社員寮の家賃の相場|決め方と具体的な計算方法を紹介


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従業員の働きやすさをサポートする福利厚生として社員寮を運営している企業があります。とくに、全国に支部を持つ企業や新入社員を多く採用する企業であれば転勤者のフォローや、従業員の満足度の向上に直結する制度となります。
社員寮は採用活動においてアピールが可能です。特に若手社員にとっては、支出の大半を占める「家賃」を少しでも削減できることから、かつては人気を集めてきた福利厚生と言えるでしょう。
社員寮ですが、運用に当たっては家賃相場など知っておきたいポイントが存在します。賃料・その他費用の相場など、従業員の「支出」に関わるポイントをきちんと抑えていれば、適切な社員寮の運営が可能です。

この記事では、社員寮の家賃相場について網羅的に解説します。併せて運営を成功に導くポイントも紹介します。

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そもそも社員寮とは?

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社員寮とは、企業が従業員の働きやすい環境を整える制度・福利厚生の一つとして提供される住居です。社員寮の形態はさまざまで、アパートタイプやマンションタイプ、数棟からなる大規模な団地タイプなどがあります。

基本的に社員寮は単身者向けの住居とされることが多いですが、一部の企業ではファミリー向けの住居も提供しています。企業によって社員寮の定義が異なるケースもありますが、企業が提供する住宅は幅広い意味で社員寮だと考えておくとよいでしょう。

社員寮についてさらに知りたい方は、「社員寮とは?メリット・デメリットと導入の際のポイントを詳しく紹介!」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてください。

社員寮の家賃相場

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一般財団法人労務行政研究所が2021年に発行した「労政時報 第4020号」内の「独身寮の運営に関する最新実態」によると、企業が管理・運営する社員寮・社宅の平均家賃は11,000円前後と設定していることが多いです。また、借り上げ型の社員寮・社宅では12,000円前後と、企業が管理・運営する物件よりも若干高い金額となっています。

上記の結果から、社員寮の家賃相場は11,000円〜12,000円ほどです。

総じて社員寮の家賃相場は一般の賃貸物件と比べるとかなり割安に設定されていることが多いです。社員寮に入居できる社員は低価格な家賃で生活できるため、大きなメリットを受けていると言えるでしょう。

ただし、都心部・地方、交通網の都合などで賃料の前後が予想されるので、企業ごとに適正な賃料設定を考えるようにしてください。

企業役員の社員寮における家賃の計算方法

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企業役員の社員寮における家賃の計算方法は、小規模な住宅とそれ以外の住宅に分けて計算されます。小規模な住宅であれば、家賃相当額は一般従業員と同じ計算式で割り出されます。

役員の入居する小規模な社員寮・社宅の定義は、以下を参考にしてください。

【役員が入居する小規模な社員寮・社宅の定義】

・法定耐用年数が30年以下の物件の場合、床面積が132平方メートル以下
・法定耐用年数が30年を超えている物件の場合、床面積が99平方メートル以下

役員が入居する小規模な社員寮・社宅の家賃計算方法は以下の通りです。

【社員寮・社宅の家賃計算式】

① (該当年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
② 12円×(社員寮・社宅の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
③ (該当年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

上記の①~③を合計した金額が、役員(及び一般社員)が利用する社員寮・社宅の家賃となります。

また、役員が入居する大規模な社員寮・社宅(小規模な社員寮・社宅の定義から外れるもの)の家賃計算方法は、以下を参考にしてください。

【役員が入居する小規模な社員寮・社宅に該当しない住居の家賃計算方法】

・社有タイプ(企業が管理する物件)の場合

①(該当年度の物件の固定資産税の課税標準額)×12%※法定耐用年数が30年を超える物件の場合には、12%ではなく、10%を乗じます。
②(該当年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

上記①〜②の合計額の1/12が家賃相当額となります。


・借り上げタイプの場合
企業が物件オーナーに支払う賃料の50%と、社有タイプの計算式で出た家賃の相当額、いずれか高い金額が家賃の相当額になります。

企業役員の社員寮における家賃の計算例

社員寮・社宅の管理担当者は、以下の企業役員の社員寮における家賃の計算例を参考にしてください。

例)家賃相当額が30,000円の物件を役員に貸与する

・家賃無償:30,000円が給与として課税対象に。
・家賃12,000円:家賃相当額との差額18,000円が給与として課税対象に。
・家賃18,000円:家賃相当額との差額12,000円が給与として課税対象に(50%以上のパターンでも非課税対象外)

企業役員以外の社員寮における家賃の計算方法

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続いて、企業の役員以外が入居する社員寮における家賃の計算方法を紹介します。基本的には、企業役員の小規模な社員寮・社宅と同じ計算方法で家賃の計算が可能です。

【一般社員が入居する社員寮・社宅の家賃計算式】

① (該当年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
② 12円×(社員寮・社宅の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
③ (該当年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

この金額より低い家賃で従業員に貸し出したパターンでは、家賃相当額と家賃との差額が給与として課税されます。ただし、従業員(役員を除く)は家賃が家賃相当額の「50%以上」であれば、差額は課税対象外となります。

より良い社員寮運営のポイント

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社員寮は、社員の働きやすい環境づくりに大きく貢献できる福利厚生です。以下の社員寮運営のポイントを参考に、より良い運営を目指しましょう。

・社宅規程を作る
・セキュリティ対策を講じる
・立地や間取りにもこだわる
・家賃やルールは地域性も考慮する
・家賃・その他費用の変更は迅速に

それぞれ詳しく解説します。

社宅規程を作る

社員寮を運営する際は、必ず社宅規程を作りましょう。社宅規程は、社員寮・社宅のルールブックと呼べる存在で、企業・従業員の双方が理解し遵守していく必要があります。

また、社宅規程は書面化するとページ数が増えてしまったり、内容が形式ばったものが増えてしまったりして、従業員の理解が浅くなる危険もあります。社宅規程はただ手渡すだけではなく、読み合わせなどを実施して口頭での説明をしましょう。

社員寮・社宅の社宅規程については「社員寮の規程や規則はどう決める?必要事項と策定の注意点を徹底解説」で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてください。

セキュリティ対策を講じる

社員寮を運営する際は、セキュリティ対策を講じると良いでしょう。特に、泥棒や強盗など外部要因に対して講じるセキュリティは、女性社員を中心とした社員寮の入居者の安心につながります。

例えば、以下のようなセキュリティ対策は比較的簡単に導入できるのでオススメです。

・防犯カメラの設置
・オートロックの導入
・トラブル発生時に駆けつけられる民間セキュリティ企業との契約

社員寮のセキュリティ対策を講じることで、入居者の満足度が高まるほか、求職者へ「社員思いの会社」とアピールも可能です。

社員寮の運営を担当している担当者の方は、ここで挙げた例を元に更なるセキュリティ対策について検討してみてください。

立地や間取りにもこだわる

「社員寮はあるけれど、思うように入居希望者が集まらずに困っている」という担当者の方は、立地や間取りにこだわるのもオススメです。

従業員が社員寮に感じる大きなメリットとして「家賃の安さ」が挙げられます。家賃の安さに加え、複数の路線が利用できる立地や在宅ワークに利用できる間取りも社員寮に取り入れることができれば、入居希望者が増える可能性が高まります。

ただ、新たに社員寮を建設するのはコスト面で企業の大きな負担となるでしょう。上記のように立地や間取りにこだわった社員寮を新たに運営したい担当者の方は、借り上げ社宅を提供する社宅サービスの利用も検討してみてください。

家賃やルールは地域性も考慮する

社員寮の家賃には、先に説明した通り11,000円〜12,000円と相場が存在します。しかし、社員寮のある地域によってフレキシブルな金額設定を心がけると良いでしょう。例えば、オフィスの敷地内に社員寮があり、周辺地域には従業員が出かけるような施設がない、といったケースでは家賃を相場より安く設定することで従業員の満足度を高めることができるでしょう。反対に、都心の一等地に社員寮を構えている場合は、運営費用と照らし合わせて相場より高い金額設定にしても良いでしょう。

家賃と同じく、社員寮で過ごす従業員向けのルールも、地域性を考慮して作成すべきです。具体的な社員寮のルール(社宅規程)作りについては「社宅規程の必要性とは?盛り込むべき規定の内容も具体的に解説」をご覧ください。

家賃・その他費用の変更は迅速に

社員寮・社宅の家賃やその他費用を変更する際は、迅速に従業員へ通達しましょう。社員寮に入寮する従業員の中には、家賃が安いことをメリットに感じている人も多くいます。そのため、家賃の引き上げに不満やデメリットを感じる可能性は高いので迅速な通達と丁寧な事情説明が必要です。

また、家賃の引き上げは社員寮を運営する企業に対する不満へ直結することもあります。どうしても家賃の引き上げが必要な場合は、少額ずつ段階を踏むなど従業員へのインパクトを軽減しておくと良いでしょう。

まとめ:適正な家賃と運営方法でより良い社員寮を目指そう

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社員寮を運営する際は、地域性を加味した適正な賃料を心がけましょう。企業側の都合で社員寮の家賃を引き上げる際は、迅速な通達と丁寧な説明を心がけることも肝心です。

社員寮を運営する際は、設備や間取り、立地など家賃以外の部分でも従業員の満足度を高めるトピックを用意できることが望ましいです。ただ、すでに社員寮を持っている企業は新たに良い立地や間取りの物件を建てる・購入するのはコストの面で難しいこともあるでしょう。

そのようなときは、借り上げ社宅を管理・貸出している業者に相談してみるのもオススメです。マイナビBizでは、社員寮として使える物件の貸出・管理を行っています。契約フローの簡略化やスムーズな入居フローを整備しているため、これから新たに社員寮の導入を検討している担当者の方を強力にサポートしています。

さまざまな条件の物件を準備し、ニーズに合わせてオススメ物件を提案可能なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2023年2月時点のものです。


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