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融資を継続して引くための決算書の作り方「債務償還年数攻略編」

8ヶ月前

半沢大家

2019年まで銀行員、現在は証券アドバイザーとして勤務する兼業大家。2018年以降、1年間で計4物件、融資を使って購入。現在アパート3棟、駐車場用地1筆を保有し、家賃年収は1,700万程度。不動産購入での銀行融資付を得意とし、投資家からの個別相談を受け、銀行打診の指南を行っている。


こんにちは、半沢大家です。

上級編3つ目の記事は前回に引き続き「融資を継続して引くための決算書の作り方」です。

今回は決算書作りの後編として、債務償還年数の解説を中心に行います。

賃貸経営を行うにあたり、キャッシュフロー(=収入-返済-経費)を一つの指標にしている方は多いと思います。もちろんキャッシュフローもとても大切な指標ですが、今回の債務償還年数も同じくらい大切な指標です。

特に銀行員はこの指標で取引先の安全性を確かめるケースも多いので、ぜひ今回の記事で理解を深めていただければと思います。

債務償還年数とは?

債務償還年数を言葉で表すと「今ある借入を毎年全力で返済していった場合、何年で借入が完済するか?」を表した数値です。

数式で表すと
「(有利子負債-流動資産余力)÷(当期利益+減価償却費)=債務償還年数」
となります。

流動資産余力とまとめて書きましたが、賃貸業の場合ほぼ現預金となると思います。

つまり、今ある現預金はすべて一部繰り上げに回し、毎年のキャッシュフローも必要な支出を終えたのち全て借入の一部繰り上げに充てた場合の、完済までの年数を指します。

何となくイメージできましたでしょうか?

つまり
・借入が少なければ債務償還年数は短くなる
・余力の現預金が多ければ債務償還年数は短くなる
・キャッシュフロー(当期利益+減価償却費)が多ければ債務償還年数は短くなる

と言えます。

債務償還年数の適正な数値とは?

では債務償還年数の適正な数値とはどの程度でしょうか。

結論から書くと
・通常の業種では10年以内
・不動産賃貸業では15年以内(長くて20年)

が安全な債務償還年数といわれており、これを超える債務償還年数となっている取引先は銀行からすると要注意先として登録されることもあります。

既存の銀行から融資を継続して引くためには、要注意先として登録されることはまず避けなければなりません。

本来であれば、新規銀行からの融資と既取引銀行からの融資であれば、後者のほうが可能性は高くなります。(銀行からすると既存の顧客は定性評価がすでに完了しているため、案件の検討がしやすくなりますし、少なくとも今までに問題がなかった取引先として認められるからです。)

しかし、要注意先として登録されてしまうと、そこを抜けださない限り新しい案件には取り組むことができません。

また、前回ご説明した自己資本比率もそうですが、今回の債務償還年数についても不動産賃貸業は特性上悪い数値が出ることがほとんどです。

銀行員もそのことを理解していますが、どうしても他の業種と比べると危うく見えてしまい、格付けは悪くなることが多いです。

以前説明した通り、融資の判断はさまざまな分野からの検証によって決定されるため、これが全てではありません。しかし、この債務償還年数という指標は「案件の審査」および「既存の取引先の格付け」ではまず確認されることが多い指標です。

債務償還年数を通じ、「自分の会社は銀行からどのようにみられているか?」を意識した経営を行いましょう。

決算書を作っていくうえで考えるべきことは。

では私たちは何に意識を置き、決算書を作っていくべきでしょうか?

これはそれぞれの目的により異なります。

仮に今後追加の購入を検討しないのであれば、思いっきり赤字を引き、支払う税金を減らすのが最善かもしれません。

しかし、今回は「既存の法人を育て、銀行からの評価を高めた後、新しい物件にチャレンジする」という視点で検討しています。

この場合、取るべき戦略は変わってきます。

結論をお話しすると、
「減価償却は極力計上しつつ、他の経費は抑え、当期利益の最大化を狙う。」
になります。

減価償却費であれば返済余力として見なされるので、債務償還年数の短縮化に寄与します。しかし、消耗品費・修繕費等の計上では、返済資力とは見なされません。(他の細かい話は税理士ではないのでしませんが、土地・建物の取得価格に含まれる費用もありますよね。建物の取得価格に組み込まれた費用は、建物として減価償却されていきます。)

この行動は税金を抑えたい経営者からすれば理解できない行動になりますが、物件の買い増しを行いたい経営者からすれば最適解になります。

中小企業の法人実効税率は、利益額の小さい範囲に対しては低いです。この範囲に収まるのであれば、極端に節税を意識するのではなく、債務償還年数を意識して良質な決算書を作っていきましょう。

節税は一度きりですが、債務償還年数短縮化によって得られる良い融資条件は、長期にわたって恩恵を与えてくれます。繰り返しになりますが、融資条件の改善は経費削減の中で最も効果の大きい分野であり、ここの削減には力を入れて取り組むべきだと思います。

債務償還年数を意識すると見えてくる「ある金融機関」

少し余談に移ります。

債務償還年数を意識すると、キャッシュフローの最大化が全てではないという考え方が見えてくると思います。

高金利長期融資はキャッシュフローの最大化には役に立ちますが、債務償還年数の観点で見ると天敵であり、扱いには注意が必要だと思います。(残債が減らず、かつ支払利息という減価償却以外の経費がかさむため)

そして、高金利長期融資の逆は低金利短期融資です。キャッシュフローは生まないかもしれませんが、債務償還年数の観点からみると良い条件です。低金利短期融資と言えば、全期間固定金利のあの銀行がちらついてきますね。(極端ですが、キャッシュフローに余力のある会社であれば、融資期間10年でも良いと思います。全期間固定金利なので、金利上昇局面のリスクヘッジにもなりますし。ただ、昨今のショックに伴う状況下でとても忙しそうですね。)

まとめ)

前回、今回までの2回で「融資を継続して引くための決算書作り」について解説を行いました。

良い賃貸経営には良い融資条件が不可欠です。
良い融資条件のためには良い決算書が不可欠であり、
良い決算書を作るためには経営者の努力と知識と行動力が不可欠です。

経営者として自身の会社の決算書に深く興味を持ち、しっかりと説明できるようにしましょう。

そして、銀行との付き合いを、一度融資を引いたら終わりの関係にせず、長期のパートナーとして付き合うようにしましょう。

それでは、次回もお楽しみに!

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