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融資借換の基本戦略

4週間前

半沢大家

2019年まで銀行員、現在は証券アドバイザーとして勤務する兼業大家。2018年以降、2年間で計5物件、融資を使って購入。現在アパート4棟、駐車場用地1筆を保有し、家賃年収は2,600万程度。不動産購入での銀行融資付を得意とし、投資家からの個別相談を受け、銀行打診の指南を行っている。


こんにちは、半沢大家です。今回の記事は借換について書きたいと思います。

良い賃貸経営のためには良い融資条件が不可欠ですが、既存の融資条件を自分の手で改善する方法の一つとして「借換」があります。

基本的に融資条件(金利など)について、銀行の方から条件改善を打診することはありません。改善するためには、あくまで自身の行動で他行からより良い条件の融資を引いてくる必要があります。

この借換については、新規融資と同様に戦略を持って行動することで結果が大きく変わります。

今日はこのあたりについて解説したいと思います。

借換ってどんな仕組み?

ご存じの方も多いと思いますが、借換とは「B銀行でお金を借りて、今借りているA銀行借入を返済すること」を指します。

A銀行の借入金利が2%で、B銀行で借りる分の金利が1%だとしたら、金利削減メリットが享受できる、これが借換を行う目的となります。

実務的には、B銀行で融資を受けた後、A銀行の返済用口座に振り込みます。そして(基本的には同日中に)A銀行に訪問し、全額繰り上げ返済を行います。

抵当権についても同様で、B銀行の2番抵当権設定を行い、A銀行の1番抵当権を抹消することで、最終的にB銀行の抵当権が1番となり、担保設定が完了します。

よって借り換えを行うその日だけは借入が2倍に増えることになりますが、最終的にはA銀行の融資は完済となり、良い条件のB銀行の融資だけが残り、借換が完了となるのです。

ちなみに、この借換を受けるA銀行では担当者を含め大慌てとなります。(私も最初の頃は自分の顧客の口座に残債金額そっくりの振り込みがあると、恐ろしさのあまり心臓が奇妙に動く感覚を味わっていました。)借換を受けることを「被肩(被肩代わり)」というのですが、被肩を受けた担当者は今までの対応に問題がなかったか上司に詰められます。

銀行は融資の残高に目標を張られているわけですから、被肩による返済は大ダメージとなります。(特に不動産など大きい金額の融資はなおさらです)また銀行間のプライドにもかかわる問題になりますので、ムキになる銀行もいます。B銀行より低い金利を提示して、振込まれた資金を振込返すこともありました。(レアケースですが、他のB銀行の借入に対し借換を仕掛け返すこともありました。俗にいう「倍返し」です。)

話が逸れましたが、借換はこんな流れで行われます。

借換のメリットデメリット

借換のメリットとデメリットを整理してみましょう。
個人的には借換はデメリットもあるため、少しの金利削減だけで実行するのは危険と考えています。

〇借り換えのメリット
・金利削減効果
・融資期間延長

借換のメリットはほとんど金利の削減に集約されると思います。融資期間延長のケースもなくはないですが、基本的には既存の銀行借入と同期間、あるいは短縮化されることがほとんどだと思います。

ただし、この金利削減の効果は絶大です。例として同一の融資条件を、金利を変えて比べてみましょう。

「金額:1億円、期間25年、元利均等返済の場合」
①金利:1% ⇒ 支払利息総額:1,306万円
②金利:2% ⇒ 支払利息総額:2,715万円
③金利:3% ⇒ 支払利息総額:4,226万円
④金利:4% ⇒ 支払利息総額:5,835万円

あらためて説明することもなかったかもしれませんが、大きな違いですね。元利均等返済の場合、金利が高いと元金の減りが遅くなるため、金利が半分になると、支払利息総額は半分以上減少します。

また、既存の借入の金利が下がることで、新規融資の打診の際にも良い印象を与えることになります。(例えば、全ての借入の金利が1%未満の会社があったら、銀行はそれなりの業績と資産背景を感じ取ります。銀行は横並びの意識が強いので、他行が信用している取引先については、自分たちも信用しやすくなる心理が働きます。)

〇借り換えのデメリット
・BSの短期的な悪化
・既存銀行の心象悪化(場合によっては出禁)

デメリットについては以上の2つが挙げられます。一つ目のBSの短期的な悪化については、借換に伴う諸費用が関係しています。

前述の通り、借換には2つの銀行の新規融資・繰り上げ返済が絡むので、融資手数料、登記費用などが新しく発生します。この費用は当然経費計上されBSを毀損(きそん)しますので、注意が必要です。(借換側の銀行が諸費用分も含めて融資してくれるケースも多いですが、短期的には残債が増えていることをお忘れなく。近い将来売却を検討している物件であれば、借換のメリットは少ないと思います。)

もちろん長期的に見て金利が大きく下がっているのであれば、金利という費用が削減され、決算書は改善していきます。

そこを含めて、総合的にメリットが大きければ実行するべきだと思います。(一般的に「金額1,000万、期間10年、金利差1%以上」あれば借換のメリットは出ると言われていますが、これはあくまで住宅ローンの時の話です。BSを維持し、新規融資を引く必要のある賃貸業者の場合は、もっとメリットが大きくないとお勧めしません

また、借換を実施された銀行の心象は大きく下がります。ビジネスの世界ですので、仕方がないというのは正論ですが、銀行側に履歴は残ります。

あくまで銀行の選択肢が一つ減るだけかもしれませんが、今後の融資情勢がどうなるかわからない以上、それが痛手となることもあります。ご注意ください。

借換の基本戦略

今までを踏まえて借換の基本戦略を考察したいと思います。

借換の融資承認を得るということは新規融資を引くのと同様、本部の融資承認を得なければなりませんので、当然簡単な話ではありません。先ほど例で挙げたB銀行にあたる借換融資は用意できることが前提となるため、一定のレベルの決算書は作っておく必要があるでしょう。ここに近道はないと思った方がよろしいかと思います。(それでも新規に物件を取得するよりは難易度は低いです)

その上で結論を述べるとすると、借換の理想形は「既存銀行の金利引き下げ」に持ち込むことです。なぜなら金利引き下げであれば先の述べたデメリットはほぼなくなるからです。

また、良いことに「既存の金利引き下げ」と「他行による借換実施」は実施プロセスに大きく違いはありません。借換を起こすべく行動を起こし、結果として「既存の金利引き下げ」に持ち込むことが可能です。

この両取りを狙えるから、プロセスに無駄がありません。また借り換えに比べたら敵も作りにくいです。

つまり相談のスタンスとしては、A銀行に対し「B銀行さんの提案金利は魅力的ですが、A銀行さんとの今までの付き合いも大事にしたい。どうにかなりませんか?(最後はビジネスですから数字で判断しますけど)」という姿勢で臨みます。

この時にA銀行にとっては金利引き下げはメリットがなく、手間に感じる場面ですが、借換で残高が持っていかれるよりはマシ、となれば金利引き下げに応じてくれることと思います。

ただし、A銀行も金利引き下げを行うため本部審査の承認が必要となります。難易度としては新規案件に比べれば低いですが、それでも条件によっては承認が出ないこともあります。

前回の記事でお話しした「取引先利益」(顧客が銀行に黒字をもたらすかどうか?)がマイナスになるまでは金利を下げないでしょうし、そもそも本部の目線で明らかに無理な金利水準では土台に上げないでしょう。(支店内で「借換をするのであればお好きにどうぞ」と判断されるケースもあります)

いずれにしても「健全な財務状態を維持することが必要」ということですが、さまざまな交渉を織り交ぜながら、金利引き下げに向けて行動していけば、成果はついてくると思います。

まとめ)

今回は借換と、その基本戦略について書きました。

借換を成功させるには、その「仕組み」と「銀行心理」を理解して交渉を行うことが大切です。そして、その「銀行心理」を揺さぶるためには自身の決算書をよりよい状態にしておく必要があるということです。

賃貸業ではCFが重視されることが多いですが、BSを大切にすると巡り巡ってCFを改善することがあります。借換もその一つの手法です。

次回は「既存銀行からおかわり融資をもらう方法」について書きたいと思います。次回もお楽しみに!

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