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コロナは賃貸経営にどんな変化をもたらしたか ~需要の影響や管理会社が行ったコロナ対策を解説~

2021年3月22日

賃貸経営・不動産投資においてもコロナ禍は大きな影響を及ぼしています。不動産仲介・コンサルティングを行う私もコロナ禍の中で、今までとは異なる不動産管理会社のコンサル業務、不動産仲介業務、不動産買取業務を1年間経験しました。そこで今回は賃貸経営(運用)と不動産投資(購入、売却)にコロナ禍がどう影響しているか、そしてどのように対応をすれば良いかについてお話いたします。

※筆者の経験にもとづき、一都三県の状況を中心とした内容になります

1.賃貸需要、空室率にどう影響したか

自社の管理物件やコンサル先の管理物件を見ていると、移動(入退去)が少ない1年間でした。コロナ禍の影響で引越しを控える方が多かったことが原因と考えられます。

※都心の人気物件(高額賃料帯)や特需エリア(EC物流倉庫の建設エリア)については、空室が出てもすぐに入居が決まっていたため当てはまりません。

そのためコロナ前から満室だった物件は収支が安定した1年となりましたが、コロナ前に空室が多かった物件(特に繁忙期の学生需要を期待していた物件)については大幅な収入減となってしまいました。

また入居者の方からの家賃減額依頼・分割支払依頼等、物件によっては空室率・滞納率の悪化が見受けられました。

一方で、低家賃帯の物件は生活保護を受けている人等のコロナ禍の影響の少ない方が入居していたり、高家賃帯物件からの引越しもあり、例年より収支が安定した物件も多かったです。

2.収入をどう確保するか

先述したように収入が安定した物件もありましたが、このままの状況が続けば景気が後退し空室率・滞納率が悪化する可能性も十分に考えられます。そこでご検討いただきたいのがサブリース契約です。

サブリース契約では、満室状態が続いた場合と比べ手取り収入が減ってしまいますが、空室率・滞納率が悪化しても収入が変わらないというメリットがあります。空室率・滞納率が悪化する中でサブリースを受けてくれる管理会社なんか無いのではと思われるかもしれませんが、実はコロナ禍においてサブリース契約は管理会社にもメリットがあります。

緊急事態宣言中はもちろん、それ以外でも管理会社のテレワークは増えています。そして対面での接触を控える傾向にあります。今まで積極的にリーシング活動を行なっていたり、オーナー様に対し入居率上昇のための提案を行なっていた会社もその動きが鈍化しています。このような状況下では自身で判断ができない一般管理の物件は対応が後手後手になってしまいます。

一方でサブリース契約は管理会社の判断で条件変更を行うことができ素早い対応が可能です。さらにオーナー様との折衝や報連相が不要なため、人員が少なくても管理運営が可能です。事実私のコンサル先ではサブリース物件の入居率に全く影響が出ておりません。サブリース物件で管理会社がどのような対応をしたかは次で詳しくお話いたします。

コロナ禍だから新規でサブリース契約を受けてもらえないと考えず、管理会社にとってもメリットがあることを知っていただき、管理を任せている会社に相談してみることをお勧めいたします。

3.管理会社が行なったコロナ対策

私のコンサル先ではサブリース契約を増やした管理会社もあります。もちろん人件費の軽減やコロナ禍における仕事に対応をしやすいというメリットがありますが、サブリースで赤字にならない施策を取っているからこそ受けることが可能です。

①独自の家賃保証商品の開発

家賃保証会社の加入率は60%程度(管理戸数の増加が無い会社では80%程度)です。そのため40%に滞納リスクがあります。しかし入居者への説明・審査・費用負担等から入居後の家賃保証会社への加入は簡単ではありません。そこで加入を簡易にするため家賃保証会社と新しい商品を開発している管理会社があります。

一例ですが、審査無し・加入費1万円といった商品を開発し、管理会社の負担でサブリース物件全てに加入をさせた会社もあります(ただしこの商品は加入させたお部屋の退去後に、同じ家賃保証会社の商品を利用することが必須条件となっております)。こちらの商品はオーナー様が負担し利用することも可能なため、保証会社未加入の入居者が多いオーナー様は管理会社に相談してみてください。

②ホームステージングの活用

数年前から日本の賃貸物件でも活用されているのがホームステージングです。厳密には異なるのですが、現在実施されているものはモデルルームに近いイメージです。

コロナ禍により内覧をせずに写真・動画で申込をしたり、仲介会社が同行せずに入居希望者だけで内覧する機会が増えています。そこで営業マンによる説明がなくともお申込がしやすいようにホームステージングを活用する会社が増えています。実際に空室期間減少や家賃減額抑止といった効果が出ており、サブリース物件に自社の負担で実施している会社も増えています。部屋の広さにもよりますが、5~20万円で実施することが可能です。

③初期費用の減額

コロナ禍に関係なく競争力強化のための条件変更に用いられる初期費用減額ですが、あまり多くなかった23区でも初期費用を減額(物件によっては0円)する物件が増えています。特に昨年の繁忙期需要を目指して新築されたマンション等で初期費用を抑えた物件が増えていました。大量空室や3月末に退去が多い物件(学生マンション等)では早めの対策が必要です。

④店舗から住居へのコンバージョン

店舗(特に飲食)の空室が増えています。坪単価が住居に比べ高い店舗が抜けると一気に収支が悪化することになります。そこで検討していただきたいのが住居へのコンバージョンです。多くの店舗の場合、水回り設備がトイレ・洗面しかないため、風呂・キッチンを新設する必要があり費用がかかります。

例えば60㎡の店舗をコンバージョンする場合に400万円をかけたとします。家賃は15万円。リフォームローンを利用し毎月の返済が3万円。入居が決まれば12万円の収入増になります。管理会社によってはコンバージョン後の家賃を保証してくれる会社もあります。店舗が抜け、かつ新規入居がしばらく見込めないという方は是非検討してみてください。

⑤防音マンションの需要増加

元々は音大生を対象にしたマンションでしたが、テレワークやお子さんの休校により増大した騒音問題を避けるため需要が増加しました。防音マンション自体の建築費が高いため家賃も相場の2~3割程度高いのですが、それでも空室が出るとすぐに埋まる状況が続いております。管理会社が行った対策というよりはコロナ禍で逆に経営が安定した例になります。

4.買い時なのか、売り時なのか

2020年4月に緊急事態宣言が発令された際には、様々なところで不動産価格が下がるから買い時が来るという話が出ておりました。しかし実際のところは不動産価格が下がることはなく、むしろ郊外の戸建については値段を上げても売却できた事例も出ております。もちろんコロナ禍が影響し価格が下がった物件もありましたが、相場が下がったというほどのものではありませんでした。物件価格が安くなる理由は単純で、お金に困って手離すことが多いからです。コロナ禍が相場に影響していない一因として、コロナ融資で資金繰りの悪化が回避されたことが推測されます。

一方で住宅ローンの返済が滞りご自宅を売却せざるを得ない方が少しずつ増えてきています。当社でも今年に入って2月中旬時点までで、既に2件仲介をさせていただきました。これはかなりの割合です。一棟アパート・マンションについては「現状では買い急がない方が良い」というのが個人的な見解ではありますが、このような売却を急いでいる事情がある区分や戸建に目を向けるのは良いかと思います。

また売却を考えている方にとっては、今が良いタイミングだと考えています。コロナ禍は色々な業界に影響を与えています。飲食店はもちろん航空会社・旅行会社・イベント会社等、いくらでも例を挙げることができます。このような状況の中、不動産投資を始めたという話をよく耳にするようになりました。仕事柄多くの方の源泉徴収票や確定申告書を拝見させていただきますが、2~3割の収入減というのは珍しくありません。またテレワークや出勤日の減少でオンラインセミナーに参加する時間も増えています。そうすると目を向けるのが本業とは別の収入です。ここに目をつけた不動産会社が、副収入としての不動産投資を勧めるセミナーを開催しています。

さらに今売却をした方が良い理由がコロナ融資に3年間返済猶予がある点です。3年後に返済が開始され資金繰りが悪化し不動産を売却する、といった状況が考えられます。そうすると相場が下がり売却には良くないタイミングになってしまいます。相場がどうなるかは誰にも分かりませんが、ここ数年で売却を考えている方は、一度真剣に検討されてみるのが良いかと思います。

5.所有者が高齢な場合の対応

コロナ禍がどこまで影響しているかは分かりませんが、この1年間で感じたのは「高齢者による不動産売却の多さ」です。もちろん自宅以外の住宅保有者の70%が55歳以上のため、売却する方が55歳以上の確率が高いのは当たり前なのですが、私が感じたのは70~80歳の方の売却が多いということです。また後見人が付いている売却案件も増えたと感じます。中にはコロナで入院し無事退院したものの、体力の低下とともに認知症が始まってしまい売却のために後見人を付けたという方もいらっしゃいました。

この一年間で後見人が付いている方の売却が3件(全体の12~13%)ありましたが、とにかく手間がかかります。売却をするだけでなく価格を下げるのにも裁判所の許可が必要になります。またご家族ではなく士業の方が後見人になられていることも多いのですが、意思決定にものすごい時間がかかり、まとまるものもまとまらないという事態が何度も発生いたしました。

その結果として売買不成立や売却価格の値下げになってしまうことも起こり得ます。そこで活用していただきたいのが家族信託です。

6.家族信託とは

『家族信託』について聞いたことがあるでしょうか。家族信託とは、ものすごく簡単に言うと、『元気なうちに信頼できる家族に財産の管理を任せる財産管理の方法』です。

①家族信託の登場人物

まず、家族信託の登場人物は主に次の3人です。
委託者:財産の所有者。財産を受託者に預ける人
受託者:財産を預かって受益者のために管理・運用・処分を行う人受益者:信託財産から生活費などの経済的利益を受け取る人

②家族信託も『契約』の一つ

家族信託を行う場合は、委託者と受託者が信託契約を締結します。信託契約をすると、委託者は受託者に自分の財産を信託し、受託者は今後受益者のために財産を管理していくことになります。

家族信託は、家族間といってもあくまで『契約』ですので、契約当事者となる親子が契約の目的、内容を理解していないと締結することができません。委託者になられる方の認知症が進んでから慌てて対策をしようとする方もいらっしゃいますが、認知症により判断能力が低下していた場合、信託契約をすることはできませんので注意が必要です。

③名義は受託者でも、あくまで委託者のために行動する

たとえば高齢のお父様と息子様が、お父様が持っている自宅を信託する場合、通常、お父様が委託者兼受益者、息子様が受託者となります。そして、財産の名義は『受託者である息子様』に変わります。名義が変わったからと言って息子様が自分の財産として勝手にその財産を使えるのではなく、あくまで、お父様のために財産の管理・運用・処分をしていくことになります。

実際には、お父様が生活をしていらっしゃる間、息子様は特段何もすることはありません。強いていうのであれば、ご自宅の名義が『お父様から託された息子様』となりますので、固定資産税の納税義務者が息子様になります。こちらは家族信託をする際にご自宅と一緒に一定額の金銭を預かるので、そこから支払っていきます。

④どのタイミングから受託者が行動するか

そして将来的にお父様が施設に入所することになり、ご自宅を売却することになった場合、この売却手続きは、『所有者(登記簿に記載された名義人)』が単独で行っていきます。家族信託を活用した不動産の名義は、『お父様から託された息子様』となりますので、手続きを行うのは、息子様お一人で問題ありません。お父様が、万が一認知症などで判断能力が低下してしまっていても取引が滞ることはありません。売却代金は、息子様が管理する家族信託用の口座で受け取ることができ、以後、お父様のために活用することが可能です。

家族信託を活用することで、先の例で述べた成年後見制度を使わずとも、いざという時の施設の入所費用や生活費の捻出が可能となる仕組みを手に入れることができるのです。

次回は成年後見制度と家族信託の比較のお話しをさせていただきます。


神農貴大

不動産仲介・コンサルタント。所属していた管理会社では顧客にとって最適な提案をする「資産運用のコンシェルジュ」として活躍、不動産物件に留まらず保険や金融商品に至るまで幅広い知識と経験を持つ。また、自身でも物件を保有しており、オーナー目線での不動産投資動向も把握。

現在、代表取締役を務めるベスト・レギュレーション株式会社では東京23区を中心に透明性のある取引と安定した収益を提供することにこだわり不動産仲介・賃貸管理業を行う。

【家族信託監修】

廣木 涼(ひろき すずか)

東京・札幌・大阪・広島・福岡・沖縄に拠点を展開する司法書士法人みつ葉グループに所属。東京オフィスにおいて、相続事業部・登記事業部のマネージャーを務める。

不動産会社・保険会社と連携し、相続に関する総合的なコンサルティングサービスを提供し、士業の枠に捉われず、多角的な視野で問題解決に取り組んでいる。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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