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サービス付き高齢者向け住宅の賃貸経営をするときの問題点を解説

4週間前

建築費の補助金や税制優遇のあるサービス付き高齢者向け住宅(以下、「サ高住」と略)は、土地活用で人気のメニューとなっています。少子高齢化が進む日本では、サ高住の将来性を有望視している方も多いと思います。

ただし、サ高住であっても賃貸経営をする上で全く問題がないわけではありません。サ高住の賃貸経営にはどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。

そこでこの記事では、「サービス付き高齢者向け住宅の問題点」について解説します。

1.サービス付き高齢者向け住宅とは

サ高住は、安否確認や生活相談の福祉サービスを提供する高齢者のための住宅のことです。

サ高住は、「介護サービスを提供している会社」や「医療法人」「社会福祉法人」「NPO法人」等の介護事業者に対し建物の一棟貸しを行う賃貸事業になります。

サ高住の要件を満たすには、「ハード面」「サービス面」「契約面」で以下の要件を満たすことが必要です。

項目 基準
ハード面 ・床面積は原則25㎡以上
・構造・設備が一定の基準を満たすこと
・バリアフリー構造(廊下幅、段差解消、手すり設置等)であること
サービス面 ・安否確認サービス
・生活相談サービス
契約面 ・居住の安定が図られた契約であること(長期入院を理由に事業者から一方的に解約できない等)
・敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を徴収しないこと
・前払い金に関して入居者保護が図られていること

サ高住はハード面に関しては、特段大きな設備の設置が条件に課されているわけではなく、バリアフリーを意識した住宅を建てればサ高住ということになります。

定義上のサ高住は、バリアフリーの賃貸マンションとほとんど変わらないという点が特徴です。

サービスに関しても、最低でも安否確認と生活相談だけを行えば良いので、提供すべきサービス内容は老人ホーム等と比較すると軽くなっています。

さらにサ高住では、新築時の建築費の補助金や、固定資産税および不動産取得税の税制優遇措置があるのが特徴です。

2.実際のサービス付き高齢者向け住宅

サ高住は、本来であれば安否確認と生活相談の基本サービスを提供すれば良いのですが、実際にはほとんどのサ高住が基本サービス以外のサービスを提供しています。

厚生労働省によると、サ高住に併設されている施設の状況は以下のようになっています。

実際のサ高住では、82%(診療所や配食サービスは除く)の施設が介護保険サービスの事業所を1つ以上併設しています。介護保険サービスとは、介護保険が適用されるサービスのことです。

介護保険サービスは、利用者の自己負担が原則1割であり、残りは事業者が介護報酬を自治体から受領することができます。

他にも、介護保険サービスの事業者だけでなく、診療所や調剤薬局も併設している施設もあります。

実際のサ高住は介護保険サービスを提供する施設が併設されているため、老人ホームとの境界線がかなりあいまいです。

サ高住の建物は介護事業者へ一棟貸しされますが、介護保険サービスの施設も併設されることから、その建物仕様は借主である介護事業者の要望に合わせて建てることになります。

3.サービス付き高齢者向け住宅の問題点

サ高住の問題点について解説します。

3-1.退去リスクが大きくなる

定義上のサ高住はほぼ賃貸マンションに近い建物ですが、実際のサ高住は介護保険サービスを提供する施設や診療所等が併設されています。

そのため、建物はサブリースをする介護事業者の独自の仕様によって建てられることが多いため、他の介護事業者への転用が効きにくくなってしまいます。

建物に介護事業者の独自仕様が強くなると、介護事業者が退去した際、後継の介護事業者が見つけにくくなるため、退去リスクが大きくなります。

3-2.賃料減額要求を回避しにくくなる

サ高住の賃貸事業では、介護事業者の退去を防がなければならないことから、賃料減額要求を回避しにくくなるという問題も発生します。

仮に、借主である介護事業者から「賃料を下げて欲しい」と要求があった場合、要求を拒み続けていると退去されてしまう恐れがあります。

借主の独自仕様で建てられたサ高住は、後継の介護事業者が見つけにくいことから、今の借主を繋ぎとめておく必要があります。

賃料減額要求を受けにくくするには、最初に高い賃料を提示してくるような介護事業者は選ばないことがポイントです。

3-3.介護報酬引き下げリスクがある

サ高住では、介護保険サービスを提供する施設も併設されていることから、介護報酬引き下げリスクがある点も問題です。

介護報酬は、数年に一度、改定によって引き下げられることがあり、老人ホーム等の賃料下落の要因となっています。

実際のサ高住には介護報酬を得る施設も併設されているため、介護報酬の引き下げはサ高住の借主の収益に大きく影響します。介護報酬が引き下げは、賃料減額要求や退去のリスクの原因となるリスクです。

4.サービス付き高齢者住宅の問題点を回避するポイント

サ高住の問題点を回避するポイントは、介護事業者の実績を重視して借主を選ぶという点です。

新築の時点で、何社かの介護事業者を比較するのが通常ですが、その際、賃料の高さだけを基準に借主を選んでしまうと、すぐに家賃減額要求や退去リスクが顕在化してしまうことがあります。

高い賃料を提示する事業者は、無理して借りている可能性があるため、介護報酬の引き下げ等の環境変化に対応できないことがあります。

経営も安定しており、実績豊富な介護事業者は、賃料は高くないことも多いです。賃料よりも実績を重視して借主を選ぶのは一棟貸しの基本ですので、介護事業者の選定は慎重に行うようにしましょう。

まとめ

以上、サ高住の問題点について解説してきました。サ高住は、定義上は安否確認と生活相談のサービスを提供する高齢者向け住宅ですが、実際には介護保険サービスの事業所も併設した建物になります。

実際のサ高住は借主の独自仕様に合わせた建物になることから、退去リスクが大きくなり、賃料減額要求も回避しにくくなるという点が問題点です。

サ高住も一棟貸しであることを意識して、適切な借主を選ぶことがリスクを回避するポイントとなります。


竹内英二

不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士。不動産開発業務や不動産コンサルティング業務を経験し不動産投資の分野に精通している。代表取締役を務める(株)グロープロフィットは、不動産鑑定士事務所及び宅地建物取引業者であるため、最新の不動産動向も把握。

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