2020
09.28

企業におけるハラスメントのない環境づくり(後編)

パワハラ・セクハラ・マタハラなど、一口にハラスメントといっても原因も内容もさまざまです。それぞれの考え方や価値観、受け止め方などが複雑に影響することから、どのように対策すればよいのか、お悩みの企業担当者も多いはず。

そこで今回は「ハラスメントのない環境づくり」について、ハラスメント対策のコンサルティング会社である株式会社クオレ・シー・キューブの稲尾和泉さんにアドバイスをいただきました。前編に続く後編は、「ハラスメント対策はどこから始めれば良いのか?」についてです。

1.本質から考えるハラスメント対策

「前回お話した通り、ハラスメント対策で最初に考えなければならないのは、『どのような職場環境を作り上げ、どのような働き方がしたいのか』という本質の部分です。たとえばセクシャル・ハラスメントについて考えるとき、『不快だったかどうか』という感情を基準にすると、『コミュニケーションの潤滑油だ』『セクハラと思わない人もいる』などと水掛け論になってしまいます。しかし、そのような性的な冗談は自分たちが目指す職場に必要なのか……という観点から議論すれば、ハラスメントの加害者側と被害者側の意識のズレが浮き彫りになるでしょう。その意識のズレを共有することが大切なのです。

パワー・ハラスメントも同様です。目標を達成できない社員への接し方がパワハラに当たるかどうかは、会社としてのゴール(=利益をあげるために社員を成長させる)を目指す上で必要なことなのかどうか、という観点で考える必要があります。上司として社員が業績を上げられるように助言・指導することは必要なことであり、時としてそれが厳しい接し方になることもあるでしょう。しかし、それが『お前なんかいらない』『やめちまえ』といった『人格の否定』ばかりであれば、会社としてのゴールの到達には役立ちません。そのコミュニケーションが社員の成長につながっているものかどうか、という点もハラスメントを判断する基準になるでしょう」

2.「労働施策総合推進法」が施行された今が、ハラスメント対策のチャンス!

「ハラスメント対策として最初に行わなければならないことは、まず『会社としてハラスメントを許さない』という方針を社内に伝えることです。そのためには会社のトップが、本気でこの問題に対応する旨を表明することが欠かせません。これにはイントラネットに社長の宣言を掲載することや、ビデオメッセージなどが有効です。その後は経営者や役員はもちろん、社員やパート・アルバイトといった従業員全員に当事者意識を持ってもらうため、社内の現状調査や教育研修、相談窓口の設置を行い、継続的な取り組みを積み重ねていく必要があるでしょう。

2020年6月に施行された『労働施策総合推進法』では、ついに企業としてパワハラ対策を実施する責務が定められました。実はこれまで、セクハラについては男女雇用機会均等法で、マタハラ・ケアハラ(妊娠・介護に関するハラスメント)については育児介護休業法で企業の責務が定められていたのですが、パワハラだけは法整備が行われていませんでした。それが今回、パワハラも含めて会社にハラスメント全般を許さない風土作りが義務化されたわけです。今まではハラスメントへの取り組みについて、経営層を説得するのに困っている……という人事・総務担当者も多かったようですが、今こそハラスメント問題に取り組む大チャンスが来ている、と言ってもよいのではないでしょうか」

3.まとめ

稲尾さんが強調されていたのは、もはや企業としてハラスメント問題を放置するリスクは無視できないということ。裁判による損害賠償リスク、ブラック企業のレッテルが貼られ、従業員エンゲージメントの低下により人材が定着しないリスクなど、まさにハラスメント問題は企業経営の根幹に関わるものになっています。ぜひ、今回の記事を参考にハラスメント問題に取り組んでいただければ幸いです。

今回の記事はハラスメント問題への取り組み方法についてでしたが、新型コロナウイルスの収束が見えない現状では、リモートワーク環境の整備も企業にとっては喫緊のテーマでしょう。
特に今後、会社が従業員をどのように大切にし、エンゲージメントを高めながら発展していくかは、人事・総務・労務の側面で大きなテーマになるでしょう。

マイナビではそのような社会情勢と従業員エンゲージメントの重要性に着目し、企業のニーズに応じた滞在先サービスを展開しています。
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取材協力 稲尾和泉(いなお・いずみ)さん
株式会社クオレ・シー・キューブ執行役員。著書に「パワーハラスメント(日経文庫)」「あんなパワハラ こんなパワハラ(社団法人全国労働基準関係団体連合会)」などがある。

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