【重要】新型コロナウイルス感染症への対応について

閉じる

大家さんが知っておきたいサブリースの基本~メリットとデメリットを正しく理解する~

1ヶ月前

大家さんなら一度は「サブリース」という言葉を聞いたことがあると思います。なかには、アパート経営にサブリースを取り入れている大家さんもいるでしょう。

ところが、この「サブリース」、世間ではいまいち評判が芳しくありません。サブリースをめぐるトラブルや裁判など、ネガティブな報道も続いているため、サブリースを頭から否定する人もいるようです。

果たしてサブリースは「危ない」「使ってはいけない」システムなのでしょうか。本記事では、サブリースのメリットとデメリットを再確認し、サブリースに対する向き合い方について整理します。

サブリースの仕組みとは

サブリースとは、サブリース会社が大家さんからアパートの住戸を一括して借上げ、第三者の入居者に転貸するシステムのことで、「一括借上げシステム」とも言います。大家さんにとって直接の入居者はサブリース会社になるので、転貸先である入居者がいなくても、毎月一定の家賃がサブリース会社から支払われます。

家賃の保証率は、サブリース会社や物件の立地・戸数などにもよりますが、募集家賃の80~90%程度となっています。

サブリースのメリット

サブリースには次のようなメリットがあります。

①空室があっても一定の賃料が支払われる

サブリースでは、アパートに空室があっても、毎月決まった額の家賃が支払われます。そのため、空室リスクが心配な大家さんにとっては大きな安心感につながります。

②銀行の借入がしやすい

サブリースが付いているアパートは、銀行から融資を受けやすくなるというメリットもあります。特に、信用があるサブリース会社の一括借上げは、融資の審査においてプラスの材料になり、なかには金利の優遇につながることもあります。

③管理をサブリース会社にまかせられる

サブリースの最も大きなメリットは、わずらわしいアパートの管理をサブリース会社が行ってくれることでしょう。入居者にとっての大家さんはサブリース会社なので、故障の修理、クレームや入居者同士のトラブルなどがあっても、入居者はサブリース会社に連絡し、サブリース会社が対応してくれます。よく言われる「アパート経営は不労所得」というのは、まさにサブリースシステムを利用する大家さんにこそ当てはまると言えるでしょう。

サブリースのデメリット

①管理委託よりも手取り収入が少ない

アパートの入居率が高ければ、サブリースは管理委託と比べて手取り収入が少なくなります。一般的に管理委託費は3~5%程度ですが、サブリースでは差し引かれる保証料が10~20%になるためです。そのため、高い入居率が見込まれる立地では、サブリースを取り入れないという選択肢もあります。

②賃料支払いの免責期間に注意

多くのサブリース契約では、新築時より1~3か月程度、賃料支払いの免責期間を定めています。例えば、新築時の免責期間が3か月の場合、建物が完成して、すぐに入居者が決まり入居を開始したとしても、3か月間はサブリース会社が家賃を受け取り、大家さんに家賃が支払われるのは4か月目からになります。

また、入居者の退去があった場合、退去時から1か月程度の免責期間が設けられているケースもあります。このようなケースでは、入れ替えが激しいアパートほど、免責月数が多くなります。特に借入れがある場合、免責により家賃が受け取れない月でもローン返済はあるため、注意が必要です。

③長期間家賃固定の契約でも、賃料減額の可能性がある

サブリース会社と10年間家賃固定という契約をしている場合でも、賃貸市場の動向や社会・経済情勢の変化により、その途中で家賃が減額されることがあります。家賃の減額を巡り過去に裁判になったケースでは、サブリース会社が勝訴し、家賃の減額が認められています。これは、法的に賃借人は立場が弱いので保護されるべきとされているためです。

そのため、〇〇年家賃固定というセールストークで勧められても、大家さんは家賃の下落はあり得るという前提で、事業計画を立てておく必要があります。

④礼金はサブリース会社の収入

最近は礼金ゼロのアパートの割合も増えていますが、礼金のあるアパートでも、礼金はサブリース会社の収入となり、大家さんは受け取ることができません。

⑤途中解約の可能性がある

30年間一括借上げという契約をしていても、その途中でお互いの条件が折り合わなくなると、サブリースが打ち切られる場合があります。サブリースが継続される前提として、賃料などの賃貸条件についての合意が必要ということも理解しておく必要があります。

相続税対策には大きなメリットがあるサブリース

あまり注目されていませんが、実は、サブリースは相続税の節税を考えている人にとって大きなメリットがあります。

相続税がかかることが予想される場合、相続税を少しでも安くしたいと考える人は多いと思います。相続税を下げるためには「基礎控除を増やす」「生前贈与」「財産の評価を下げる」などの方法が有効とされていますが、サブリースの利用は、「財産の評価を下げる」という点で次のような役割を果たします。

①貸家建付地の評価減を最大で受けられる

自宅の土地や更地を「自用地」と言いますが、土地の相続税評価では、自用地は最も高い価格で評価されます。それに対して、アパートマンション、貸店舗など賃貸用の建物が建っている土地は「貸家建付地」として評価減が受けられます。

貸家建付地の評価額は以下の計算式で算出します。

 貸家建付地の評価額=自用地の相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

計算式にある借地権割合とは、自用地の評価額に対する借地権価額の割合のことで、地域により異なります。借家権割合は、借家権の強さのことですが、全国一律で30%です。そして、賃貸割合とは実際に賃貸している部分の割合のことですが、戸数の割合ではなく、面積割合で計算します。

ここで、自用地の相続税評価額が1億円、借地権割合が70%の土地に満室アパートが建っている場合の貸家建付地の評価額を上の式に当てはめて計算してみましょう。

1億円×(1-借地権割合0.7×借家権割合0.3×賃貸割合1)=7,900万円
満室アパートの場合は、自用地よりも2,100万円、21%の評価減が受けられます。

ところが、賃貸割合が50%になると
1億円×(1-0.7×0.3×0.5)=8,950万円
評価減は10.5%と少なくなってしまいます。

さらに、全て空室の場合
1億円×(1-0.7×0.3×0)=1億円
評価減はなくなり、自用地の評価額と変わりません。

このように、せっかくアパートを建てても賃貸割合が低いと評価額は下がりません。相続税対策のためには、空室を減らし、高い入居率を維持することが重要です。

その点、サブリースを利用すれば賃貸割合は常に100%になるので、貸家建付地の評価減を最大限に受けることができるのです。

②親が子に生前贈与をしても貸家建付地評価が適用される

相続税の節税対策として、大家さんが子にアパートの建物を生前贈与するケースがあります。その際にもサブリースの利用は節税対策に役立ちます。

前掲した貸家建付地の評価減は、大家さんがアパートを子に生前贈与した後も引き続き適用されます。ところが、生前贈与をした後に入居者が入れ替わってしまうと、貸家建付地の評価減は受けられなくなってしまいます。しかし、サブリースを利用していれば、実際の入居者が入れ替わっても、大家さんにとっての入居者はずっとサブリース会社のままで変わらないため、引き続き貸家建付地の評価減を受けることができます。

このように相続税対策に対しては、サブリースは大きなメリットを発揮するのです。

まとめ~サブリースの本質を理解することが大切

サブリースを正しく理解すれば、サブリースが決して危ないシステムではなく、利用したほうが良いケースもあることが分かります。

にもかかわらず、サブリースをめぐるトラブルが発生するのは、虚偽または虚偽に近い説明をする勧誘側の責任も大きいですが、おいしいセールストークをそのまま受け入れてしまう大家さん側にも原因がないとは言い切れません。

2020年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立し、サブリース会社に対する規制が厳しくなります。今後サブリースについて誤解させるような勧誘は減少すると思われます。

大家さんも、サブリースは「家賃保証」ではなく、「転貸」のシステムであるという本質を理解し、メリット・デメリットを比較した上で、サブリースについて判断をすることが大切です。


橋本秋人

ファイナンシャル・プランナー(CFP® 1級FP技能士)、終活アドバイザー 長年、住宅メーカーで顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。また、自らも在職中より不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてセミナー、執筆、相談、実行支援などを行っている。共著に「日経MOOK よくわかる相続2020年版」

この記事のタグ

        

あなたにおすすめの記事

新着記事

賃貸経営お役立ち情報【PR】

賃貸経営お役立ち情報【PR】

お電話でも受付中

入力方法が分からない場合など、お気軽にお問い合わせください。

0120-112-180

無料!お電話で問い合わせる

受付時間:9:30~18:00
月~金曜日(祝日・年末年始を除く)