【重要】新型コロナウイルス感染症への対応について

閉じる

大家さんも注目したい! 空き家・空き地問題と国の施策

3週間前

人口減少が進む日本では、空き家や空き地の増加が深刻な社会問題になっています。2018年の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家の数は約848.9万戸に達し、空き家率は13.6%と、日本の住宅の約7件に1件が空き家になっています。(※1)

国にとっても空き地や空き家の増加は頭の痛い問題です。今回は国の空き家・空き地対策のうち、特に空き家に対する重要な2つの施策について解説をします。

空き家のなかでも最も深刻なのは「その他の住宅」

空き家と一口に言っても種類はさまざまです。住宅・土地統計調査では、空き家を4つの類型に分類し、それぞれのデータを公表しています。

①賃貸用の住宅…432.7万戸
②売却用の住宅…29.3万戸
③二次的住宅(別荘・セカンドハウス)…38.1万戸
④その他の住宅…348.7万戸

大家さんも関心があると思われる賃貸用の空き家の数はやはり多く、空き家全体の過半数を占めています。しかし、実は賃貸用の空き家はあまり増えてはいません。

前回2013年の調査では、賃貸用の住宅は約429万戸だったのに対し、今回は約433万戸と、5年でわずか0.8%の微増でした。

実は、空き家で最も深刻なのは、その他の住宅です。その他の住宅とは、親が亡くなったり施設に入ったりした後に、家族が誰も住まず空き家になってしまった、いわゆる「実家の空き家」を言います。その他の住宅は5年前の318万戸から約30万戸(9.5%)も増加しているのです。

その他の住宅の増加を抑制するためには、空き家を空き家のまま放置するのではなく、売却や利活用を進める必要があります。そのために国は、空き家対策として「アメ」と「ムチ」の2つの施策を打ち出しました。

それが、2015年2月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家対策特別措置法)」と、2016年4月から適用されている「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」です。ここからは、それぞれの施策について解説をします。

空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家特措法)

街でときどき見かける「お化け屋敷」「ゴミ屋敷」と呼ばれるような朽ち果てた空き家は、美観、衛生、防災、防犯などの面でも、近隣住民に深刻な影響を及ぼしています。

空家対策特別措置法の目的は、このような適切な管理が行われていない空き家の抑制にあります。この法律では、空き家に関する国の基本指針と市町村の計画策定、空き家の調査とデータベース化などいくつかの柱で成り立っていますが、そのなかでも最も大きな柱は、「特定空家等」に対する措置です。

市町村は、空き家のなかでも「倒壊の危険がある」「景観を損なう」「衛生上有害」など、放置しておくことが問題となる空き家を「特定空家等」と指定し、是正措置を講じることができることとしました。

市町村は、特定空家等に対して、解体や修繕、樹木の伐採などの措置を助言または指導、勧告、命令の順に行うことができます。所有者が命令に従わない場合は、「行政代執行」による強制執行をすることができます。

行政代執行とは、市町村が所有者に代わって危険な空き家やブロック塀を解体したり、樹木を伐採したりすることを言い、その費用は土地の所有者に請求されます。

この法律にはもうひとつのポイントがあります。それは、市町村が特定空家等の所有者に対して勧告を行うと、土地の固定資産税の軽減措置が受けられなくなるというものです。

朽ち果てた空き家を所有者が取り壊さない理由の一つに、小規模住宅用地の固定資産税等の軽減措置があるとされています。住宅やアパートなどの居住用の建物が建っている宅地は、一定の要件を満たすと住宅1戸当たり200㎡までは固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税は3分の1に軽減されます。

この場合、居住用の建物には、実際に人が住んでいても住んでいなくても構いません。そのため、空き家がどんなに朽ち果てても、建ってさえいれば土地の税金は軽減され続けます。ところが、勧告を受けると軽減措置がなくなり、固定資産税はざっと4.2倍、都市計画税は2.1倍に上がってしまいます。

そこで、空き家の所有者もこれ以上空き家を放置することができなくなり、売却や建て替えなどの有効活用が進むだろうと言うのが、国の思惑であり、この法律が「ムチ」の施策と言われる所以です。

空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除

この制度は、相続または遺贈によって取得した空き家を2023年12月31日までに売却する場合、一定の要件を満たすことにより、譲渡所得から最高3,000万円を控除することができるというものです。

空き家の売却時の税金を軽減することにより、特に耐震性の弱い空き家を長期間放置することなく、次の所有者による有効利活用を促すための「アメ」の政策と言えます。まず、対象となる家屋については、以下の要件をすべて満たす必要があります。

①1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物
②一戸建て(マンションは適用外)
③相続開始まで被相続人のみが居住していたこと。なお、被相続人が要介護認定を受けて老人ホームなどに入所していた場合には、相続前から空き家になっていても適用可

次に、特例を受けるための主な要件は以下の通りです。

④相続時から譲渡時まで事業・貸付・居住に使われていない(ずっと空き家のままだった)
⑤譲渡時に建物が一定の耐震基準を満たす
⑥建物を解体して土地のみ譲渡する場合は、解体前の建物が相続時から解体時まで、かつ、土地が相続時から譲渡時まで事業・貸付・居住に使われていない
⑦相続の開始から3年が経過する日が属する年の12月31日までに売却
⑧売却金額が1億円以下
⑨売却先は特別な関係にある人(配偶者や子など)ではない

この特例が適用できると、相続した空き家を売却したときに、譲渡所得から最大3,000万円の特別控除を差し引くことができます。よって譲渡所得が3,000万円以下の場合は税金がゼロになります。

なかには、「私の実家は売っても対した利益は出ないはず。」と思う人がいるかも知れません。ところが、この3,000万円特別控除が使えることにより救われるケースは多いのです。その理由は、多くの場合、実家は取得費が不明なことが多いからです。譲渡所得は次の計算式で計算します。

譲渡所得=売却金額―(取得費+譲渡費用)

先祖代々引き継いできた実家や、親が自宅を購入したときの金額が分からないといったケースはよくあることです。その場合の取得費は、概算取得費として売却金額の5%とすることになります。

例えば実家を3,000万円で売却した場合、取得費として差し引ける金額はわずか150万円です。このようなケースでも特別控除が使えれば、譲渡所得がゼロになり、所得税はかかりません。

なお、特例を受けるための手続きには一定の書類をそろえて確定申告をすることが必要です。特に重要な書類は、市町村が交付する「被相続人居住用建物等確認書」です。この書類により空き家が3,000万円控除の特例の適用が受けられる条件を有することが証明されます。

大家さんも空き家対策の今後に注目しましょう

国土交通省は、2019年10月1日時点での2つの施策の取り組み状況を公表しました。(※2)それによると、市町村が特定空家等として把握した空き家は、23,885物件。そのうち、措置などによって取り壊しや改善された空き家は7,557物件でした。

また、3,000万円控除の特例適用が始まった2016年4月から2019年9月の3年半で、21,579件の「被相続人居住用建物等確認書」が交付されており、この特例を利用した空き家の売却が行われたと考えられます。

今回解説した2つの施策以外にも国や自治体は空き家問題に対してしてさまざまな施策を講じたり、今後の対策を検討しています。立地の良い空き家のなかには、貸家に転用されたり、アパートマンションなどに建替えられたりするケースも増えていくでしょう。大家さんも、今後の空き家問題の動向に注目されることをおすすめします。

(※1)出典:総務省統計局HP「平成30年住宅・土地統計調査」

(※2)出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について(R元.10.1時点)


橋本秋人

ファイナンシャル・プランナー(CFP® 1級FP技能士)、終活アドバイザー 長年、住宅メーカーで顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。また、自らも在職中より不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてセミナー、執筆、相談、実行支援などを行っている。共著に「日経MOOK よくわかる相続2020年版」

この記事のタグ

        

あなたにおすすめの記事

新着記事

賃貸経営お役立ち情報【PR】

賃貸経営お役立ち情報【PR】

お電話でも受付中

入力方法が分からない場合など、お気軽にお問い合わせください。

0120-112-180

無料!お電話で問い合わせる

受付時間:9:30~18:00
月~金曜日(祝日・年末年始を除く)