公開日:2026/09/25最終更新日:2026/09/29

新卒・若手はなぜ辞める?見落とされがちな「住まい」の負担

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新卒・若手はなぜ辞める?見落とされがちな「住まい」の負担

「せっかく採用した新卒・若手社員が、入社後1~2年で辞めてしまう」

こうした悩みを抱える人事・採用担当者は少なくありません。

 

新卒・若手社員の早期離職には、人間関係や労働条件、仕事内容とのミスマッチなど、さまざまな要因が関係しています。離職理由として直接表れにくいものの、入社や配属に伴う住まい探しも、新生活を始める社員にとって大きな負担です。

 

本記事では、若手社員の主な離職理由を確認したうえで、入社前後に生じる住まいの負担と、企業が取り得る支援策を整理します。賃料上昇を踏まえ、社宅制度を点検する際のポイントも紹介します。

 

若手社員が初めての勤務先を辞めた主な理由

厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」では、若年労働者が初めて勤務した会社を辞めた理由として、次の項目が上位に挙げられています。

  • 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった
  • 人間関係がよくなかった
  • 賃金の条件がよくなかった
  • 仕事が自分に合わなかった

調査では、職場環境や労働条件、仕事内容に関する理由が上位を占めています。入社時に転居する社員は、こうした仕事上の変化に加えて、住まい探しや引っ越しにも対応しなければなりません。

※参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」

 

意外と見落とされる「住まい探し」の負担

新卒社員のなかには、入社や配属のタイミングで初めて一人暮らしをする人や、土地勘のない地域へ転居する人もいます。その場合、仕事の準備と並行して、次のような対応が必要になります。

 

  • 敷金・礼金・仲介手数料など、入居時に必要となる大きな初期費用
  • 家具・家電を一からそろえる手間とコスト
  • 土地勘のないエリアで、限られた期間内に物件を決めなければならないプレッシャー
  • 引っ越し作業と入社準備が重なることによる負荷

 

住まいが決まらないまま入社日が近づけば、社員の不安や疲労も大きくなります。仕事を始める前から、物件探しや引っ越しの対応に追われることもあるでしょう。

マイナビBizが企業の人事・総務担当者に行ったヒアリングでも、「入社までに住まいが決まらないことが、社員の不安につながっている」といった声が聞かれました。

 

採用・定着の観点から見直される住まい支援

こうした入社前後の負担を減らすため、住宅手当や社宅制度などの住まい支援を、採用・定着施策の一つとして見直す企業も出てきています。

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、給与住宅の戸数は1993年の約205万戸から減少を続け、2018年には約110万戸となりました。その後、2023年には約130万戸へ増加しています。

人手不足による採用競争や賃料上昇が続くなか、社宅・住まい支援は、単なる福利厚生にとどまりません。社員が安心して入社や配属を迎えるための受け入れ支援としても、その役割が見直されています。

 

「住宅手当」では、もう十分な差別化にならないことも

 「住まいの支援」というと、多くの企業がまず思い浮かべるのは住宅手当でしょう。しかし、賃料が上昇する中で支給額が変わらなければ、従業員にとっての実質的な支援効果は相対的に薄れていきます。その背景には、賃料上昇と税・社会保険料があります。

①賃料・物価高騰に「手当の増額」が追いつかない

首都圏を中心に民営家賃の上昇が続く中、月額1~2万円程度の住宅手当では、急激な家賃上昇や更新料の負担を吸収しきれず、従業員にとっての実質的な生活支援としてのインパクトが薄れてしまいます。 

②給与課税による「手取り感の薄さ」と企業の社会保険料負担

住宅手当は給与扱いとなるため、所得税・住民税が課税され、社会保険料の算定基礎にも含まれます。そのため、企業が手当を増額しても、増額分がそのまま社員の手取りになるわけではなく、企業側の社会保険料負担も増える点に留意が必要です。

社宅の場合は、一定の要件を満たせば非課税扱いとなり、同じ支援額でも実質的な効果が変わります。

※税務上の取り扱いは、企業負担割合や制度条件によって異なります。

 

住宅手当は導入しやすい支援策ですが、賃料上昇への対応や採用面での差別化を考えると、住宅手当だけでは十分でない場合もあります。

新卒・若手社員への住まい支援を考える際も、個別の手配だけでなく、住宅手当や社宅制度全体が現在の賃料相場や利用実態に合っているかを確認する必要があります。

 

社宅運用も簡単ではない~放置すると定着支援が「コスト膨張」に~

住宅手当だけでは支援が届きにくい場合、社宅制度を導入・強化することも選択肢になります。ただし、社宅の運用も年々難しくなっています。

定着支援のために導入・維持している社宅制度が市場の変化に対応できていないことで、思わぬコスト圧迫や手配トラブルを招くケースもあります。

具体的には、社宅を取り巻く次のような環境が変わってきています。

 

  • 賃料上昇:都市部を中心に賃料が上昇し、従来の上限規定では条件を満たす物件が見つからないケースが増えている
  • 供給減少:新設住宅着工数の減少により、市場に出回る優良物件そのものが減っている
  • 手配スピードの競争激化:内見前申込みや早期成約も増え、社内承認を待つ間にほかの申込者に物件を確保されることがある

 

2026年1月には、東京23区の分譲マンション賃料が㎡単価5,000円を超え、過去最高水準を更新しています。

仮に「年3%」という一見小さく見える上昇率であっても、転勤者100名を抱える企業では、年間約920万円のコスト増に直結する計算になります。制度を見直さないまま例外対応を繰り返すと、コストだけでなく、物件手配や社内調整にかかる負担も増えていきます。

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企業はどう見直している?~「用途別の住み分け」でコストと定着を両立~

制度見直しのポイントは、すべての社員に同じ手配方法を適用するのではなく、利用期間や入居目的に応じて選択肢を使い分けることです。

例えば、長期転勤では通常賃貸が適していても、新卒研修や短期配属では、敷金・礼金や家具購入、退去時の負担まで含めると、家具家電付き物件の方が適している場合があります。月額賃料だけでなく、初期費用や手配工数を含む総コストで比較することが重要です。

家具家電付き物件は月額費用だけを見ると割高に見える場合がありますが、初期費用や家具購入、引っ越し、手配工数まで含めて比較すると、評価が変わることがあります。新卒・若手社員のように「初めての一人暮らし」で不安が大きい層に対しては、手配スピードと生活立ち上げの手間をなくすこの選択肢が、生活立ち上げにかかる負担を軽減する選択肢のひとつになります。

※マイナビBizでは、こうした新卒研修や短期配属、急な転勤に対応する家具家電付き社宅の手配・管理を一元サポートし、企業の住まい手配にかかる負担軽減と、社員の生活立ち上げを支援しています。

 

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自社の社宅・住まい支援は大丈夫か?~セルフ診断チェックリスト~

 自社の制度が現状に対応できているか、まずは簡単にセルフチェックしてみましょう。2つ以上当てはまる場合、それは担当者の努力不足ではなく「制度と市場相場のズレ」という構造的なサインです。 

 

【自己診断】貴社の社宅・住まい支援、こんな状態になっていませんか?

□住宅に関する制度(上限賃料・面積基準)を3年以上見直していない

□ 転勤者・新卒社員から「希望エリアで物件が見つからない」という相談が増えた

□ 物件手配に2週間以上かかることが「当たり前」になっている

□ 社宅の手配や運用が特定の担当者に依存しており、担当者が変わると対応できない

※これは診断項目の一部です。全10項目でのセルフ診断と、見直し手順のロードマップはホワイトペーパーに収録しています。

当てはまる項目が多いほど、今後の賃料上昇や人材獲得競争の中で、社宅・住まい支援が「採用・定着の足かせ」になってしまうリスクが高まっている可能性があります。逆にいえば、賃料がさらに上昇する前の「今」が、最も低コストで制度を見直せる最適なタイミングともいえます。

 

まとめ

新卒・若手社員の早期離職には、労働条件や人間関係、賃金、仕事内容とのミスマッチなど、複数の要因が関係しています。住まい探しが直接の離職理由として表れるケースは多くありませんが、初めての一人暮らしや知らない土地への転居が重なる社員にとっては、入社前後の大きな負担になり得ます。そのため、社宅・住まい支援は、早期離職を直接防ぐ施策というよりも、社員が安心して新生活を始めるための環境整備として捉えることが重要です。

 

一方、賃料上昇や物件不足が進む中では、住宅手当を増額するだけでは十分な支援につながらない場合があり、社宅についても従来の上限額や運用方法が市場環境に合わなくなっている可能性があります。住宅手当、通常賃貸、家具家電付き物件など、それぞれの特徴を踏まえ、対象者や利用期間に応じて住まいの選択肢を使い分けることが、持続可能な支援体制につながります。

自社の社宅・住まい支援制度が2027年以降の市場変化に対応できるか、まずはホワイトペーパーの全10項目チェックリストで確認してみてはいかがでしょうか。

 

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