2020
02.21
マンスリーマンションってなに? どんなときに利用すると便利なの?
部屋を探していると「マンスリーマンション」という言葉を聞くことも多いのではないでしょうか。「マンスリー物件」や「マンスリー賃貸」とも呼ばれるマンスリーマンション。ビジネスホテルとはどう違うの? どんな特長があるの? どんなときに利用すると便利?といった疑問にお答えします。
1. 短期で利用できるマンションやアパート

マンスリーマンションにはテレビやデスク、ベットなどが備えてあります
マンスリーマンションは「マンスリー(月)」という文字どおり、一ヶ月から数ヶ月程度の短中期利用を目的としたマンションやアパートのことです。
一般的にマンションやアパートの部屋を借りる際は、2年間の契約となります。もちろん途中での解約もできますが、場合によっては短期解約の違約金を支払うことも……。マンスリーマンションは、たとえば、短中長期の出張や赴任といったビジネスシーン、あるいは家の建て替え時の仮住まいなど、一ヶ月から長くて半年程度の住まいとして利用することを前提としたサービスになります。
2. 手軽に住むことができるマンスリーマンション
短中長期の滞在を前提としたマンスリーマンションが、一般の賃貸物件と大きく違うのは、手軽に入居できること。一般の賃貸物件では家具家電から日用品まで自分で買いそろえる必要があります。短期利用のために家具家電をそろえるのは大きな手間ですし、費用もばかになりません。
そのため、マンスリーマンションでは多くの場合、冷蔵庫やテレビ、洗濯機、掃除機、電子レンジ、電気ポット、ベッド(寝具は肌に直接触れるため別になっていることも)といった家具家電がそろっており、これらの利用を想定した価格設定になっています。もちろん、エアコンや給湯設備・コンロといった設備もあり、こちらは一般の賃貸物件と同じです。
また、サービスを提供する会社によっても異なりますが、カーテンや机、イス、ゴミ箱などもあります。入居した直後にトイレを使ったらトイレットペーパーがなくて大惨事……といったことがないように最初の一巻分が用意されていることも。また、最近はインターネット環境も充実してきており、追加費用無しでネット利用が可能なマンスリー物件も多くあります。
このような設備や家具家電があるので、手軽に入居できることがマンスリーマンションのひとつの特長です。こまめに洗濯すれば、数日の旅行・出張の荷物で入居できますし、ちょっとした出費にはなってしまいますが、近くのスーパーやコンビニで日用品を買いそろえてもよければさらに身軽に手軽に入居できますね。
3. ホテルや普通の賃貸とどっちがリーズナブル?

ホテルや一般の賃貸物件との費用を比べると、生活に求めるものと滞在期間によって費用対効果が決まってきます。数日の滞在であればやっぱりホテルがもっとも便利です。逆に2年以上住むのが前提なら、通常の賃貸の方が結果的にリーズナブルになることが多いでしょう。
1年間の滞在を例にしてみると(ビジネスホテルに1年間泊まり続けるということはあまりないかもしれませんが、比較として挙げました)、以下のようになります。
1年間の費用比較 | ||
---|---|---|
ビジネスホテル | 255万5000円(年間計) | 21万0000円(月平均) |
一般賃貸マンション | 197万4000円(年間計) 家賃以外の諸費用を含む想定金額 |
16万4500円(月平均) 諸費用など含めた月平均額 |
マンスリーマンション | 176万4000円(年間計) | 14万7000円(月平均) |
ビジネスホテルは1泊7000円の計算で21万円/月。今回の例には含んでいませんが、意外と見落としがちなのが消費税。ビジネスホテルの利用には10%の消費税がかかり、月額21万円の利用の場合には2万1000円の消費税の支払いが必要になります。なお、マンスリーマンションや一般賃貸の場合には賃料に消費税はかかりません。
一般賃貸マンションは16万4500円/月になります。一般賃貸マンションが月の家賃と比べて割高になってしまうのは、初回の礼金や仲介手数料・鍵交換代・保険料といった初期コストがかかるため。たとえば、家賃が9万5000円の部屋を借りた場合、管理費5000円/月、仲介手数料9万5000円/初回、礼金19万0000円/初回、鍵交換代2~3万0000円/初回、火災保険料1~2万0000円/初回、家賃保証会社利用料4万5000円/初回など様々な費用が必要となります。また、退去時のクリーニング費用や、鍵の紛失などに対応する24時間サポートへの加入が必要なことも。加えて、生活に必要な家具家電(カーテンや照明器具も忘れずに)の用意も大きな出費となります。
ただし、その分、長期(おおむね2年以上~)になればなるほど初期コストの分を含めても割安になっていくので、その場所に住む予定の期間を想定して検討しましょう。
これに対してマンスリーマンションは14万7000円/月です。礼金や仲介手数料といった費用負担がない分、月平均で見るとリーズナブルに利用できることになります。もちろん時期やエリア、あるいは会社によっては水道光熱費を別料金とするか含むかなどの違いがあるため、すべてがこの通りというわけではありませんが、大きな傾向としてはこのようになっています。
4. ホテルとくらべて手間がかかるのでは?

一般的なビジネスホテルの客室
短期滞在のマンスリーマンション、人によってはホテルに近いものを想像することもあるようですが、そこは大きく異なります。たとえば、ゴミの処理。ホテルであれば部屋のゴミ箱に捨てておけば、あとは清掃が入り毎日きれいな状態になりますが、マンスリーマンションは自分でゴミ出しをしなければ、そのまま部屋がゴミだらけになってしまいます……。
トイレットペーパーの補充もそうですし、ベッドメイキング、掃除といったサービスもマンスリーマンションでは自分でする必要があります。そういった面を考えると「なによりも手間が少ない方がいい!」という場合にはホテルの利用が無難でしょう。
一方で、マンスリーマンションにもメリットが。コンロがあるので自分で好きな料理を作ることもできますし、友人や知人を招くこともできます(とはいっても遅くまで騒いだりするのは近隣の迷惑になるのでNGです)。
滞在期間や何を重視するかによってホテルやマンスリーマンションを使い分けるといいですね。
5. どんなときに利用すると便利?

マンスリーマンションではキッチン設備なども
マンスリーマンションの利用には、家の建て替え時の仮住まい、あるいは遠方での受験や就職の際の拠点利用、家族などの長期入院時の世話のためといった利用が多いようです。また、結婚前のカップルが部屋を契約するまでの住まいとして利用することや、逆に、別居や離婚での一時利用もあるそうです。
もちろん、ひとつの都市にじっくり腰をすえて楽しみたいといったツーリスト利用もあります。
ビジネス用途では、新卒や新入社員の研修(各拠点がある企業が東京や工場で行う一斉研修)や、インターンでの滞在先、短中期の出張やプロジェクトで客先常駐するための利用などが多く見られます。大規模イベントなどがあるとその期間だけ現場近くに滞在したいといった需要もあるようです。
6. マンスリーマンションの契約方法や手続きは?
マンスリーマンションの利用はマンションやアパートを借りる際の契約手続きよりは手軽ですが、ホテルの手続きと比べると手続きに少し時間がかかることも。
ホテルを利用する際には、サイトで予約をしてホテルに行けば済みます。多くの場合、手続きらしいものはホテルのチェックイン時の宿帳記入ぐらいでしょう。
一方で、マンスリーマンションでは申込書や契約書といった手続きが必要になることが一般的です。この違いは主に、旅館業か不動産賃貸業かの違いによるもの。マンスリーマンションの利用は「定期借家契約」や「施設利用契約」を結ぶことが通例となっているため、契約書や申込書のやりとり、場合によっては身分証明書の提出や保証人が必要になったりすることもあります。
最近では契約や支払いまでオンラインで完結できるマンスリーマンションもありますが、まずは時間の余裕を持ってマンスリーマンションを探すのがおすすめです。