【重要】新型コロナウイルス感染症への対応について

閉じる

融資を継続して引くための『決算書』の作り方「PL・BS攻略編」

9ヶ月前

半沢大家

2019年まで銀行員、現在は証券アドバイザーとして勤務する兼業大家。2018年以降、1年間で計4物件、融資を使って購入。現在アパート3棟、駐車場用地1筆を保有し、家賃年収は1,700万程度。不動産購入での銀行融資付を得意とし、投資家からの個別相談を受け、銀行打診の指南を行っている。


こんにちは、半沢大家です。

上級編2つ目の記事は「融資を継続して引くための『決算書』の作り方」です。

不動産投資は賃貸経営であり、自身の置かれている状況を数字で認識することは経営者の大切な仕事です。ひいては、自身の法人をどのように育てていくか、リスクはどこにあるかを考え行動することが、事業の継続には必要です。

そのためには、物件を購入することだけに注力するのではなく、その後経営がどう進むのかについても考えるようにしましょう。自分で仕入れた物件がどのような『決算書』を作り、それを銀行がどのように判断するのかを知っておくことが必要です。

良い業績を継続すれば銀行にも実績を認められます。そうすれば新たなチャンスも手に入れることができるでしょう。良い『決算書』を作っていけば、資産運用での複利効果と同じように、雪だるま式にチャンスが増えていきます。

今回はこの「実績の複利効果を享受するための『決算書』作り」について、2回に分けて解説していきます。

「PL」と「BS」について

基本的な内容になりますが、『決算書』を分析するに当たっての2大要素は「PL(損益計算書)」と「BS(貸借対照表)」です。

「PL」は、今期の成績表です。銀行に提出する際は、3年分を見られることが多いです。
「BS」は、法人の累積の成績表です。複利効果を享受するためには、「BS」を成長させていくことが大切です。

『決算書』は記載内容も多く、何から考えるべきか迷う人もいるかもしれません。しかし、個人的には全てのページは「PL」と「BS」の補足資料に過ぎないと考えています。

この2大要素をしっかりと把握するところから考えていきましょう。

「損益計算書」の見方、作り方

「損益計算書」の説明についてはここでは割愛しますが、記載されている内容は1年間の「売上」「経費」「利益」を表しており、1年間の営業活動でいくら儲かったのかが分かります。

銀行が評価する際、最初に見るポイントは、
① 当期純利益(黒字が出せているか)
② 返済資力(余剰金はいくら生み出せているか)
③ 経費内容(異常な経費は無いか)
の3点です。

当期利益に関しては、初年度以外は黒字が望ましいです(築年数が経過している物件を買うと減価償却が大きく赤字が出やすくなりますが、できれば黒字は維持したいところです)。

しかし、最も大切な指標は「返済資力が出ているか」です。
銀行の評価で用いられる計算方法は、
当期利益 + 減価償却費 = 返済資力  です。
この返済資力がどれだけ高い数値を出せるかが大切なポイントです。
(「PL」に融資元金の返済は反映されませんので、返済資力から元金返済を差し引いた分がキャッシュフローとなります)

そのためには、
「売上を高め、経費を下げること」
そして
「経費計上をするのであれば、極力減価償却で計上すること」
が大切です。
手元に現金を残すのであれば当期利益は赤字が最適(税金が掛からない)ですが、法人を育てていく視点では、減価償却以外の経費は少ないほうが良いです。

また、銀行側も経費の内訳についてはチェックを行い、異常値と思われる経費についてはヒアリングを行います。過度な経費は『決算書』を傷め、実績の複利効果を弱めることがありますので、気を付けてください。

つまり実績を積むための「PL」の作り方としては、
・売上を高める
・減価償却以外の経費は抑える
という基本的な結論に着地します。

個人的な意見ですが、規模拡大期は節税によるCFの増加よりも、実績作りによる複利効果の方が、効果が高いと考えています。よって、法人を傷める行為(過度な節税)は抑えるのが得策だと思います。

「貸借対照表」の見方、作り方

続いて「BS」についてです。「BS」での見るポイントは、
自己資本比率
② 資産・負債の妥当性
です。

まず、メインとなる「自己資本比率」についてです。「自己資本比率(%)」は、「純資産÷総資産×100」で表す指標で、財務の安全性を図る指標の一つです。黒字を積み上げ、借入を減らしていくほど良い数値が出るため、継続した黒字経営を行えば自然と改善されていきます。

しかし、不動産賃貸業と借入は切っても切り離せない関係ですので、必然的に他業種に比べると借入は多くなり、「自己資本比率」は低くなります。そのことを銀行員も理解していますが、日常では様々な業種の『決算書』を見て稟議書を書いていますので、どうしても賃貸業の「自己資本比率」は見栄えが悪くなります。

また、開業期はどの業種も赤字を引くことが多いですが、不動産賃貸業は手数料・税金の支払いにより初年度は大きな赤字を引くことが多いです。ここについても銀行側も理解していますが、「BS」の純資産に赤字が蓄積しますので、初年度の赤字だから無傷というわけにはいきません。

初年度の赤字は資本金で補填し、補填しきらない場合は純資産マイナス(債務超過)に陥ります。この債務超過こそが、銀行が最も嫌う「BS」であり、(帳簿上は)すべての資産を投げ売っても借入を返済できない状況であることを指します。

赤字継続企業と債務超過企業は融資が引けないことが多いです(内容によっては継続融資可能ですが、やはり見栄えは悪いです)。まずはこの状況を脱することが重要です。

この状況を脱するための一番の方法は「頭金を入れる」という当たり前の結論に着地してしまうのですが、『決算書』を育てるためにもう一歩踏み込んだ提案をすると、「資本金を多く積む」ことをお勧めします。

よく「役員借入は資金の移動が容易なのに対し、資本金は基本的には動かせない資金になるので、少ない資本金で始めて役員借入を多くするべきだ」という意見を聞きますし、それも間違いではないと思います。

ただ、個人的には自己資金を拠出するのであれば可能な限り資本金に積み(税務面での調整は必要ですが)、初年度から債務超過を防ぐことで実績の複利効果を得る、という考え方もあると思います。

長くなりましたが、「自己資本比率」は常に意識して経営を行いましょう(先ほどの「PL」の作り方ともリンクします)。

続けて、「資産・負債」の妥当性についてです。

「BS」に記載されている「資産」と「負債」ですが、銀行側の見方が変わる分野がありますので箇条書きで解説します。

・土地
「BS」上は、土地の資産額は仕入れ値(解体を伴った場合は解体費も)がそのまま反映されています。土地を高値で取得した場合も、安値で取得した場合もそのままの金額で記載されますので、実態の「BS」と乖離する可能性があります。
例えば、市場価格では1,000万円にしかならない土地を2,000万円で取得した場合、「BS」上には表れませんが1,000万円の含み損を抱えることになります。

この含み損に関しては銀行側も完全に精査できていないケースがあります。高く買ってしまった土地をそのままの評価で見てくれることもあれば、逆に土地を安く仕入れた努力が「BS」上で報われないことがあるとも言えます。

・建物
建物についても、土地と同様、仕入れ値で評価されます。安く仕入れた努力が「BS」上で報われないこともあります(ただし、あくまで「BS」上での話です。本当に大切なのは実態での「バランスシート」の状況です)。

また、建物については「残耐用年数」に基づいて減価していきます。この減価のスピードも耐用年数によって決められてしまいます。「耐用年数」を超過している築古木造の場合、4年で償却ですから、「BS」上では不利になります。

・その他の不良資産
会社からの貸付は極力やめましょう。基本的に銀行は「戻ってくるかわからないお金」として判断し、資産と純資産の金額から控除します。
また場合によりますが、海外等の遠方の不動産についてもメスが入る事があります。

・役員借入金
役員からの借入金については、資本金と同様の性格があるととらえられることがあります。よって銀行の「協議書」では、純資産として評価されるケースが多いです。「この会社は債務超過ですが、借入のうち○○円は役員親族からの借入であり、これを加算すると、自己資本比率○○%になります」といった感じです。

・市中銀行以外の銀行からの借入
銀行員の偏見も含まれていると思いますが、市中銀行以外からの資金調達があると警戒されることがあります。「市中銀行では資金調達が出来ない企業」として認識されてしまうと、新規の融資が出しにくくなるからです(銀行は横並びの意識が強く、他行が融資を出しているか?という点が、審査の判断に影響することが多々あります)。

以上が「自己資本比率」には表れない、「BS」の注意点です。

まとめ)

今回は「PL・BS」に焦点を当てて解説しました。

「PL・BS」と分けて説明しましたが、この2種の表は連動しており、取るべき行動はシンプルです。
それは「経営者としての自覚を持って自身の法人を育てていくこと」であり、意識すべきは
・「PL」で黒字を計上し、「BS」の「自己資本比率」を高めていくこと
・「PL」での返済資力(当期利益+減価償却)を確保すること
・BSでの資産・負債の妥当性を意識し、銀行からの評価を高めること

法人が育っていけば「実績の複利効果」が効き、新たなチャンスも増えていきます。

次回も融資を継続するための『決算書』についての解説を行います。
不動産賃貸業において欠かせない「ある指標」についての深掘りをメインに展開していきたいと思います。

それでは、次回もお楽しみに!

この記事のタグ

        

あなたにおすすめの記事

新着記事

賃貸経営お役立ち情報【PR】

賃貸経営お役立ち情報【PR】

お電話でも受付中

入力方法が分からない場合など、お気軽にお問い合わせください。

0120-112-180

無料!お電話で問い合わせる

受付時間:9:30~18:00
月~金曜日(祝日・年末年始を除く)