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誰もが自分らしく暮らせる物件づくりを推進する大家さん【木本孝広さん】

2019年9月18日

木本孝広さん

今回ご紹介するのは、兵庫県宝塚市に5棟を保有する木本孝広さん。木本さんは、無垢材を用いたリノベーションで築古物件を再生させ、さらに入居者のリフォームを歓迎するという独自の方針で、高い入居率を実現しています。また、地域の活性化にも力を入れ、地域と入居者の連携を進めています。物件の特色化やリノベーションのポイント、地域にかける思いまで縦横に語っていただきました。


【木本さんのFacebook】


スーパー大家ヒストリー

大学卒業後、建築資材メーカーに勤務。

2008年…マイホームとして築古戸建てを購入。リフォーム+DIYによって住みが格段に心地よくなることを実感。

2013年…父親から老朽化した全空室のアパート(全5室)の経営を任され、無垢材を多く用いた大規模リノベーションを実施。さらに、入居者の自由なリノベーションを歓迎する「つくる賃貸」を打ち出す。競合物件にない特色が評判を呼び、リノベーション完成前に全室の入居が決まる。

父親が保有する別のアパートの経営も担当するようになり、やがて専業大家に。

2015年…新築物件「Karakusa」(全11室)が完成。「つくる賃貸」を徹底させ、全室に収納スペースを一切設けず、入居者が自分好みの収納を楽しめるようにした。


リノベーションによって全空室の物件を満室に!

私は、建築資材メーカーのサラリーマンだった2013年から、賃貸経営を始めました。最初の物件は、兵庫県の南東部、宝塚市末成町に父が保有していたメゾネットタイプの一棟アパート(5室)です。

この物件は、最寄り駅から徒歩10分以上と、立地がよいとは言えず、建物も老朽化していました。そのため、家賃を周辺の物件より下げても全て空室でした。今後の運営について父から相談を受け、私はリノベーションを提案しました。仕事柄、リノベーションによって古い建物の印象が大きく変わり、長期的な収益が見込める物件に再生される様子を何度も目の当たりにしていたからです。費用は2,000万円を見積り、5年で回収する計画を立てました。父は半信半疑でしたが、「お前の好きなようにやってみろ」と任せてくれました。

リノベーションで重視したポイントは、3つあります。

まずは、パイン材などの無垢材の使用です。無垢材を用いた建物は、居住性の良さや見た目の美しさがライフスタイル誌などで注目されていましたが、手がけるアパート周辺の賃貸物件には見あたりませんでした。そこで、内装・外装ともに無垢材をフル活用し、競合物件との差別化を図ったのです。また、無垢材は時を経るごとに味わいを深め、いわゆるビンテージ感をもたらします。経年というマイナス要素をプラスに転じ、物件の価値を長く保ってくれるだろうという期待もありました。

次に、広々とした空間設計です。例えば、玄関のドアを開けると、無垢材の板を張ったリビングが目の前に広がるよう、もともと1階にあったお風呂や洗面所を2階に移しました。また、駅から少し距離がある物件なので、1階に土間を設け、自転車やバイクを室内に置けるようにしました。

最後に、特色を出すため、入居者のセルフリフォームを歓迎する方針を固めました。壁を自分や家族の好みの色に塗り替えたり、棚を設けたりすると、生活が何倍も楽しくなります。しかし、住居のカスタマイズは、分譲でなければ難しい。だからこそ、リフォームできる賃貸物件は、借り手に強く訴求できると考えました。さらに、気兼ねなくリフォームしてもらえるよう、退去時の原状回復は不要としました

家賃は、リノベーション前よりも1万円ほど上げました。それでも競合物件と同等の金額なので、価値は感じていただけると思いました。

入居者募集のPRは、仲介を依頼した不動産屋さんと連携し、リノベーションの着工と同時に始めました。物件のホームページを立ち上げ、基本情報のほかに、無垢材の使用やセルフリフォーム可という特色を発信。不動産屋のスタッフに工事の進捗状況のレポートブログを書いていただきました。
次に、物件のポイントをまとめたパンフレットを作成し、近くのターミナル駅周辺の不動産屋さんに置かせてもらいました。すると、問い合わせが次第に増え、工事を見学にくる人まで出てきました。そして、4カ月ほどの工事期間中に全室の入居が決まったのです。競合物件としっかり差別化できた成果だと思います。

この物件は、「innocence(無垢)」「innovation(革新)」にちなんで「INNO HOUSE」と命名しました。

■INNO HOUSEの内観

従来の賃貸物件のイメージを変える「つくる賃貸」

INNO HOUSEの運営が軌道に乗ったことで、父が保有する別のアパートも手がけることとなり、専業大家になりました。築古物件が多いため、全て空室になった時点で無垢材を多く用いたリノベーションを行い、「つくる賃貸」として運営しています。

「つくる賃貸」では、入居者へリフォームを呼びかけるだけでなく、アイデアの具体化をサポートしました。リフォーム業者や塗装業者を講師として招き、DIYのワークショップも定期的に行っています。道具はいつでも貸し出し、必要があれば業者の手配もお引き受けします。部屋を自分好みにアレンジすることで住まいに愛着が湧き、長期入居につながってくれたらと思っています。

「つくる賃貸」をさらに深めたいという思いから、2015年、全10室のアパート「Karakusa」を新築しました。この物件には、クローゼットや押し入れを一切設けませんでした。どこに何をどのように収納するか、入居者さん一人ひとりが自分の好みや必要に応じて工夫する余地を残したかったからです。
また、1室ごとに間取りを変え、土間つき1LDK、メゾネットタイプの2LDK、バルコニー併設の2LDKといった多様な選択肢の中から、自分に合った部屋を選べるようにしました。ゼロから形にする新築物件だからこその試みです。

Karakusaの建設では、多くの業者さんと膝を交えてじっくり話し合いました。建設業界では一般的に、業者さんはゼネコンの指示を受け、施主と会話をすることはほとんどありません。私の勤めていた建築資材メーカーでも同様でしたが、それでは本当に面白いものはできないと思っていました。そこで、なぜこの物件をつくりたいのか、どのような物件にしたいのかを、自分で業者さんに説明することにしました。「コンセプトに沿っていれば、必ずしも図面通りでなくても構わない。図面以上に魅力的な物件になるよう、一緒に考えたい」と伝えたところ、業者さんは次々と新しいアイデアを出してくれました。「施主の意図がはっきり分かっているから、自分たちもやりがいがあるよ」。これは、工事中に業者さんから聞いた言葉です。おかげでKarakusaは、当初の計画よりも何倍も素晴らしい物件になったと思います。

地域の活性化に尽力し、選ばれ続ける町づくりに注力

2017年4月現在、私は5棟の物件を保有しています。すべて100m四方ほどのエリアに集中しているのですが、私はその一帯を「INNO TOWN」と名づけ、魅力あるコミュニティの形成を目指しています。その一環として、初期には物件の屋上での飲み会などを企画し、入居者同士の交流を促しました。今では入居者の手によってコミュニティが形成されています。

■INNO TOWNの見取図

INNO TOWN。木本さん保有の5物件には、アルファベットで物件名が書かれている。

さらに、誰もが気軽に立ち寄り、交流できる場をつくりたいと、Karakusaにはカフェバーを併設しました。通常の営業に加え、音楽ライブやフリーマーケット、親子でエコバッグをつくるワークショップといった多彩なイベントがカフェバーの運営者によって開催されています。その中には、地域の方や入居者の企画もあり、カレーショップを立ち上げたい入居者さんとカフェバーの運営者が話し合って期間限定のお店が開催されています。
カフェバーの運営は、私のビジネスパートナーであるデザイン会社にお願いしています。同社には、Karakusaの建築デザインにも参画してもらいました。

また、保有物件には店舗用のスペースもあり、現在、9店舗が借りてくれています。INNO HOUSEの完成当時は1か所だった店舗数も年々増加し、八百屋さんや焼き肉屋さん、雑貨屋さんなど、多彩なショップが並ぶようになりました。ショップ間の連携も自然に生まれ、合同イベントなどが行われています。

言うまでもないことですが、不動産と地域は切っても切れない関係です。それを改めて感じたのは、最初の物件であるINNO HOUSEが完成する頃でした。無垢材を使った外装が地域の方に注目されはじめ、「おかげで通りの雰囲気がよくなったよ」などと声をかけてくれる方が出てきたのです。うれしい半面、自分の物件が多少なりとも地域に影響を及ぼしていることが分かり、身が引き締まる思いでした。地域の活性化に注力しようと心に決めたのもこの頃です。地域が元気になればなるほど人が集まり、賃貸需要も高まります。大家にとって、地域が抱える課題は他人事ではありません。

地方の人口が減少するなか、ありがたいことに当社の物件はほぼ満室となっています。無垢材の使用や、入居者自らがつくる賃貸という特色が、借り手の支持を得ていることを感じています。そして、自宅の周辺が明るく楽しい地域であれば、入居者の満足度はさらに高まるに違いありません。選ばれ続ける物件づくり、選ばれ続けるまちづくりを、今後も推進していきたいと考えています。


明日からまねしたいスーパー大家のワザ

物件のNGを少なくする

ペット不可やDIY不可というようにNGをつければつけるほど、ありがちな物件になってしまいます。そこで、入居者の方と話し、可能な範囲で要望に応じることで物件の特色化を図っています。内見の方にも、「何かご要望がありましたら大家までお問い合わせください」と、不動産屋さんを通して伝えてもらっています。

外構をきれいにする

外構は、物件の第一印象を決めると思っています。
知り合いの大家さんから「アパートの全6室中2室がなかなか埋まらない」と相談を受け、物件を見せてもらうと、外構に問題がありました。敷地内に植えられた木の枝が空を覆い、薄暗い雰囲気だったり、建物への導入路からは、ゴミ置き場が丸見えでした。そこで、私は造園工事を勧めました。工事後の物件の印象は激変し、空室もすぐに埋まったそうです。

物件の情報発信

近年、物件を探している人は、気になる物件が見つかると、不動産屋さんに問い合わせるより先に、インターネットで検索するようになっています。そこで、SNSを活用し、大家さん自身が物件の長所や特色をしっかり発信しましょう。さらに、可能であれば自分のホームページを立ち上げることをお勧めします。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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