2021
04.01

職住近接とは? メリット・デメリットや職住近接の実現例を紹介

職場と住居の距離が近いことを意味する「職住近接」。この記事では、職住近接のメリットやデメリットを紹介するとともに、実現方法を解説します。

満員電車が恒常化した日本の都心部では、通勤するだけで疲弊してしまうことも少なくありません。職住近接は、そのようなストレスを軽減することで心身にゆとりを生み、業務への意欲を向上させる効果も期待できます。職住近接を叶えるために個人でできること、企業が担うべきことを整理して解説します。

目次
1.職住近接とは
 1-1.首都圏の通勤事情が職住近接を後押し
 1-2.通勤ストレスはエンゲージメントに悪影響も
2.職住近接のメリット・デメリット
 2-1.職住近接のメリット
 2-2.職住近接は企業にとってもメリットあり!
 2-3.職住近接のデメリット
3.職住近接を叶えるためには
 3-1.職場の近くに住居を構えるケース
 3-2.住居に職を近づけるケース
4.新型コロナの影響で職住近接が再注目

1. 職住近接とは

職住近接とは文字のとおり、職場と住居が近いことを指します。国土交通省が推奨しており、その背景には日本特有の通勤事情が大きく関係しています。

1-1.首都圏の通勤事情が職住近接を後押し

日本では、高度経済成長期に多数の若者が地方から都市部に移り住み、その受け皿として、郊外住宅地が作られました。都心から離れた場所にマイホームを構え、毎日長時間電車に揺られながら通勤する人は少なくありません。新幹線や高速バスで通勤するケースも見受けられます。 総務省の「社会生活基本調査(平成28年)」によると、首都圏3県(神奈川県、千葉県、埼玉県)の平均通勤時間は往復1時間41分。そのあいだ、読書や動画鑑賞などをゆったり楽しめれば良いのですが、乗車率の極めて高い都心部の鉄道網では、座れるとも限りません。

東京圏の通勤ラッシュ時の乗車率は161%。なかでも東京メトロ東西線(木場→門前仲町)は199%、JR東日本横須賀線(武蔵小杉→西大井)は195%、JR東日本東海道線(川崎→品川)は193%となっており、定員の2倍近い人員が乗車している状況です(国土交通省「都市鉄道の混雑率調査結果」令和元年度実績より)。

乗車時間の大半を立ちっぱなしで過ごしたり、前後左右から圧迫を受けながら過ごしたりすることも日常茶飯事でしょう。加えて、予期せぬ事故で電車が遅延するケースもしばしば。通勤するだけで疲弊してしまったり、ストレスが蓄積されてしまったとしても無理はありません。

このような状況を受けて、国土交通省が長時間の通勤や通勤混雑を是正し、ゆとりある生活を実現する必要性を踏まえ、職住近接を呼びかけるようになりました。

1-2.通勤ストレスは仕事のパフォーマンス・モチベーションにも影響

通勤のストレスは企業のエンゲージメントとも深く関係しています。2019年の「通勤ストレスがワーカーの満足度に与える影響」(ザイマックス不動産総合研究所調べ)では、通勤ストレスが高い人は低い人に比べて「時間効率よく(時間の無駄なく)働けている」「毎日楽しく働けている」割合が約30ポイントも少ないというデータもあります。通勤時間に感じるストレスが仕事のパフォーマンスや働くことへのモチベーションにも影響していることが伺えます。

出典:「通勤ストレスがワーカーの満足度に与える影響」(ザイマックス不動産総合研究所)

2. 職住近接のメリット・デメリット

2-1.職住近接のメリット

職住近接には、どのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

①通勤時間の短縮

職住近接のメリットはまず、なんといっても通勤時間の短縮です。満員電車のストレスは、音や臭いなど多岐に渡るもの。毎日激しいラッシュにもまれながら通勤していたとしたら、職住近接を取り入れることで、心身ともに疲労感の減少が見込まれます。

②ゆとりある生活が可能になる

出勤前の朝の時間にゆとりが持てるのもうれしい点です。退勤後、家に到着する時間も早まるので、手の込んだ夕食を作ったり、ゆっくりお風呂に浸かったりすることも可能になります。睡眠時間も確保しやすくなるので、十分な休息が得られるほか、資格の勉強する時間や思考の幅を広げるための読書の時間、家族と過ごす時間なども生まれ、心にゆとりが生まれるでしょう。

③徒歩通勤・自転車通勤ならではのメリットもあり

徒歩や自転車でオフィスに向かう場合、日々の通勤が運動不足の解消にも繋がります。外の空気に触れ、季節の移り変わりを感じることで、心身のリフレッシュがよりしやすくなるでしょう。移動時間が片道5〜10分位であれば、休憩時間に自宅に帰宅して昼食をとることもでき、節約にもつながります。

④新型コロナウイルス感染のリスク減少

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、繰り返し叫ばれてきた「3密」。時差通勤やテレワークの推奨に伴い、以前ほど混み合わなくなった都心部の鉄道網ではありますが、極力避けたい人も少なくないでしょう。職住近接であれば、電車に乗る機会が激減するため、不特定多数と触れ合う機会が減らせます。

2-2.職住近接は企業にとってもメリットがある!

職住近接は、個人だけでなく企業側にもメリットがあります。

①生産性の向上が期待できる

従業員ひとりひとりが余暇を楽しみ、十分に休息し心身を整えることは、企業にも良い影響を及ぼします。充実した生活は業務への活力を生み、ひいては生産性の向上にも繋がるでしょう。また、従業員のなかには、通勤の疲労と業務の疲労を混同し、本当は仕事が好きなのに、しんどいと感じてしまっている人もいるかもしれません。そのような場合にも、通勤の疲労を払拭することは有効です。

②交通費の削減が期待できる

1か月あたり1万円以上の交通費をかけ、通勤している人は少なくありません。新幹線や高速バスなどでの通勤であれば尚更です。福利厚生制度により月5万円といった上限を設けて交通費を支給したり、月単位で一律の金額を支給している企業であれば、万単位の費用が一気に削減できる可能性は大いにあるでしょう。

③採用のアピールポイントになる

「マイナビ2021年卒大学生就職意識調査」によると、企業選択時の際のポイントに「勤務制度、住宅など福利厚生の良い会社」を上げた学生は19.8%。職住近接促進のために住宅補助を行う場合、採用活動のアピールポイントにもなります。

2-3.職住近接が向いている職種・役職

どのような業種でも職住近接は有効ですが、特に向いているのはエッセンシャルワーカーと呼ばれる、医師や看護師などの医療従事者、介護や福祉に関わる人たちです。勤務時間が変則的で夜勤も伴うなか、すぐ帰れる場所に住まいがあることは安心感に繋がります。

役職の面では、万が一の際に緊急対応を行う立場にいる管理職にも職住近接は向いているでしょう。

2-4.職住近接のデメリット

多数のメリットをもたらす職住近接ですが、もちろんデメリットもあります。

①都心部の場合、家賃が高い

ビジネス街と呼ばれるエリアの家賃相場は高額です。東京都心部の1R家賃相場は、千代田区は11.9万円、中央区は10.6万円、港区は12.6万円、渋谷区は9.0万円。住宅補助なしで、個人で賃貸契約を結ぶとすると、家計への影響はかなりのものになるでしょう。
(参考:CHINTAI「東京23区のワンルーム(1R)の家賃相場情報(2021年03月27日更新)」)

家族で都心部に住む場合、ファミリー用の部屋賃料はさらに上がります。
また、小さな子供のいる家庭であれば、子育て支援の内容や認可保育園への入りやすさ、公園や教育施設の充実度は自治体ごとに異なります。家族で暮らす場合、さまざまな影響に配慮する必要があるでしょう。

②公私の区別がつけにくくなる

通勤でオン・オフの切り替えをしていた人にとっては、通勤時間が短くなることで仕事とプライベートの切り替えが難しいと感じるかもしれません。
また、職場と住まいが近いと休日でも社内の人間に出くわす可能性があるため、公私の区別をはっきりつけたい場合、居心地が悪いと感じるケースもあるでしょう。

③転職の際に転居を伴う場合がある

職住近接のデメリットの一つに、勤務先が変わるたびに引っ越しをする必要性が挙げられます。転職のたびに引っ越すとなるとかなりの負担になります。
転職の条件に、借り上げ社宅制度や家賃補助制度があるかどうかも確認しておくと個人の負担を軽減することができます。

3. 職住近接を叶えるためには

職住近接を実現するためには、どのようにすればよいのでしょうか。
職住近接のメリットを生かすために、様々な努力をしている企業も増えています。

3-1.職場の近くに住居を構える例

企業が先導し、職場の近くに住居を構える方法は大きく分けて2つあります。

①職場の近くに住んだら住宅手当を出すケース
1つ目は、一定の範囲に住む従業員に住宅手当を支給するケースです。職住近接を推進する企業の中には、勤務地から2駅圏内に住んでいる社員に対して月3万円の家賃補助を出している企業があります。
なかには、初めて勤務地から2㎞圏内に引っ越す社員に20万円の近距離奨励金を支給している企業もあり、従業員が勤務地の近くに住みやすくなる制度が用意されています。

②社宅として社員を住まわせるケース
2つ目は、社宅として従業員を住まわすケースです。企業が不動産会社から部屋を借り上げ、社宅にする場合もありますが、最近では月単位で社宅を導入できるサービスが広がっており、中にはマンションを1棟まるごと社宅にできるサービスも登場しています。

住宅手当を支給する場合、住居探しは従業員が個人で行いますが、社宅の場合、住居探しは人事担当が行うことになります。その際に注意するべきは、従業員にとっての住みやすさ。例えば、壁が薄く騒音トラブルが発生しやすい環境の場合、そのストレスが業務のパフォーマンスに影響してしまう可能性もあります。通勤のストレスがなくなっても、住環境がストレスの元凶になってしまっては元も子もありません。

スーパーやコンビニが近くにあるかなど周辺環境の確認、ネット環境、オートロックなどのセキュリティ設備面も注意して見ておきたい点。コストを抑えることに注視しすぎることなく、実際に居住する人が住みやすい環境か否かをしっかり見極める必要があります。

3-2.住居に職を近づける例

近年では、オフィスの近くに住居を構える以外の方法にも注目が集まっています。職の方を住居に近づけるのです。その最たるものは在宅勤務ですが、より快適なテレワーク環境を従業員に提供する企業も増えています。

①サテライトオフィスを構える

コロナ禍での在宅勤務をきっかけに個人でシェアオフィスを利用する人やサテライトオフィスを構える企業が急速に増えました。サテライトオフィスとは、企業の本社や本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィスです。従業員の住居に近い場所に設置することで、職住近接を実現することができます。

企業側がサテライトオフィスを構える場合、制度から整える必要があるでしょう。サテライトオフィスとして運営されている施設やシェアオフィスを利用すれば、テナント契約するよりもずっと低コストでの運営が可能です。

これまでは、コンサルタント、Web開発、デザイナー、ライターなど、場所に囚われない働き方が可能な職種がサテライトオフィスを利用することがメインでした。
しかし最近では、コロナの影響により働き方の多様性を目的として、サテライトオフィスを導入する企業が急増しています。

4.新型コロナの影響で職住近接が再注目

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、生活が一変し、テレワークの導入が一気に加速するなかで、通勤への意識が大きく変わりつつあります。

野村研究所の「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う在宅勤務等に関する調査」において「通勤時間が削減できたことで、時間を有効に活用できた」と回答した人は78%。時間を家事や育児、家族と過ごす時間に充てられたとの声が寄せられています。

テレワークの経験がきっかけとなり、これまで満員電車で通勤するのが当たり前だと思っていた人も働き方を見直すようになりました。職住近接もその一つ。ここまで見てきたような職住近接のメリットにも目が向けられるようになりました。

企業にとっても、職住近接の観点から生産性の向上を考えようという観点が生まれており、この動きは今後ますます加速することが予想されます。

このような働き方の変化を受けて、オフィスやサテライトオフィス、住居においても新しいサービスが続々と登場しています。これらのサービスの動向に今後も注目しておくとよいでしょう。

(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2021年4月時点のものです。

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