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「ウィズ・コロナ」時代に生き残る賃貸経営の手法

2週間前

新型コロナウイルスによる感染拡大は、ライフスタイルから経済活動まであらゆる分野に大きな影響を及ぼしています。5月25日に非常事態宣言は解除されたとは言え、感染の収束シナリオはいまだに見えず、不安な日常が続いています。今後、感染拡大の第二波も予測されており、もはや「ポスト・コロナ」ではなく、「ウィズ・コロナ」時代の社会が議論され始めています。

本記事では、「ウィズ・コロナ」時代に備えて、特に住居系の賃貸オーナーが生き残るための賃貸経営の手法について考えます。

1.新型コロナウイルス感染拡大による賃貸経営への影響

不動産投資において、最初に大きな痛手を受けたのが、昨年までは旺盛なインバウンド需要の恩恵を受けていた民泊・マンスリーなどの宿泊系の物件でした。次に、非常事態宣言に伴い業績が悪化したテナントが入居する商業系・オフィス系が深刻な影響を受けています。

その一方で住居系については、当初はほとんど影響を受けていないとされていました。しかし、実際には住居系物件でも影響が出始めています。

2.住居系賃貸:ダメージの分かれ目は?

住居系賃貸物件では、ほとんど影響がみられない物件と、少なからず影響が出ている物件に分かれています。そのなかで特に大きな打撃を受けている物件には次のような特徴があります。

2-1.外国人入居者の割合が高い

住居系賃貸で、はじめに打撃を受けたのが、外国人入居者向けの賃貸物件でした。外国人入居者については、近年の外国人労働者・留学生の増加に加え、昨年4月の改正出入国管理法の施行も後押しとなり、今後さらに入居者が増加することが期待されていました。

ところが、新型コロナウイルス感染拡大により状況は一変し、日本への入国ができなくなったり、一時帰国した人が再入国できなくなったりと、外国人向け賃貸物件の入居率は大きく下がっています。

2-2.フリーター・フリーランスの入居者の割合が高い

フリーターやフリーランスは企業の業績悪化の影響を最初に受けます。店舗の休業や営業自粛・企業活動の自粛などにより、仕事を失ったり収入が激減して生活に困窮するフリーター・フリーランスが増え、滞納、家賃の減額・猶予の要請、退去などが増加しました。

2-3.学生向け物件

今年は入学式を中止した大学も数多くあり、多くの新入生が、入学後一度も大学に通わない状況が続きました。そのため賃貸契約をしても入居しないまま退去する新入生がいるという話も耳にします。また在学生のなかには、アルバイトがなくなり生活が厳しくなったため、退去して友人とルームシェアをしたり、実家に戻る入居者もいるようです。

一方、正規雇用者の入居者割合が高い物件ではほとんど影響は見られていません。

3.今後、影響を受けそうな物件は?

入居者の多くが正社員という賃貸物件はひとまずは安心と言えますが、今後は注意が必要です。新型コロナ禍が長引き、企業の業績がさらに悪化すると、正社員も収入が減少し、賃貸物件にも少なからず影響が出るでしょう。

そうなると、高家賃物件から安い家賃の物件への住み替えや、家賃並みのローン返済で購入できる持ち家へのシフトが進むことも考えられます。

また、法人契約の打ち切りや、社員への家賃補助の見直しにより、現在の家賃が支払えなくなる入居者も退室せざるを得なくなるでしょう。

学生需要の多いエリアの賃貸物件も要注意です。好景気の時期には、保護者(親)の財布にも余裕がありますが、親の収入が下がると、通学時間がかかっても自宅通学をしたり、さらには自宅から通える大学を受験する傾向が高くなるため、学生の賃貸需要が下がることが考えられます。

4.「ウィズ・コロナ」時代に向けての賃貸経営の見直し

今後、賃貸オーナーも、新型コロナウイルスと共存しながら賃貸経営を続けることになるでしょう。そのため、不測の事態にも対応できるように賃貸経営を強化しておく必要があります。ポイントは次の3つです。

4-1.入居力の強化

入居者のメインターゲットを正規雇用の会社員・OLにおくことは、賃貸経営のリスク軽減につながります。正規雇用者は企業からの保護も厚く、危機の際にも安定入居者になりやすいと言えます。

まずは、所有物件を見直し、属性の高い入居者に選択してもらえるようなスペックを備えた賃貸住宅が提供できているかを確認しましょう。

具体的には、2020年5月4日に厚生労働省が提言した「新しい生活様式」に対応できる設備が求められます。「新しい生活様式」では、日常生活では「通販」や「電子決済」の利用などが、また働き方の新しいスタイルについては「テレワークやローテーション勤務」「オンライン会議」「時差通勤」などが提唱されています。

家で過ごす時間を充実させるために、「キッチン設備」「収納スペース」「おしゃれな内装デザイン」など。通販の増加に対応するための「宅配ボックス」「防犯カメラ」など。働き方の新しいスタイルへの対応には、「高速インターネット設備」。

特に、高速インターネットと宅配ボックスは高いニーズがあるため、導入をしていない物件には設置の検討をお勧めします。

※厚生労働省「新しい生活様式の実践例」

4-2.経営体質の改善・強化

今回の新型コロナウイルスの影響で、入居率が下がりローン返済に支障をきたしたという話も聞きます。空室が増えても賃貸経営を維持するためには、損益分岐点を下げておく必要があります。特にローンを借り入れている賃貸オーナーは、この機会に経営体質を見直し、改善しましょう。

不動産投資では多くの投資判断の指標がありますが、ここでは経営の安全性を測る指標としてDSCR(借入金償還余裕率)を取り上げます。DSCRは年間の純収益(家賃収入から管理運営にかかる費用を差し引いたもの)を年間の元利金返済額で割り計算します。

例えば年間の純収益が100万円、ローン返済額が70万円の場合、DSCRは100万円÷70万円=1.42となります。DSCRは数値が高いほど経営リスクが低く、1.6以上がひとつの目安になります。年間純収益が100万円の場合、DSCRを1.6以上にするためには、年間のローン返済を62.5万円以下に抑える必要があります。

そのための具体的な手法として、ローンを一部繰り上げ返済する、金利の見直し交渉をする、ローンの借り換えをするなどがあります。損益分岐点を低くすることにより、退室の増加、賃料の下落、滞納などがあっても余裕を持って対応することが可能になります。

4-3.分散投資

金融資産運用と同様、不動産投資においても分散投資は、リスク分散に効果があります。例えば築年数の古い賃貸物件のみを所有している場合、どの物件も家賃の下落が大きかったり、大きな修繕費が同時に発生することがあります。また全ての物件を同じエリアで所有していると、そのエリアの賃貸ニーズが悪化した際に、全ての物件がダメージを受けます。

新築と中古、住居系と宿泊系、単身者向けとファミリー向け、都心と郊外など、傾向が異なる物件を分散して所有することにより、全ての物件が同時にダメージを受けるのを防ぐことが可能になります。

具体的な方法として、必要に応じて物件の組み換えをする、入居ターゲットを見直し間取りを変更する(リノベーション)、一部の物件を売却して金融資産として保有する、などの方法があります。

まとめ

今回の新型コロナ禍は、賃貸オーナーにさまざまな教訓を示唆しています。

中でも賃貸オーナーが常に肝に銘じていなければいけないことは、「長い賃貸経営の間には何が起こるか分からない」ということです。そして、「万が一のときにダメージを最小限に抑える」ことが大変重要です。

生き残る賃貸経営をするために、今何をすべきかを整理し、実践することをお勧めします。


橋本秋人

ファイナンシャル・プランナー(CFP® 1級FP技能士)、終活アドバイザー。長年、住宅メーカーで顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。また、自らも在職中より不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてセミナー、執筆、相談、実行支援などを行っている。共著に「日経MOOK よくわかる相続2020年版」

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