住宅手当の廃止は可能?企業の現状とデメリット、代替制度を徹底解説!
住宅手当にかかるコストは非常に大きいため、制度の廃止を検討する企業は少なくありません。
しかし、住宅手当をただ廃止するとなると従業員の不満につながり、離職率が増加する可能性もあります。
住宅手当を廃止する際は他の手当や社宅の導入など、適切な代替案を用意しましょう。
この記事では住宅手当の廃止を検討すべき事案や廃止のデメリット、効果的な代替案の例を詳しく紹介します。
従業員の満足度を維持しつつ住宅手当を見直したい担当者は、参考にしてください。
住宅手当を廃止する企業が増加
従業員の生活を安定させるため、福利厚生の一環として住宅手当を導入している企業は少なくありません。住宅手当があれば、生活にかかるお金の負担が減り従業員の満足度が上がります。
ただし、東京都産業労働局によると、住宅手当を支給していない中小企業は平成の終わりから現在に至るまで増加傾向です。
調査年度 | 住宅手当の支給をしていない企業の割合 |
令和4年 | 60.0% |
令和3年 | 61.7% |
令和2年 | 50.7% |
令和1年 | 57.1% |
平成30年 | 55.7% |
平成29年 | 57.4% |
参考:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」
住宅手当の支給について見直す企業は、今後も増えていくと言えます。
住宅手当の廃止を検討すべきケース
住宅手当の存在は従業員にとって大きなメリットではあるものの、従業員のニーズと合致していないケースもあります。従業員をサポートする制度として、住宅手当が効果的に運用されているか確認しましょう。
ここからは住宅手当の廃止を検討すべき企業の特徴をケース別に解説します。
リモートワークを推進している
リモートワークが主流の会社が増えている現在、通信費や電気代の支給を求める声は日々大きくなっています。また、作業環境を整えるため、デスクや椅子などの購入費用の補助を求めている従業員もいます。
しかし、住宅手当は賃料の補助や住宅の購入費用としての利用しかできません。働き方改革により従業員のニーズが多様化している現在、通信費や電気代など、さまざまな用途に利用できる手当の支給を検討すべきでしょう。
雇用形態によって待遇が大きく異なる
現在は働き方改革によって、雇用形態によらず同じ仕事をしている場合は待遇を同じにする同一労働同一賃金が徹底されています。
参考:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」
正社員のみに住宅手当を出しているなど、雇用形態によって待遇が異なっている場合は問題となる可能性が高いです。また同じ仕事をしているのに待遇が異なる状態では、従業員同士の関係が悪化する危険もあります。
ただし、コストの問題からすべての雇用形態で住宅手当を導入するのは困難です。これまで住宅手当を受け取っていた従業員にとっては不利益ですが、平等な待遇を実現するため住宅手当廃止の方向で検討を進めることも必要です。
住宅手当が企業の大きな負担となっている
従業員の人数が多いほど、住宅手当の支給はコスト面で大きな負担となります。日本経済団体連合会により2019年におこなわれた調査によると、法定外福利厚生費のうち住宅関連は48.2%でした。
参考:日本経済団体連合会「第64回 福利厚生費調査結果報告」
住宅に関する福利厚生費は約半分を占めており、業績悪化などで住宅手当の支給が困難な企業もあるでしょう。制度継続ができない場合、手当の廃止を検討すべきです。
節税をしたいと考えている
住宅手当は給与所得と見なされるため、従業員に渡しても所得税や住民税、社会保険料が引かれてしまいます。また企業側も、住宅手当により社会保険料の負担が必要です。
参考:国税庁「No.2508給与所得となるもの」
そのため、節税したいと考えている企業は住宅手当の廃止を検討しましょう。
一方で、従業員から一定の金額を受け取ったうえ提供する社宅であれば給与とみなされません。節税のため、社宅の導入を前向きに考えてみてください。
参考:国税庁「No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき」
住宅手当の廃止で発生するデメリット
住宅手当を廃止すれば企業の負担は大きく減ります。しかし、廃止にはデメリット、注意点もあるのでいきなり廃止するのは避けるべきです。
ここからは廃止にあたって検討すべきデメリット、注意点を解説するので、ぜひ事前にチェックしてください。
不利益変更となる可能性がある
住宅手当の廃止は、これまで手当を受け取っていた従業員にとって不利な変更です。そのため不利益変更に該当する可能性があります。
不利益変更とは従業員にとって不利な内容で、会社が一方的に労働条件を変えることです。住宅手当を廃止する際は、不利益変更とならないよう、従業員から個別に同意を得る必要があります。
待遇差による不平等感が高まる
雇用形態による待遇差の改善のため、住宅手当を廃止する企業は多いです。しかし状況によっては、住宅手当を一部廃止することで待遇差が拡大する可能性もあります。
例えば、子どものいる家庭に対してのみ住宅手当を残す場合、独身の従業員、子どものいない従業員の不満は大きくなります。また、住宅手当をすべて廃止しても、それ以外の福利厚生制度が雇用形態によって大きく異なる場合は不平等感が解消されません。
従業員の満足度低下につながる
住宅手当は実質的に賃金であるため、住宅手当の廃止は賃金が低下するのと同じです。そのためいきなり住宅手当を廃止すると、従業員から大きな反発を受けるでしょう。
また住宅手当の有無で会社を選んでいる従業員は少なくありません。住宅手当が廃止されると会社への満足度が大きく低下し、離職が相次ぐ可能性もあります。
住宅手当の廃止に伴う効果的な代替策
住宅手当を廃止すれば従業員からの不満が高まるため、従業員に納得してもらえる、効果的な代替案を用意すべきです。考えられる代表的な代替案を、ここからは4つ紹介します。
他の福利厚生を充実させる
従業員の暮らしをよりよくするため、住宅以外の福利厚生制度を充実させましょう。従業員の満足度を高めるために導入したい福利厚生は、次のとおりです。
・通勤手当の支給
・食事費用の補助
・カフェテリアプランの導入
・運動施設の費用補助
生活に直結する内容を提示することで、従業員の納得感は高まります。代わりとして充実した福利厚生を提供すれば、手当廃止を受け入れてくれる従業員が増えるでしょう。
ただし、住宅以外の福利厚生の効果は、従業員の生活において間接的なものです。住宅に関して直接のサポートが必要な場合、社宅の用意がおすすめです。
在宅勤務手当を導入する
テレワークの従業員が増えている場合、代替案として在宅勤務手当の導入がおすすめです。在宅勤務手当はさまざまな用途に利用できるため、働き方が多様化している現代にピッタリです。
ただし、在宅勤務ができない従業員がいる場合、不平等感が高まる可能性があります。またこれまで毎月充実した住宅手当を渡していた場合、高額な在宅手当でなければ代案として不十分と言えます。
借り上げ社宅の用意など、在宅勤務手当以外の代替案も考えてみましょう。
給与額を見直す
住宅手当は実質的に賃金であるため、住宅手当を廃止する場合は給与額アップを検討すべきです。住宅手当の支給を廃止したとしても、給与が上がれば納得してくれる従業員が増えます。
ただし、一旦給与を上げると、後に給与を下げるのは非常に難しいです。給与額に変更を加える際は、弁護士・社会保険労務士などの専門家に相談するのがおすすめです。
社宅を用意する
従業員の暮らしを守るうえで、住まいに関するサポートは非常に重要です。住宅に直接関連するサポートとしては、社宅の用意がベストです。
社宅には借り上げと社有の2種類がありますが、多様な従業員のニーズに応えるなら、借り上げ社宅が適しています。家具・家電付きの物件や短期入居OKの物件などもあるため、働き方や従業員からの要望に合わせて適切なものを選びましょう。
ただし、借り上げ社宅では、住宅探しや契約の手間が担当者の大きな負担です。社宅の準備、運用について総合的にサポートするマイナビBizで、負担を軽減しましょう。
住宅手当を廃止するなら社宅の導入がおすすめな理由
従業員の生活を安定させるなら、住宅手当廃止のデメリットを回避できる社宅の導入がピッタリです。
社宅があれば住宅手当がなくても家賃に関する負担が大きく軽減されるため、住宅手当廃止を検討する際、従業員にも納得してもらいやすいです。またニーズに適したさまざまな社宅を安く用意すれば、従業員の満足度アップにつながります。
マイナビBizでは短期にも長期にも適した家具・家電付きの物件を柔軟に紹介しています。細かな要望に合わせて手続きのサポートもおこなうため、社宅を用意する際の手間を大きく減らすことが可能です。
入居後のサポートも充実しており、マイナビBizを利用すれば安心して暮らせる環境がすぐに整います。住宅手当を廃止するなら、マイナビBizを利用しスムーズに制度移行をおこないましょう。
まとめ:住宅手当の廃止では段階的な制度移行が重要
住宅手当を廃止すると、従業員からの反発は非常に大きなものとなります。いきなり制度の廃止を進めると反発はより大きくなるため、段階的な制度移行が大切です。適切なニーズの調査をおこない、満足度の高い代替案を出すことで離職を防ぎましょう。
住まいに関する福利厚生を重視する従業員は多いため、住宅手当を廃止する場合は借り上げ社宅の導入がおすすめです。
マイナビBizでは要望に適した社宅をスピーディに用意するだけでなく、入居後のサポートもおこなっています。社宅導入なら、お気軽なご相談からでもぜひマイナビBizへお問い合せください。
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(マイナビBiz編集部)
※本記事内の情報は2023年2月時点のものです。