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土地と建物の売却で消費税はどうなるの? 節税する方法も解説

2020年4月21日

個人が売主であっても、アパートや賃貸マンションといった事業用不動産を売却するときは、消費税が発生します。不動産における消費税は、特にルールが複雑で分かりにくいです。

そこでこの記事では、「土地建物売却の消費税」について解説します。

1.消費税とは

最初に消費税の仕組みについて解説します。消費税は、間接税と呼ばれる税金であり、買い物でお店に支払っている消費税がそのまま納税されているものではありません。

まず、消費税は課税事業者と呼ばれる事業者が国に納めている税金です。お店で支払っている消費者が税金を納税しているのではなく、直接国に納めているのは課税事業者になります。

課税事業者は、個人や法人を問いません。個人であっても、アパート経営をしている人は事業者に該当します。

ただし、消費税を納める義務がある課税事業者には要件があります。

課税事業者とは、基準期間における課税売上高(消費税が課税される売上高)が1,000万円を超える事業者のことです。基準期間は、法人なら原則前々事業年度、個人事業主なら前々年となります。

それに対して、事業者の中には消費税を納めなくても良い事業者も存在します。消費税を納めなくても良い事業者のことを免税事業者と呼びます。免税事業者とは、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者のことです。

よって、法人でも個人でも、免税事業者であれば売却した年は消費税を納めなくて良いことになります。

次に、消費税は顧客から受け取ったものを全額国に納めているわけではありません。顧客から受け取った消費税は、いったん課税事業者が預かる形のお金であり、「預り消費税」と呼ばれています。

また、課税事業者自身も仕入れ先等に消費税を支払っています。課税事事業者が支払った消費税は、「支払消費税」と呼ばれるお金です。

消費税は、課税事業者が預り消費税と支払消費税の差額を払う税金になります。ここで、消費税率10%(2020年4月現在)で課税事業者が納税する税金を例示します。

課税事業者が100万円のものを売却したとき、税込み価格が110万円となるため、預り消費税は10万円です。

また、課税事業者が60万円のものを購入したとき、税込み価格が66万円となるため、支払消費税は6万円になります。

よって、課税事業者は預り消費税の10万円から支払消費税の6万円を差し引いた4万円を国に納税することになるのです。

2.不動産売却における消費税

不動産の売却では、消費税は建物のみにかかるのが原則です。土地には常に消費税は生じないことになっています。

建物の中にも、例外的に消費税が発生しない不動産があります。消費税が発生しない不動産は、自宅などの非事業用不動産です。

一方、アパートや賃貸マンション、店舗、賃貸オフィス、倉庫等の事業用不動産は個人が売却しても建物に消費税が生じます。つまり、個人でもアパートを売却した場合、預り消費税を受け取るということです。

ただし、消費税は発生するというだけであり、納税義務があるかどうかは別です。売却した際、免税事業者であれば消費税を納める必要はありません。課税事業者であれば、預り消費税と支払消費税の差額を納税することになります。

3.収益物件における土地と建物の案分方法

アパートや一棟マンション等の賃貸物件は、利回りで計算される収益価格に基づき取引が行われることが多いです。

収益価格は土地と建物の合計額になります。仮に売主と買主が収益価格を税込み価格と認識して取引した場合、建物消費税を求めるには土地と建物で価格を分けることが必要です。

土地と建物の案分方法は、固定資産税評価額によって案分するのが一般的になります。

例えば、以下の条件で土地建物を案分し、建物消費税を求めます。消費税率は10%です。

税込取引総額:5,300万円
売却時の土地固定資産税評価額:1,000万円
売却時の建物固定資産税評価額:1,500万円

土地固定資産税評価額と建物固定資産税評価額より、土地と建物の価格比率は、土地が全体の40%、建物が全体の60%になります。消費税は建物のみに10%が発生しますので、建物消費税の割合は以下のように計算されます。

税込建物価格割合 = 建物割合 × ( 1 + 消費税率 )
        = 60% × ( 1 + 10% )
        = 66%


建物消費税の割合 = 税込建物価格割合 - 建物割合
        = 66% - 60%
        =6%

つまり、税込取引総額の割合は、以下の割合で構成されていることになります。

税込取引総額の割合 = 土地価格割合 + 建物価格割合 + 建物消費税の割合
         = 40% + 60% + 6%
         = 106%

従って、土地価格、建物価格、建物消費税はそれぞれ以下のように求めることができます。

土地価格 = 税込取引総額 × 土地価格割合 ÷ 税込取引総額の割合
    = 5,300万円 × 40% ÷ 106%
    = 2,000万円


建物価格 = 税込取引総額 × 建物価格割合 ÷ 税込取引総額の割合
    = 5,300万円 × 60% ÷ 106%
    = 3,000万円


建物消費税 = 税込取引総額 × 建物消費税の割合 ÷ 税込取引総額の割合
     = 5,300万円 × 6% ÷ 106%
     = 300万円

4.消費税を節税する方法

固定資産税評価額による案分方法は、古い建物の場合、実際の時価よりも建物価格が大きく割り付けられてしまうというデメリットがあります。

理由としては、建物の固定資産税評価額は築年数が経過しても時価のようにどんどん下がっていかないからです。

建物価格が高く計算されることで、預り消費税は大きくなってしまい、納める消費税も大きくなります。

もし、実際の建物時価が小さいのであれば、預り消費税も小さくなり、納める消費税は少なくなるはずです。

よって、古い建物の場合、適正な建物時価を求めることで消費税を節税することができます。

ただし、適正な時価を求めるには不動産の鑑定評価が必要です。

鑑定評価は有料ですので、預り消費税が高額となるような大きな物件でないと、コストメリットが出てきません。

そのため、都市部の大型収益物件のような場合には、鑑定評価を取得するメリットが出てきます。

都市部の築年数の古い物件で、建物時価に違和感を覚えたら、建物時価を求めるための鑑定評価を検討しても良いでしょう。

まとめ

以上、土地建物売却の消費税について解説してきました。

不動産は、土地には消費税がかかりませんが、建物には原則として消費税が発生します。

土地と建物の案分方法は、固定資産税評価額で割り付けるのが通常です。税込総額で取引した場合には、消費税の割り付けの参考にしてください。


竹内英二

不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士。不動産開発業務や不動産コンサルティング業務を経験し不動産投資の分野に精通している。代表取締役を務める(株)グロープロフィットは、不動産鑑定士事務所及び宅地建物取引業者であるため、最新の不動産動向も把握。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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