に防ぐためにも社宅規程による注意事項の明記が必要です。今回は、そんな社宅規程の基礎情報や取り入れるべき具体的な内容を解説します。記事の後半では、社宅規程を作成する際に気をつけたいポイントも紹介するので、ぜひ最後までお付き合いください。

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社宅規程とは

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社宅規程とは、社宅の賃貸、使用、管理等に関する必要事項・注意点をまとめたものを指します。社宅を社員に用意する企業が定めるもので、社宅の運用や、トラブル防止、入居・退去手続きをスムーズに行うことが目的です。規程に記載する条文である規定には、入居申し込みの方法や賃料・その他費用などの金銭的な負担規定、トラブルを未然に防ぐ生活ルールなどが記載されています。また、多くの企業がルールの遵守を促すために、内容を守れない入居者に対するペナルティを盛り込んでいます。

社宅規程の必要性

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社宅規程はなぜ制定する必要があるのでしょうか。その理由について、以下の3つのポイントから解説していきます。

・法令遵守
・トラブル防止
・管理の簡易化

それぞれ詳しく説明していきます。

法令遵守

社宅規程の必要性が高い理由の一つに、法令遵守の観点が挙げられます。社宅規程は、企業が雇用する全労働者に適用する場合、就業規則と同等の扱いとなります。就業規則は管轄の労働基準監督署へ届け出ることが労働基準法第89条第1項により定められているため、社宅規程も同様に届出が必要です。したがって、社宅運用を開始するタイミングで社宅規程を作成しておく必要があります。

ただし、社宅規程を就業規則と同等の扱いとし労働基準監督署へ届け出る必要があるのは、10人以上の労働者を雇用している企業からです。雇用している労働者が10人以下の企業は、届出の必要はありませんが、今後の人員増強を予定している場合は早めに社宅規程の作成を進めておくと良いでしょう。

トラブル防止

社宅規程は入居者のトラブル防止という観点からも必要性が高いといえます。例えば、社宅規程を定めずに社宅を運用すると「なんであの人は対象で自分は対象外になるのだろうか」のような社員の不満や疑問を解消できず、不公平感や満足度の低下につながります。また、社宅を保有している企業の場合は、社宅規程にゴミ出しや駐輪場の規則などの生活ルールを盛り込むことで、住民トラブルに発展しないように事前に対策が必要です。

このようなトラブル防止を実現するには、社宅規程を設定して終わりにするだけでなく、利用する社員にきちんと説明する必要があります。そのため、規程を記載した書類を見せながら、口頭で説明することをおすすめします。

管理の簡易化

あらかじめ社宅規程を定めておくことで、管理者(企業)と住民(社員)の判断基準ができることもポイントです。事前にルール設定をしておけば「これってどうなんだっけ?」という疑問がでてきても、管理者・入居者共にケースに合わせた正しい判断が行えます。実際にトラブルが発生した際も、社宅規程に則って対処すれば属人性を排除した対応が可能になるため、さらなるトラブル発生の芽を摘むことが可能です。

社宅管理の簡易化を図るためにも、社宅規程の早期作成を実現しましょう。

社宅は昨今話題となっている、会社独自の福利厚生制度となる「法定外福利制度」において、非常に注目度の高い内容になっています。というのは、特に若い世代には不透明な経済情勢において、衣食住に不安を抱きながら働く社員が多く、生活に欠かせない存在である「住居」に関する支援制度は非常にありがたい存在となるためです。

ただし、注目する人が多いということはそれだけ制度を取り入れようと考える企業、社員が多く、トラブルの元になる可能性が高いということでもあります。会社が安心して制度を運用できるよう、また社員が安心して利用することができるよう、規程を定める前の段階で入念に内容の検討を重ねておく必要があるでしょう。

加藤知美氏(社会保険労務士)

社労士監修「社宅管理規程(サンプル)」 | お役立ち資料 | 社宅・社員寮・マンスリーマンション法人賃貸ならマイナビBiz

社宅規程に盛り込むべき内容

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ここからは、盛り込むべき内容を紹介します。

・利用者(入居者)の条件
・賃料
・会社からの距離
・間取りの制限
・入居期間
・退職時の対応
・その他費用の取り扱い

入居する社員の住宅トラブル防止や入居・退去手続きをスムーズに行う上で欠かせない項目となるので、最後までしっかり確認していきましょう。

利用者(入居者)の条件

社宅規程を作成する際は、利用者(入居者)の条件を明記しておきましょう。特に、全従業員が利用可能な社宅じゃない場合は、条件を明記しておかないと従業員に不公平感を与える原因になりかねません。

利用者(入居者)の条件は家族構成や入社年次など、企業によってさまざまな設定基準が考えられるため、ケースに合わせて作成することが重要です。

賃料

社宅規程には、賃料の基準を明記しましょう。月々の出費の中でも大きな比重を占める賃料は、社宅へ入居する社員の関心度も高く、社宅規程でいつでも確認できるようにしておくことをおすすめします。また、賃料の他に社宅管理費・その他発生する費用がある場合は併せて明記しておくとより使いやすくなります。

会社からの距離

社宅扱いにする会社と住居の距離も、明記しておくと良いでしょう。社員が賃貸契約をする際にわかりやすいよう「会社より〇〇Km以内の住居を社宅扱いとする」のように、明確な距離を提示しておくことをおすすめします。また、「〇〇駅以内」など交通手段による距離の規定を設けている場合は、そちらも漏れのないように明記しておきましょう。

距離、駅数どちらを社宅規程に盛り込むか判断に迷う時は、社員が主に使っている交通手段や会社の立地条件などを改めて調査してみてください。

間取りの制限

社宅扱いになる住居の間取り制限も、明記しておきましょう。必要な部屋の数や物件の大きさは世帯構成により異なります。条件による選択肢をあらかじめ明確にしておくことで、候補物件を探す際のやり取りを効率化できます。条件は常識的な範囲で設定しておくことで、従業員の満足度が低下しないように注意しましょう。

入居期間

社宅への入居期間を定めている場合は、必ず社宅規程に明記しましょう。その際に、入居期間の具体的な日数を明記しておくことでトラブルを未然に防ぐことも可能です。併せて「入居時の引越し日時を企業に報告する義務を明記する」のような項目を追加することで、業務と入退去の兼ね合いを把握できます。社宅制度が従業員にとって活用しやすい制度となるよう、創意工夫を盛り込むことがポイントです。

退職時の対応

従業員が退職した際の対応も、明記しておくと良いでしょう。退職と同時に社宅からも退去する必要があるので、あらかじめルールを明確にし、入居時に説明しておくことでトラブルを防止できます。

その他費用の取り扱い

賃料の他に発生する費用がある場合も、社宅規程に明記が必要です。例えば敷金・礼金の取り扱いや駐車場の賃料補助について漏れなく記載しておくことでトラブル防止に繋がります。また、企業が独自に設定している費用があれば併せて明記しておくことをおすすめします。大事なことなので繰り返しにはなりますが、入居する社員の住宅トラブル防止や入居・退去手続きをスムーズに行えるような社宅規程に近づけるよう、記載内容を検討吟味していきましょう。

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社宅規程における注意点

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ここからは、社宅規程における注意点を紹介します。

・全利用者が公平に扱われるよう注意
・情報に誤りがないように
・契約する社宅が社宅規程の範囲内かチェックする

既に社宅規程を作成している企業の担当者も、改めてチェックしてみてください。

全利用者が公平に扱われるよう注意

社宅規程の対象となる全従業員が公平に扱われるよう、偏りのない内容を作成することが重要です。たとえば「〇〇地区(会社からの距離・駅数が関係ない)に居住する従業員の家賃〇〇%を会社が補助する」のような場合、一部の従業員のみが利益を得るような社宅規程になりかねません。。

社宅規程の対象となる全社員が公平に扱われるよう、「〇〇Km以内」「〇〇駅以内」のような、条件に当てはまれば誰でも利用できる内容になるよう注意しましょう。

情報に誤りがないように

社宅規程を定める際は、明記する情報に誤りがないように注意しましょう。特に、特に賃料や入居期間、会社からの距離などの「数字」に関する情報に誤りがあるとトラブルに発展する可能性があります。社宅規程を定める際は、担当者間でダブルチェックを設けるなど情報の取り扱いに対策を設けておくと良いでしょう。

契約する社宅が規程の範囲内かチェックする

社宅規程を運用する際は、契約する社宅が規程の範囲内かきちんとチェックする必要があります。契約する社宅が規程の範囲外にもかかわらず家賃手当などを支給してしまうと混乱を招きかねないので、慎重に確認していきましょう。

ただし、契約が集中する時期や社員の納得のいく物件がなかなか見つからないときには担当者の業務負荷が大きくなります。社宅規程を運用する際は、働き方改革や物価、賃料事情など、現実的な内容となるよう定期的な見直しを行いましょう。

社宅規程は法令遵守のために必要!運用後の業務負荷に注意

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社宅制度を全従業員に適用する場合、社宅規程の制定が労働基準法で義務づけられています。トラブル防止や管理の簡易化にも重要な役割を果たすため、内容を吟味しながら決めていきましょう。また、社宅規程を正しく運用していくためには、候補になる物件が適正なのかを毎回チェックする必要があることも忘れてはいけません。社員の要望と規程の両方を満たす物件を探すことは大変な作業であることも理解しておきましょう。

特に、新入社員の受け入れ準備をする3月や異動の時期には業務が集中することが予想されます。社宅制度の担当者は他の業務に手が回らなくなることも考えられます。このような業務への対応はアウトソーシングが合理的です。信頼のおける専門サービスへの外注も検討するとよいでしょう。

なお、マイナビBizでは社宅規程に沿った物件探しを請け負います。法人利用に適した物件の案内、手続きの簡略化だけんでなく、入居時や入居後のサポートも対応する社宅サービスを提供しております。担当者が本来の仕事に集中できるよう、全力でバックアップしています。社宅制度の運用を改善したい企業や不安を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2024年1月時点のものです。

【コメント専門家プロフィール】
加藤 知美 氏
社会保険労務士
愛知県社会保険労務士会所属。総合商社、会計事務所、社労士事務所の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。
総合商社時では秘書・経理・総務が一体化した管理部署で指揮を執り、人事部と連携した数々の社員面接にも同席。会計事務所、社労士事務所勤務では顧問先の労務管理に加えセミナー講師としても活動。


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