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節税をマンション経営の目的にしてはダメ? 仕組みとリスクを解説

2021年2月22日

よくマンション経営で語られるメリットの1つに「所得税の節税」があります。確かにマンション経営をすることにより、所得税を節税できるケースはあります。

しかしながら、マンション経営による所得税の節税は、あくまでも副次的なメリットであり、所得税の節税を目的にマンション経営を行うことはおすすめしません。

節税という言葉に飛びつく前に、マンション経営による節税の仕組みと、それに伴うリスクをしっかり把握しておく必要があります。

この記事では、「マンション経営の節税」について解説します。所得税の節税の仕組みや、節税以上に気を付けなければならないリスクについても紹介していきます。

1.損益通算による節税の仕組み

マンション経営では、損益通算という仕組みにより所得税を節税することが可能です。

個人の所得は、発生形態に応じて給与所得や不動産所得、譲渡所得、事業所得、利子所得、配当所得、退職所得、山林所得、一時所得、雑所得の10種類の所得に分類されます。

サラリーマンが会社から得ている所得は給与所得、マンション経営で得られる所得は不動産所得です。

損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち、一定の要件を満たす「不動産所得」と「事業所得」、「譲渡所得」、「山林所得」について、総所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除できる手続きのことを指します。

つまり、マンション経営の所得は「不動産所得」ですので、マンション経営で生じた損失は他の所得から控除できる対象になるのです。

例えば、給与所得が1,200万円で、不動所得が▲400万円の赤字であった場合、損益通算をすることで総所得金額は800万円となります。会社では1,200万円の給与を前提に源泉徴収していますので、実際の所得は800万円となったことから、損益通算によって払い過ぎていた税金の還付を受けることができるのです。

不動産所得とは以下の式で計算される所得のことです。

不動産所得 = 総収入金額 ― 必要経費

不動産所得とは家賃収入のことではなく、家賃収入から必要経費を差し引いたものとなります。必要経費とは、固定資産税や損害保険料、修繕費、管理委託費、減価償却費等の費用です。

ここで、必要経費の中には減価償却費が含まれることがポイントになります。減価償却費とは、建物の取得原価を耐用年数にわたり各会計期間に費用として配分することで生じる会計上の費用のことです。計算の手続き上生じる費用であるため、実際に支出を伴うものではありません。

家賃収入よりも必要経費が大きければ、不動産所得は赤字です。不動産所得が赤字になれば、損益通算によって所得税を節税できることになります。

減価償却費は支出を伴わない費用であるため、仮に不動産所得が赤字であっても実際のキャッシュフロー(手残り)はプラスとなっているケースはあります。

キャッシュフローがプラスで、会計上の損益が赤字の場合には、特に損をせずに節税できることになります。

そのため、「損益のみが赤字で、かつ、キャッシュフローがプラス」のケースでは、マンション経営による所得税の節税にメリットがあるのです。

2.キャッシュフローがマイナスになるリスクがある

損益通算による節税の話には、注意しなければならない点があります。それは、「借入金の元本返済」話が欠けているという点です。

簡単に言うと、損益通算による節税は、自己資金100%でマンション投資をするようなケースではメリットがあります。しかし、借入金を使ってマンション投資をするケースではほとんどメリットがないということです。

借入金の返済は、利子については必要経費に含まれますが、元本返済額については必要経費に含まれない点がポイントです。

そのため、借入金がある場合には、総収入金額から「支出を伴う費用」と「借入金の返済額」を控除したものがキャッシュフローとなります。

借入金がある場合の損益とキャッシュフローの関係を示すと下図のようになります。(損益は赤字ですので、キャッシュフローでは不動産所得にかかる税金は考慮外とします。)

借入金は返済額の大きさにもよりますが、借入金を使ってマンション投資をする場合、損益が赤字になるようなケースでは、キャッシュフローまでマイナスになっていることが多いです。

キャッシュフローが赤字になれば、マンション経営を続ければ続けるほどお金が減っていくことになります。

せっかくマンション経営で節税をしようとしているのに、マンション経営のキャッシュフローがマイナスとなってしまうなら、意味がないともいえますよね。

マンション経営では借入金を用いることが一般的です。借入金を用いた場合、マンションの損益が赤字となるようなケースでは、マンション経営のキャッシュフローまでマイナスとなるリスクが高いということは理解しておきましょう。

損益通算による節税はあくまでも副次的な効果

マンション経営では所得税を節税できるといっても、損益が赤字となるような物件は、そもそも健全な不動産投資とはいえません。不動産賃貸業は、満室稼働であれば損益は赤字にはならないのが通常です。

よって、まともな物件に投資をする限り損益通算の節税はできないのが一般的であり、損益通算を主たる目的としてマンション投資を行うことは適切ではないといえます。

損益通算による節税は、例えば竣工時に不動産取得税や登録免許税によって、たまたま赤字になってしまった場合に利用する副次的な効果です。

赤字のマンション経営で節税を狙うくらいなら、黒字になるマンションに投資してさらに収入を増やすことをおすすめします。

ただし、所得税ではなく「相続税の節税」なら健全なマンション経営の状態でも節税することが可能です。

節税するなら相続税を節税することを目的とし、損益は黒字を維持していくようにしましょう。

4.マンション経営は節税を目的としないのが原則

以上、マンション経営の節税について解説してきました。マンション経営では、確かに損益通算によって所得税を節税することは可能です。

ただし、借入金を用いてマンション経営を行っているケースでは、損益が赤字になるような物件はキャッシュフローもマイナスとなるリスクがあります。

損益通算による節税はあくまでも副次的なメリットですので、所得税の節税は主たる目的とは考えず、マンション経営は黒字を目指すことをおすすめします。


竹内英二

不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士。不動産開発業務や不動産コンサルティング業務を経験し不動産投資の分野に精通している。代表取締役を務める(株)グロープロフィットは、不動産鑑定士事務所及び宅地建物取引業者であるため、最新の不動産動向も把握。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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