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税理士が考える、これからの不動産経営に必要な視点(前編)

2週間前

コロナ禍で激変するエコノミッククライシスに対応するため、社会全体がかつてない変化の行方を模索している昨今、不動産市況も例外なく強い影響を受けはじめています。

新型コロナショックの中でテレワークの推奨により賃貸オフイス需要の低下や基準地価に下落が生じています。総務省公表の住民基本台帳人口移動報告によると8月に東京から転出した人が転入した人を上回り、4514人の転出超過となりました。転出者の多くは主に20代から30代の若者世代であるともいわれています。これらの事象は不動産業界と投資家たちにとって今までの定石常道が通じなくなることを暗示しています。言いかえれば、不動産経営をさらにシビアに捉えていくべきことを物語っていると言えるでしょう。

結論から先に申し上げれば、市況と構造の変貌期の不動産経営は、「創造性に優れ緻密な計画性をもつビジネス感覚を研ぎ澄ませること」が最重要視点です。ビジネスとしての不動産経営を考えしっかり取り組むなら、変化の時代はチャンスに溢(あふ)れた局面だと言えます。既存の投資プレーヤーが取りこぼすものを新規の参入者がいとも簡単に手にする事例はいくらでもあります。

不動産経営は、アパートやマンションを購入し“大家さん業”を営むという少し緩いイメージをお持ちの方も多いようですが、そのイメージは非常に危険な傾向です。一言で不動産経営と言っても、対象となる物件と手法は多種多様です。

プロの領域は別として、一般の方が行う不動産投資は大まかにインカムゲインとキャピタルゲイン、つまり賃料収入と転売益が主な利益の柱となりますが、真の不動産投資の成否は、賃料による収入に売却を含めたすべての収入からすべての支出を控除した残額で決まります。

本稿ではこれからの不動産経営に必要な3つの視点の概要についてお話をします。

不動産経営に必要な3つのB

3つのBusiness(事業)とは「事業コンセプト」「事業目標」「事業ドメイン」です。まず、以下の5つの問いで事業コンセプトを簡潔な言葉で明確にしてみましょう。

①どんな不動産経営を展開したいのか
②その不動産はどんな特徴があるのか
③他より勝っているのはどこか
④入居者にどんな価値を提供できるのか

次に、5年あとの姿を思い描き目標(ゴール)を設定します。これは漠然としたものではなく、個別具体性をもったのでないとなりません。例えば売上高がいくら、利益がいくら、そしてアパートをいくつ所有するなど映像で描けるぐらい鮮明にです。

最後に事業ドメインの設定です。事業ドメインとは、どこの場所で不動産投資を行うかという物理的なエリアの選定やどういった属性をもった入居者を対象とするのかなどをいいます。

事業に関わるコンセプト、目標、ドメインこの3つを設定できない場合、投資すべき不動産物件の選定はまずできません。分譲タイプ(区分)か1戸(または1棟)なのか? 木造かRC造なのか? 中古か新築なのか? 店舗か住居なのか? 都市型か地方型なのか?昨今はやりのクラウドファンディングなのか? など枚挙に暇がありません。

この3つの事業を明確にしないために、ここでつまずいてしまうことが多くあります。漠然としたイメージだけをもって情報収集のために不動産投資イベントに参加して不動産会社の営業マンに言われるがまま物件を購入してしまうと、入居者がみつからない、空室が続く、サブリース契約を結んだにもかかわらず家賃の値下げを要求されるなど、購入時には想定できなかったことも起こり得ます。その結果ローンの返済がままならず、デフォルト(債務不履行)を起こし競売に追い込まれたような事案は数知れません。

不動産経営に必要な3つのA

3つのBusiness(事業)が定まったら、次は3つのAnalysis(分析)です。一つは不動産経営をとりまく「社会的背景の分析」です。どのような事業も社会の影響をうけないものはありません。政治情勢、経済環境、社会情勢、技術革新の状況などの不動産経営をとりまく外部環境の分析をします。

AIによる将来売却価額の予想、新しい生活様式や新しい働き方スタイルなど今後の入居者ニーズの変化なども含めて分析しましょう。

二つ目は「市場規模の分析」です。人口の増減や構成、空家問題、貸家需要などの分析です。空家と貸家は異なりますし、貸家があっても古いものや間取りはどうか、新築物件の増加数などを分析します。

三つ目は、「競合の分析」を行い、競合にない自己の強みや入居者が望むことを分析して競合との差別化をどう図るかを分析します。特にコロナ禍により不動産市況を取り巻く環境は大きく変わりつつあるいま、何が「脅威」となり「機会(チャンス)」は何なのか、何が「強み」で「弱み」なのか。これから思い描く不動産経営におけるこれらの要素の洗い出しを慎重に検討することは特に重要です。

例えば、3C分析やSWOT分析といったフレームワークを用いると論点がより明確になって整理しやすくなります。分析にあたっては、恣意(しい)性を極力排除するために定性的な項目だけでなく極力定量的なデータを収集することがより大切です。

まとめ

ここまで、不動産経営に必要な「3つのB」と「3つのA」について述べてきました。繰り返しになりますが、これからの不動産業界を生きていくには不動産経営をビジネスとして考え、事前にしっかりとした経営計画を立てることが不可欠です。人に言われるがまま購入するのではなく、ご自身で立てた経営計画に沿って不動産経営を行いましょう。

次回は不動産経営の肝になる「3E戦略の構築」について解説します。お楽しみに。


小野 優(おの まさる)

税理士、経営コンサルタント。大手監査法人系列国際会計事務所勤務、主に事業承継対策、組織再編などに従事。平成5年独立。企業の経営、税務、個人地主の事業承継指導に携わる傍ら、全国展開を図るスポ-ツ施設運営会社代表取締役社長、ワンルームマンションデベロッパー老舗会社取締役社長兼同系列不動産賃貸管理会社取締役社長、その他多くの中堅中小企業の役員を歴任。ゆう総合会計事務所 所長 YOUConsultant㈱ 代表取締役。

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