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税理士が考える、これからの不動産経営に必要な視点(後編)

1週間前

前編では、事業の基礎となる「3つのB」と「3つのA」について解説しました。後編となる今回は、不動産経営に必要な戦略の「3つのE」を取り上げます。

不動産経営に必要な3E戦略の構築

3Eとは、「Enter with foresight」「Easy management」「Exit strategy」の頭文字から取った言葉です。

簡略化して「イリ・カン・デ」という3つの言葉に置き換えるとなじみやすく感じると思いますが、「入口戦略」「管理戦略」「出口戦略」の事を指します。

当たり前のことだと言われそうですが、意外と認識不足の方が多いことに驚きます。

不動産経営をビジネスとして捉える姿勢として、この3Eを初めの段階でしっかり設計することが何より大切なキモとなります。

「入口戦略(Enter with foresight)」では、賢明な構想を立てるべきです。不動産経営の経営資源の「モノ」、すなわち物件は3つのBを達成するためには必須アイテムです。

不動産投資は期間中に特殊な場合を除き収入上限が賃料に縛られる特性があります。

良くも悪くも固定的なゆえに安定投資といわれるゆえんです。

とりわけ、不動産経営は賃料収入を収益の基軸とする特性から空室を極端に嫌います。

空室リスクを最も下げることが期待できるファクターは、より良い物件の選定であることは間違いありません。

その際重要な要素となるのが自らより多くの情報収集を行い、自ら検討を加えることです。その前提条件として、不動産の世界では良い物件を運んでくれるコウノトリは存在しないことを肝に銘じなければなりません。

良い物件を入手するためには、自分で相場感を身につけ自分で物件を見極める力もち、自ら時間をかけて探すことです。

自ら調べ、自ら考え、自ら行動することが必要です。専門家や業者の話は参考にしても決してとらわれないことです。

情報は無料で入手できる時代です。WEBなどでターゲットとする不動産情報を日々調査研究することによって必要な能力は自然と身についてくるはずです。そして自分でこれだと思える物件以外には決して手を出さないことです。

次の「管理戦略(Easy management)」は、不動産投資ビジネスにおいて核心的な重要性を持ちます。

不動産業界の格言に「不動産は管理を買え」と言う言葉があります。これは、経営資源のモノである物件の維持管理に最大限の注意を払えということです。

見落とされがちな「家主業務」ですが、税務、法務、マーケティングなど非常に広範囲に亘りしかも専門性を要求される内容が大変多いのです。

例えば、家賃を払わなくなった入居者にどう対応すればよいのか? 今年「事故物件」という言葉がはやりましたが、実際事件事故により投資した物件内で人が亡くなった場合の対処のその後は? など、とても一筋縄に対応できるものではありません。

相当の労力を掛けられる方でない限り投資家である本人が、物件管理のすべてを行うのは至難の業であると言えます。

投資物件は健全な賃貸管理を行うために、もう一つの経営資源である「ヒト」、卓越した知識経験を有するプロフェッショナルとのパートナーシップを築くことが最善であるということです。そして、専門家である「ヒト」の能力を自ら見抜く力を養うことによって、初めて利益の最大限を目指すことが可能となります。

管理業務におけるプロフェッショナル選びは投資の全期間の成功を左右する問題だとぜひ銘心すべきです。

最後の「出口戦略(Exit strategy)」を考える場合の注意点は、単発のストーリー形式で終わらないことです。

無責任な不動産業者がよく口にする言葉に「その時はウチが買い取ります」というフレーズがあります。鵜呑みにする方はいないと思いますが、悲惨な結末となることは容易に想像できます。

望ましくはロジカルツリー方式で未来予想を立てておくことです。

出口は必ずしも予定通りになることは少ないですが、選択肢を豊富に準備した方とそうでない方とでは、投資結果を問う場面で雲泥の差がでることは間違いありません。 成功者となるために、不労所得的な思考回路はすべて捨て去り、不動産経営を新規ビジネスの創業だと再認識したうえでぜひ「3E戦略」の構築をお薦めします。

3B、3A、3Eの事業計画書への落とし込み

ビジネスを始める場合、具体的な考えやアイデアを数値に裏付けされた計画書に落とし込まなければ意味がありません。そのために作成するのが、事業計画書です。事業計画書には定められた書式はありません。これまで述べてきた内容を文章に表現するだけのことです。しかし、それだけでは事業計画にはなりません。3つの経営資源の最後になる「カネ」に関する計画を織り込むことが重要となってきます。

 「カネ」すなわち数値においても綿密かつ正確な計画書は絶対必須です。事業計画書は5年や10年の短い計画ではなく、ローンを組むのであればローン完済時までの期間、投資終了までの全期間におけるキャッシュフロー計算を自ら徹底して、税金や修繕費、予想空室期間はもとよりインフレ率や家賃下落率などをさまざまな要素を、統計指標を参考にするなどして完全網羅的に織り込んで計画書を作成すべきです。最終的にはこのカネという事業計画が不動産経営というビジネスすべての命運を示す羅針盤ともいうべきものとなります。この事業計画書の作成は賃貸管理に比べれば自ら調査学習することは比較的容易なことです。最終的命運を分ける計算を営業マン任せにするようですとまず成功はあり得ないと心得るべきです。

そしてこの計画書についてPlan⇒Do⇒Seeを繰り返し行うことが必要です。

最後に

ビジネスの場面において、ここまでお話したことは当然だと思われませんでしょうか?

しかし不動産投資の世界では専門の業者や一部のプロを除き、この認識が薄いのが現状だと思います。初心者でも専門的知識がなくとも安心して手間なく低リスクなどといった業者のセールストークが通用した時代はとうに終わりを告げています。

投資対象商品の不動産は、株式・投資信託などと比べ高額であることがほとんどです。

金額の高さゆえに失敗や事件事故が世の耳目を引きやすく、不動産投資に対するネガティブなイメージが付きやすいのもまた事実。

ビジネスとして取り組む毅然(きぜん)とした姿勢と周到な計画さえ怠らなければ、コロナ禍で需要に変化が大きく出ている今こそ、新しい投資チャンスが溢(あふ)れているとも言えます。

テレワークや副業解禁、週休3日制の導入などの就業環境の変化がもたらすものは、不動産経営にもイノベーションとともに新規不動産ビジネスモデルの構築をもたらすでしょう。

テレワークで空室が増えるであろうオフィス事案などは、新たなスペースの利用価値が創出されそうな予感がしますし、高齢者の都心回帰と「都民卒業生」なる若年層の郊外移住という、相反する現象がもたらす「衣食住」の構造変化は不動産投資の機会が不変に続くことを予想させてくれます。

今の世の中のように変化のギャップが激しいほど創出される機会は質と量ともに多いとされますが、既存の見方にとらわれている経験者ほどそれが見えにくいもの。

不動産経営の初心者の方が意外なチャンスに恵まれるかもしれません。


小野 優(おの まさる)

税理士、経営コンサルタント。大手監査法人系列国際会計事務所勤務、主に事業承継対策、組織再編などに従事。平成5年独立。企業の経営、税務、個人地主の事業承継指導に携わる傍ら、全国展開を図るスポ-ツ施設運営会社代表取締役社長、ワンルームマンションデベロッパー老舗会社取締役社長兼同系列不動産賃貸管理会社取締役社長、その他多くの中堅中小企業の役員を歴任。ゆう総合会計事務所 所長 YOUConsultant㈱ 代表取締役。

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