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高齢者向け不動産経営で知っておきたい孤独死リスクと対処法とは

2ヶ月前

日本はこれからも高齢者が増えていきますので、不動産経営においても高齢者向け対応にしっかりと取り組んでいくことが必要です。

しかしながら、多くの賃貸経営者は高齢者が増えていくことはわかっているものの、高齢者対応には踏み切れていません。

高齢者向け賃貸が広まらない理由の一つに、オーナー側が孤独死リスクを過剰に気にし過ぎていることがあります。

高齢者向け賃貸を始めるには、孤独死が賃貸物件にどのような影響を与えるのか、しっかりと理解することが必要です。

そこでこの記事では、「高齢者向け不動産経営の孤独死リスク」について解説します。

1.孤独死だけでは事故物件にならない

空室で悩んでいるアパート等のオーナーさんに、「高齢者にも賃貸するのはどうですか?」と提案しても、ほとんどのオーナーさんは嫌がります。

理由を聞いてみると、「自分の物件を事故物件にしたくない」という返答が返ってくることが多いです。

賃料等の不払いを気にするアパートオーナーはまれであり、大半のオーナーさんは高齢者の孤独死を気にしています。

結論からすると、入居者に孤独死をされても、それだけでは事故物件にはなりません。

事故物件とは、俗称であり、不動産の取引上においては「心理的瑕疵(かし)のある物件」ということになります。瑕疵(かし)とは、キズという意味です。

瑕疵というと、雨漏りやシロアリによる床下の腐食等を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしながら、雨漏りやシロアリによる床下の腐食は物理的瑕疵と呼ばれる瑕疵に分類されます。

心理的瑕疵とは、自殺や殺人など過去の嫌悪すべき歴史的背景によって住み心地に悪影響を与える瑕疵のことです。

ここで、裁判所は孤独死のような自然死については、明確に心理的瑕疵にあたらないものとして否定しています。

理由としては、住居は人間の生活の本拠である以上、自然死が発生することは当然予想されるものであるからです。当然予想されるものは、社会通念上、嫌悪すべき歴史的背景には該当しません。

嫌悪すべき歴史的背景とは、自殺や殺人などの当然には予想できないものであり、人が居室内で自然に死に至ることは当然予想できるものであるため心理的瑕疵に該当しないとしています。

確かに、突然、居室内で死亡することは若い人でもあり得ることです。居室内の自然死を否定的に考えることは、個人の尊厳を傷つけるものであり、到底社会的に認められるものではないということになります。

自然死を心理的瑕疵とは認めなかった判例には、以下のものがあります。

東京地判平18・12・6
アパートの階下の部屋での半年以上前の自然死について心理的欠陥にあたるものとは認められないとされた事例

2.遺体の発見が遅れると事故物件となる

前章で解説したように、孤独死そのものは心理的瑕疵には該当しません。ただし、遺体の発見が遅れ長期間放置されたままの状態で、悪臭や害虫などの著しい不快感が生じている状況にあれば心理的瑕疵に該当します。

腐乱死体が発見されたことで心理的瑕疵にあたるとされた判例には、以下のものがあります。

東京地判平14・6・18
建物内で人が死亡し、遺体が発見されるまで3か月の間建物内に放置されたままであったことが瑕疵にあたるとされた事例

遺体の発見が遅れると、遺体が腐乱し、壁や床、天井等に異臭が染みついて容易に脱臭することができなくなります。床も変色しますし、床や壁、天井等は広範囲に貼り換えることが必要です。

また、腐乱死体が発見されたとなると、事実が周辺住民にも知れ渡ることになり、風評被害によってさらに価値が低下してしまいます。

長期に遺体が放置されることは、嫌悪感や抵抗感を発生させてしまうため、心理的瑕疵に該当してしまうのです。

心理的瑕疵に該当してしまうと、不動産会社は重要事項説明で借主や買主に心理的瑕疵を説明しなければならなくなります。

賃貸においても、不動産会社は宅地建物取引業法によって重要事項説明義務を負います。重要事項説明とは、借主や買主に対して契約を締結する前に行う物件の説明です。

不動産会社は、借主や買主が賃貸借契約や売買契約を締結するかどうかを決定づけるような重要な事項について知りえた場合は説明義務を負っています。

そのため、心理的瑕疵に該当するような状態となった孤独死は、不動産会社は重要事項で説明をせざるを得なくなります。

重要事項の説明の結果、借主が嫌がれば物件を借りないことになってしまうため、物件が貸しにくくなるのです。

3.対処法は早期発見の仕組みを構築しておくこと

孤独死を心理的瑕疵としないためには、対処法として孤独死の早期発見の仕組みを構築しておくことが重要です。

先にも述べたように、孤独死そのものは心理的瑕疵ではないため、物件の価値を落とす要因にはなりません。

現に裁判所も孤独死は心理的瑕疵に該当しないとしています。心理的瑕疵でない以上、不動産会社も重要事項説明で説明する必要もないということです。

重要事項説明で借主に説明されないということは、借主が敬遠して借りないようなことも起こらないことになります。

一方で、孤独死の発見が遅れてしまうと心理的瑕疵に該当するとしています。心理的瑕疵に該当すれば、重要事項説明により買主に説明せざるを得ず、物件価値が下がることにつながります。

整理すると、孤独死は早期に発見されれば心理的瑕疵ではなく、早期に発見がされなければ心理的瑕疵になり得るということです。

そのため、物件価値を落とさないようにするには孤独死を早期発見できる仕組みを作っておくことが重要となります。

現在、セキュリティー会社が赤外線センサーにより孤独死を早期発見できるサービスを提供しています。

室内に赤外線センサーを張り巡らせることで、一定期間動きがない場合に異常信号は送られるというシステムです。セキュリティー会社の警備員も急行するようなシステムもあります。

現状では、孤独死の早期発見はセキュリティー会社のシステムを活用することが最も有効と考えられます。

まとめ

以上、高齢者向け不動産経営の孤独死リスクについて解説してきました。孤独死は、早期発見されれば事故物件にはなりません。

セキュリティー会社のサービスによって以前よりも早期発見はしやすくなっています。高齢者対応をする場合には、早期発見の仕組みを積極的に取り入れるようにしましょう。


竹内英二

不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士。不動産開発業務や不動産コンサルティング業務を経験し不動産投資の分野に精通している。代表取締役を務める(株)グロープロフィットは、不動産鑑定士事務所及び宅地建物取引業者であるため、最新の不動産動向も把握。

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