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リロケーションでありがちな2つのトラブルと対処法を解説

2週間前

リロケーションとは、主に転勤中の空き家を一定期間賃貸することです。一定期間の賃貸ではありますが、借地借家法や民法が適用されるため、一定の知識を得てから始めないとトラブルになることもあります。

では、リロケーションにはどのようなトラブルがあるのでしょうか。この記事では、「リロケーションのトラブルと対処法」について解説します。

1.定期借家による中途解約と対処法

リロケーションでは、定期借家契約と呼ばれる賃貸借契約を用いるのが一般的です。転勤では、急きょ転勤期間が短くなり予定よりも早く戻ってくることがありますが、「定期借家契約では、貸主から賃貸借契約を中途解約できない」ということを知っておく必要があります。

借地借家法では賃貸借契約として、主に「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類が定められています。

両者の違いは、普通借家契約は更新できる契約で、定期借家契約は更新できない契約であるという点です。

普通借家契約では、契約期間満了時に貸主から更新拒絶をする場合、正当事由と立ち退き料の2つが必要となります。

正当事由とは契約を解除するための正当な理由のことです。立ち退き料とは、正当事由を補完するために支払われる金銭になります。

普通借家契約は、アパートや賃貸マンションなど多くの賃貸物件で用いられている契約です。

しかしながら、リロケーションでは貸主が転勤期間終了後に再び家を利用することが想定されるため、契約解除がしにくい普通借家契約は利用しないことが一般的となっています。

リロケーションで利用する賃貸借契約は、定期借家契約であることが通常です。定期借家契約は、更新できない契約であるため、契約期間満了時に確実に賃貸借契約を終了させることができます。

契約期間終了時においては、もちろん、正当事由も立ち退き料も不要です。確実に家を取り戻せることから、リロケーションには定期借家契約が適しています。

ただし、定期借家契約であっても、契約期間中に貸主から中途解約はできないという点に注意が必要です。

例えば、当初予定されていた海外への転勤期間が5年であったにも関わらず、急きょ、3年で帰国しなければいけないようなケースがあります。

定期借家契約の契約期間を5年としていた場合、3年目で帰国しても中途解約はできないため、貸主は契約期間が満了するまで他の賃貸物件を借りる等の対応が必要です。

中途解約ができない問題に対処するには、定期借家契約の契約期間を短めに設定することが対処法となります。

例えば、契約期間は5年ではなく1年などの短めに設定しておくと、急きょ転勤の終了が早まったときに対処がしやすいです。

定期借家契約では、更新はできませんが再契約することならできます。仮に、契約期間を1年としても、貸主と借主が同意すれば、2年目以降も再契約することで貸し出すことも可能です。

契約期間は短めに設定し、再契約によって契約期間を延長していけば、想定外のスケジュール変更にも対応しやすくなります。

一方で、契約期間を短くすると、借主の立場は不安定になるため、貸しにくくなるという問題も生じます。

定期借家契約で借主を見つけやすくするには、契約期間はある程度の長さがあった方が良いのです。

契約期間を短くすれば、貸主はスケジュールの調整がしやすくなりますが、逆に物件を貸しにくくなっていきます。

そのため、転勤期間が早く終了する可能性が低い場合には、契約期間を短めに設定することは不要です。

契約期間は、中途解約ができないことを知った上で、スケジュール変動の可能性も考慮しながら決めるようにしましょう。

2.原状回復トラブルと対処法

リロケーションでは、原状回復に関するトラブルも多いです。原状回復義務とは、借主が退去時に借りた状態で物件を返さなければならない義務を指します。

原状回復で対象となるのは、「借主の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損傷」の部分です。

よって、原状回復では、まず借主の通常の使用による損耗や自然的な劣化は原状回復の対象外となります。

原状回復の対象となるものとならなないものを例示すると、以下のようになります。

箇所原状回復の対象となるもの原状回復の対象にならないもの
フローリング・キャスター付きの椅子等によるフローリングの傷、へこみ・日照によるフローリングの色落ち
・重量物をかけるためにあけた壁等のくぎ穴、ネジ穴 ・結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ・壁等の画びょう、ピン等の跡 ・エアコン設置による壁のビス穴、跡
設備・日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損(きそん)・設備の故障、使用不能
水回り・ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、煤(すす)・台所、トイレ等の消毒

上表の中には、例えば「壁等の画びょう」は原状回復の対象にならない等、初めて聞く人にとっては違和感を覚える内容もあるかもしれません。

原状回復は借主に過剰に求めるとトラブルになるため、どのようなものは原状回復に該当しないのかしっかりと理解をしておくことが必要です。

原状回復に関しては、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて判断するのが一般的となっています。詳細については、ガイドラインをご参照ください。

国土交通省:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)(PDF)

また、原状回復のトラブルを防ぐには、貸出時と退去時にしっかりと写真付きで物件状況確認書を作成することも重要になります。

写真で状況を残しておけば、貸主と借主のどちらが壊したものなのかがはっきりさせることができます。

また、退去時も可能な限り貸主が直接立ち会うことがトラブルを避けるコツです。退去時の対応は管理会社に任せることもできますが、貸主が後から損傷を発見した場合、借主に原状回復の請求がしにくくなります。

原状回復はリロケーションに限らず、一般の賃貸物件においてもトラブルの多い部分ですので、しっかりと理解した上で貸し出すことがポイントです。

まとめ

以上、リロケーションのトラブルと対処法について解説してきました。

定期借家契約は、貸主からの中途解約ができないため、転勤期間が想定外に早まる可能性がある場合には、契約期間をできるだけ短めに締結しておくことが対処法となります。

原状回復のトラブルを避けるには、原状回復のルールを理解して、適切な範囲の要求をすることがポイントです。貸出時と退去時にしっかりと写真付きで物件状況確認書を作成することも重要となります。

トラブルと対処法を理解した上で、リロケーションをスタートさせましょう。


竹内英二

不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士。不動産開発業務や不動産コンサルティング業務を経験し不動産投資の分野に精通している。代表取締役を務める(株)グロープロフィットは、不動産鑑定士事務所及び宅地建物取引業者であるため、最新の不動産動向も把握。

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